違和感や居心地の悪さから想像を広げさせる横手太紀の初個展『even a worm will turn』がparcelで開催

作家、横手太紀の初となる個展『even a worm will turn』が5月21日より馬喰町parcelにおいて開催される。

横手は東京藝術大学院彫刻科に在籍しながら、ビニール袋、瓦礫、道に転がる石、ブルーシートなど普段気に留められることの少ない身近な物に着目し、既製品の動きを使った彫刻やインスタレーション、映像作品などを制作。その表現には、見慣れた物体に元々あった役割や記号的な意味合いを見るのではなく、それらの純粋な姿や動きに着目し、それぞれを固有の存在として捉えることが軸としてある。
塵や埃のような小さな存在や元は建物の一部であった瓦礫などの無機物に思いもよらぬ動きや視点を与えることで、違和感や居心地の悪さとともに、あらゆる物に個々の時間が流れていることや認識しきれないさまざまな現象への想像を広げさせる作品を制作している。

自身初の個展となる本展では、新作の映像作品、大小さまざまな彫刻作品、インスタレーション作品が発表される。

“When the cat’s away, the mice will play” full installation / 2021 / mixed media

“so many plastics, so many days” / 2022 / 6’20’’ single channel video

“Building Flies” / 2022 / single channel video

以下、アーティストステートメントだ。

駅に向かういつもの道で瓦礫の山を見つけた。何の建物だったかとしばらく考えたが思い出せない。明日にはこうして忘れてたことさえもう覚えていないのかもしれない。日々きりがないくらい何かを忘れながら、そしてそれ以前に記憶にすら留まらない色々に気づかないまま生きていると考えると、忘れられていくもの、見落とされているものにも人と同じ時間が流れ、それぞれの物語が紡がれている。
家の埃は服や布団の繊維、外から来た砂などで出来ていると聞いた事があるが、うちの埃にもさっきの瓦礫の塵が混じっているかもしれないと思うと、長い旅の末そこにあるように感じて掃除できなかったりする。それは自分の彫刻が身勝手に動き予測不能な方向へ行ったり、摩擦や劣化により変化しても、元のように修復せずそのままにしておきたいと思う感覚に近い。
毎日見きれない程の情報が目に入ってきて、自分たちの生活に関係がないことはほとんどが素通りされてしまう。彫刻はそんな存在たちの日々を見つめ、想像する助けになるように思う。
– 横手 太紀

INFORMATION

横手太紀|Taiki Yokote solo exhibition『even a worm will turn』

会期:2022年5月21日(土) – 6月19日(日)14:00 – 19:00
休廊:月・火
会場:parcel(東京都中央区日本橋馬喰町2-2-14 まるか2F)

https://parceltokyo.jp/exhibition/ty-evenawormwillturn/