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人気DJのエクスクルーシヴMIXを毎月配信! 『EYESCREAM.JP Mix Archives』vol.66 B.D. a.k.a. Killa Turner

Interview & Text : Yu Onoda | Photo : Takuya Murata | Edit : Yugo Shiokawa | Special Thanks : GROW AROUND

EYESCREAM.JPレコメンドDJへのインタビューとエクスクルーシヴ・ミックスを紹介する「EYESCREAM.JP Mix Archives」。今回は、ラッパー、DJのB.D. a.k.a. Killa Turnerをフィーチャー。

2016年9月にビートメイカーのMr.Itagaki a.k.a. Ita-choと組んだB.D.は、全11曲からなるEPを封入したスペシャルボックスセット『BORDER』をアパレル・ブランド、Back Channelとコラボでリリース。オーセンティックなヒップホップを極める一方で、BushmindやKID FRESINO、DOPEY、YOUNG JUJUらの作品にフィーチャーされ、若い世代のリスナーを触発する数々の名演を残してきた。来年初頭にはWDsoundsより、ベイエリアのプロデューサー、DJ Fresh aka The Worlds FreshestのビートにJ.ColumbusやISSUGI、C.O.S.A.をフィーチャーした10インチシングルのリリースを予定しているなど、2017年以降に新たな展開を予感させる彼のインタビューと、近年、DJの現場では和モノをヘヴィプレイしているというKilla Turner名義のDJミックスをお届けする。

※ミックス音源はこちら!(ストリーミングのみ)



一部の人にしか届かないかもしれないこういう特殊な作品でも、ホントに欲しい人だったら、どうにか手に入れると思うんですよ。


— 2013年のアルバム『BALANCE』以降、B.D.さんの動きはそれ以前とは変わってきていると思うんですが、アルバムタイトル通り、絶妙なバランスで感覚でメジャーとアンダーグラウンドの橋渡しをしたあの作品を改めて振り返ってみて、いかがですか?

B.D.:作品としては納得しているんですけど、手応えを満足に感じられないまま、その次の動きに流れていってしまって、意外とあっさりした作品だったというか、我ながら、“何だったんだろう?”って思うところもあって。もちろん、メジャーでやれたことはキャリアのプラスになったと思うんですけど、話がデカくなればなるほど、自分の意志が届かないところも多くなるし、そこで改めて思ったのは、結局、俺は人に任せるより、やりたいことを自分で全部コントロールしたいタイプなんですよね。だから、もし、結果が変わらないなら、インディペンデントで、言わなくても分かる仲間たちとやった方がいいなって。
ただ、自分が上の世代になってくると、自分の音楽が10代とか20代前半の子たちにどう伝わっているのか掴みづらくなるなか、『BALANCE』以降、若いやつらから声を掛けられることが多くなって、それが後のフィーチャリングにも繋がっているし、良かった部分ももちろんありました。


B.D.『BALANCE』 メジャーとアンダーグラウンドを繋ぐ普遍性と深さを兼ね備えた2013年屈指の名作アルバム。NIPPS、Machka-Chin、D.Oに加え、いち早くFla$hBackSとKIANO JONESをフィーチャーした現場感覚と先見性も改めて評価されるべき一枚。

B.D.『BALANCE』
メジャーとアンダーグラウンドを繋ぐ普遍性と深さを兼ね備えた2013年屈指の名作アルバム。NIPPS、Machka-Chin、D.Oに加え、いち早くFla$hBackSとKIANO JONESをフィーチャーした現場感覚と先見性も改めて評価されるべき一枚。



— ただ、『BALANCE』は、現場と直結した作品でもあって、いち早く、Fla$hBackSとKiano Jonesをフィーチャーしていた点は特筆すべきかな、と。

B.D.:たしかに。あいつらに関しては、見た目は別として、考え方が出来上がってたから、いい意味で年齢的に若いって感じはしなかったんですけどね(笑)。

— そして、その後も、KID FRESINOやOMSB、MASS-HOLE、DOPEY、YOUNG JUJUといった若い世代や今までになかった組み合わせのラッパー、ビートメイカーとのコラボレーションが続いています。

B.D.:“この曲でラップして欲しい”っていうトラックのチョイスにしても、彼らのやりたいことと近いものがあるんだなって思ったりもするし、長らく、自分なりにやってきたことが、演者の間で伝わってる手応えやリスペクトを感じるようになったは最近のことかもしれないです。

— ヒップホップに限らず、キャリアを積んでいくと、どうしても、表現の枠組みが出来上がってしまいがちですが、B.D.さんの場合、軸はブレることなく、同時に柔軟さもあるように思います。

B.D.:そこはデミさん(Nipps)から学んでいる部分が大きくて。あの人はつねに新しいものを追求していて、考え方や姿勢が柔軟だし、年齢に関係なく、同じような考えを持っていれば、自然と似たような人を引き寄せるし、リンクするものなんだなって。だから、意識することなく、自分がやりたい音楽を追求しているだけなんですけどね。ただ、まぁ、ラップでも言ってるんですけど、実際、短距離より長距離の方が自分らしいというか、そういうマラソン的なところはありますね。



— その持続力の源というのは?

B.D.:当たり前なことなんですけど、ただただ、音楽が好きっていうことなんじゃないですかね。相変わらず、レコードは買い続けているし、音楽にお金を払うことは当たり前だと思ってるし。今の時代、そう思っている人はマイノリティなのかもしれないけど、俺の周りではそういう人たちがむしろ増えてきているんです。

— この連載に登場してくれた先々月のISSUGIくん、先月の仙人掌もそうなんですけど、彼らはラッパーであると同時にDJでもあって、リスナーとしても音楽探究を続けている人たちなんですよね。有名になりたいとか、金を稼ぎたいとか、音楽に向かう動機は様々だと思うんですけど、改めて、飽くなき音楽の探究心こそが肝心だな、と。

B.D.:自分も最近そう思いますね。初期衝動に近い気持ちでレコードを買ってた昔のことを思い出しながら、俺は今もレコードを買い続けているし、そういうやつらは俺らの世代だけでなく、若い世代にもいて、類は友を呼ぶじゃないんだけど、同じような連中が繋がったり、集まるようになってきたっていう。

— ラップに関しては、以前よりも簡潔な言葉で言い切るスタイルに変化しているように感じます。

B.D.:言葉にするのは難しいんですけど、感覚的な部分で、簡単な言葉使いだったり、フロウだったり、より言葉が入ってくるような試行錯誤はしていますね。それから、以前はビートに触発されて言葉が生まれることが多かったんですけど、最近は敢えて音がないところから書いてみたりもしています。

— それから曲でいうと、Mr.Itagaki a.k.a. Ita-choとのコラボEP『BORDER』収録の「48Tricks」では指南書『権力(パワー)に翻弄されないための48の法則』に触発されたリリックをラップしたり、YOUNG JUJU「LIVE NOW」のリリックは河島英五の影響もありますよね。

B.D.:海外のラッパーが昔の曲のメロディラインを引用するのと一緒で、歌謡曲の刺さるフレーズであるとか、そういう要素は絶対に入れたいエッセンスだったりして。特に最近は和モノにハマってるので、余計、歌詞が耳に入ってくるんですよね。



— そして、客演では、「LIVE NOW」しかり、BUSHMINDの「FRIENDS KILL」しかり、ラップが乗りにくい難易度の高いトラックを見事に乗りこなしています。

B.D.:自分の作品ではチョイスしないトラックかもしれないですね。でも、ここ最近は、来た話を断らないようにしよう、と。2016年は特にそう思ってましたね。まぁ、中途半端に頼んでくることもないだろうなっていうこともあるんですけど、自分のなかでは新しいことに挑戦したくて。それは客演だけでなく、例えば、ベーシストのRYOZO OBAYASHIとのコラボレーションや、Killa Turner名義のDJもそうだし、DJということでいえば、EP『BORDER』を出した後のツアーではイタガキさんと2人でひたすらレコード掘ってますからね。


B.D.『BORDER』 ハードコアなヴァイナル・ディガーにして、NITRO MICROPHONE UNDERGROUND周辺にビートを供給してきたMr.Itagaki aka ItachoとのコラボEP。ドス黒いビートと重厚なラップのコンビネーションがみぞおちにじわじわ利いてくる。ファッションブランド『Back Channel』から、キャップやタオルが同梱されたスペシャルボックスセットとして、2016年9月にリリース。

B.D.『BORDER』
ハードコアなヴァイナル・ディガーにして、NITRO MICROPHONE UNDERGROUND周辺にビートを供給してきたMr.Itagaki aka ItachoとのコラボEP。ドス黒いビートと重厚なラップのコンビネーションがみぞおちにじわじわ利いてくる。ファッションブランド『Back Channel』から、キャップやタオルが同梱されたスペシャルボックスセットとして、2016年9月にリリース。



— 『BORDER』という作品タイトルに込められた思いというのは?

B.D.:『BORDER』には自分が越えていかなきゃいけないボーダーという意味があって、常にギリギリのところにいるっていう意味では『BALANCE』とも繋がっていると思うんですね。それと同時に白黒はっきりさせる線引きの意味もあって。この作品が昔から知ってるBack Channelっていうブランドからリリースされること自体は、タイミングもあってのことなんですけど、一部の人にしか届かないかもしれないこういう特殊な作品でも、ホントに欲しい人だったら、どうにか手に入れると思うんですよ。

— つまり、与えられたものをなんとなく受け取るんじゃなく、リスナーに能動的な選択を迫る作品でもある、と。

B.D.:そう。イタガキさんと一緒に作った作品をBack Channelから特殊仕様でリリースする意味もそこにあるなって思うんですよね。



— さらに『BORDER』に続いて、2017年初頭にはWDsoundsから10インチシングルのリリースも控えていますが、こちらは両サイドともにトラックはDJ FRESHが手掛けているんですよね?

B.D.:そうです。J.COLUMBUSとやってる「CHAKA」はダンストラック、ISSUGI、C.O.S.A.とやってる「TRAFFIC」はよりレイドバックした、クルージン的な曲で。フィーチャーしてるラッパーも濃いし、そこはWDsoundsだからこそ出せる組み合わせなんじゃないですかね。

— WDsoundsのLIL MERCY aka J.COLUMBUSくんとは、彼がA&Rを務めた2012年のアルバム『ILLSON』以来の付き合いということですが、それ以前は全く接点がなかったんですか?

B.D.:でも、意外とハードコア繋がりでリンクしているんですよ。MERCYくんが仲良かったバンドの人たちとNITRO(MICROPHONE UNDERGROUND)周りにいた人たちが繋がってて。ヒップホップとハードコアって、もともと近いじゃないですか。当時はMERCYくんのことは意識してなかったんですけど、後々、“あの時いたんだ!?”って話になったりして(笑)。

— へぇー、それは東京っぽい繋がりですね。そうしたWDsoundsらしいフレッシュなコラボレーションもありつつ、アルバムとしては『BALANCE』以来、3年のブランクがありますよね。プランに関してはいかがでしょうか?

B.D.:そうなんですよ。アルバムに関しては、今まさに話している最中で、水面下では動いているし、やろうとは思ってます。そして、やるからには思いっきりヒップホップなことをやりたいですね。

— では、最後に2016年のEYESCREAM.JP MIX ARCHIVESを締めくくるミックスについて一言お願いします。

B.D.:じつは、ちょっと前に自分で出そうかなって思っていた和レゲエ、ダブで構成したミックスになります。まぁ、ちょっと暖かい感じで、もしかすると、年末をすっ飛ばして、そのまま正月気分になっちゃうかもしれないんですけど(笑)、ゆっくり楽しんでもらえたらうれしいですね。

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