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XLARGE® 25th ANNIVERSARY “True OG Streetwear”
編者・田中凛太郎インタビュー

Photo:Takuta Murata、Interview&Text:Yukihisa Takei(HIGHVISION)、Edit:Keita Miki

ストリートカルチャーのひとつの生き証人であるブランド、[XLARGE®(エクストララージ®)]が今年ブランド誕生25周年を迎える。イライ・ボナーツとアダム・シルバーマンという二人のLAの若者が1991年にスタートさせたこのブランドには、ビースティ・ボーイズのマイクDらがジョイン。90年代以降のストリートファッションとともに成長を続け、四半世紀が経った現在もシーンを牽引し続けている。

このブランドの25周年を迎えるに際し、1冊のアーカイブブックがリリースされる。この本の編者は、『My Feedamn!』シリーズなどで知られるカリフォルニア在住の日本人編集者、田中凛太郎。ヴィンテージファッションの世界的権威でもある田中氏が、[XLARGE®]の中に見たものとは?

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創業者のイライさんがすごく象徴的なことを言っていました。「何も知らないヤツらがいつも新しいカルチャーを生み出してきたんだ」って。


— 『My Feedamn!』シリーズ含め、主にヴィンテージ専門というイメージのある(田中)凛太郎さんが今回[XLARGE®]の本を手がけたのは意外でした。

田中:それは単純な話で、僕がLAやNYでやっている『Inspiration』というイベントに、[XLARGE®]を手がけるビーズインターナショナルの皆川社長が毎回参加してくださっているんです。そんな大きな会社の社長さんだとも知らなくて、普通にアンティーク・古着好きの方だと思ってたんですが、そのお付き合いの中でお話をいただいて。僕より他に適任者がいるんじゃないかと思いながら始めたんですが、結果的に色んなことを勉強させてもらいました。

— 確かに[XLARGE®]も25年も経つと、掘るべき要素も膨大ですよね。

田中:僕の仕事というのは”アーカイブを作る”仕事なんです。雑誌やコマーシャルとも違う、未来に資料を残すこと。[XLARGE®]にはそれを残すだけの充分な歴史と分量がありました。

— 今回の本もかなりの資料が載っていますよね。

田中:僕の作っている本はいつも異常にブツの写真や資料が多くて、1冊に1000点~2000点くらい図版を載せるんです。世の中には素晴らしい本を作る方は沢山いますけど、こういう本の作り方をするのは世界でも僕一人だと思います。今回も編集する前に他のストリートブランドの参考文献も見たんですけど、僕とはスタイルが違うんですね。ああいう風にカッコよくも作りたいけど、僕にはできない。でもそこに僕の存在価値があるというか。


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— それが田中凛太郎スタイルということですね。

田中:僕はずっと1人で試行錯誤しながらやってきたんですが、出来上がった本には直接他人から感想をもらうことが多いんです。「荒削りな部分があったとしても、いいバイブだね」とか、忌憚なく意見を言ってくれる人の言葉を総合すると、結局”温度”の問題なのかなって。だから”温度がある本”を、僕の温度でやりたいって思いながら作っています。取材も写真も自分でやるし、PCでラフまで組むようになったから、仕事の時間も増えちゃって(笑)。1冊作るのに最低1年はかかりますから。

— 今回実際[XLARGE®]というブランドを編集してみてどうでしたか?

田中:1991年に彼らの店がLAに出来た時が、僕が初めてアメリカに行った年でした。その当時のアメリカにもヴィンテージ方面のグループと、ヒップホップとかストリートカルチャー方面のグループがありました。僕は古い音楽が好きだったから、そっち(ヴィンテージ)の方面に向かっていったんです。たまたま彼らとアングルが違っていただけなんですよね。だからこの本を作りながら、「やっとこの人たちにも会えた」と思いました。

— そうか。ストリートカルチャーとヴィンテージが25年かかってクロスしてきたんですね。

田中:そうです。25年を経て、僕がやってきたものと[XLARGE®]がクロスしたんです。結局アメリカという国自体が、ここ最近”ヴィンテージ”になりだしたんですね。歴史が浅かったアメリカがみんな年老いて、歴史を持つようになった。これが今のアメリカが抱える課題のひとつでもあると思うんですけど。

— 凛太郎さんが手がけた[HARLEY-DAVIDSON]の仕事もそうですね。

田中:あれは105周年でした。(モーターサイクルジャケットブランドの)[Schott]は100周年。僕のところに話が来るのはそういうアニバーサリーを迎えたカンパニーなんです。

— そういう古い資料はどうやって集めるんですか?

田中:ヴィンテージの本を作るために必要なのは、まずその会社自体が最高のコレクターである必要があります。もちろん僕が探すものもあるんですが、やっぱり資料の多い会社の本はいいものが出来る。アーカイブをするというのは、一種のパズルゲームみたいなものですから。でもそのミッシングピースを埋め合わせる作業も楽しいんです。こういう本って資料でもあるから、見る人も図版や資料がたくさん見たいはずだと僕は思っているんで。


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— 今回予想していた[XLARGE®]のアーカイブの量と現実はどうでしたか?

田中:いや、予想より多かったですね。特に創業者のイライさんのコレクションが充実していたんです。それが助かったし、素晴らしかったですね。

— [XLARGE®]のプロダクトって、凛太郎さんがもともと好きなゾーンのものではないですよね。編集している中で見えてきたことはありますか?

田中:いや、アーカイブの仕事というのは未来のために作っているのであって、それを決めるのは僕ではないんです。これが好きかどうかを決めるのは読者。そうするためには、なるべくより多くの素材を用意しておく。それってジャーナリズムにも近いんですけど、「右か左か」ではなく、「右も左も」あるから、あとは色々と考えてくださいってことでしょうか。アーカイブ本も同じです。

— なるほど。

田中:ただし、もちろん僕は”パワーのないもの”は選ばないんです。[XLARGE®]のTシャツの中にもいいものはたくさんありました。そのモノが”輝いているかどうか”は撮影していても分かるんですよ。

— 100年続くブランドも沢山ありますが、特にストリートブランドの存続って難しいじゃないですか。[XLARGE®]だってきっと消える可能性もありましたよね。なぜこのブランドは25年もサバイブできたんだと思いますか?

田中:それはやっぱりこのキャッチーなゴリラのロゴでしょうね。正直これは上手いこと考えたなと。このロゴの中に無限の可能性があって、彼らは絶えず変化させていってるわけです。言わばサンプリングの手法ですが、このフォーマットを開発したことが大きいし、それが今日まで生き残った理由のひとつでしょうね。このゴリラは死なないわけですよ。

— でもそういうブランドは山ほどあったわけで。その理由って何でしょうね。

田中:[STUSSY]のロゴなんかは、やはりあのショーン・ステューシーの作ったフォントに”ハンドパワー”があったわけです。このゴリラにもそういうパワーがあったということでしょうね。

— 改めて考えるとそれってすごいことですね。

田中:今回取材する中で、創業者のイライさんがすごく象徴的なことを言っていたんです。『何も知らないヤツらがいつも新しいカルチャーを作ってきたんだ』って。ルールも何も知らないヤツらだからこそ、新しいアイデアを思いつくんだと。実際、俺たちは何も知らないド素人からスタートしたと本人が言うんですね。確かに80年代以降のヒップホップも楽器が得意じゃない人たちがあれこれ考えて、新しいシーンを形成したわけです。そういう意味では[XLARGE®]は90年代の“Xジェネレーション”を象徴しているブランドなんですね。



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【True OG Streetwear】
発売中
ハードカバー:240ページ
価格:7,560円(税込)
言語:英語・日本語
http://calif.cc/item/XLE0116S0142?waad=E2fUosKi



お問い合わせ先

XLARGE® HARAJUKU
TEL:03-3475-5696
http://www.xlarge.jp/


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