福島県、宮城県、茨城県内の常磐線沿線を中心とし、各所で上演、ワークショップ、地域を知るツアーなどのプログラムを実施する「常磐線舞台芸術祭 2023」が、7月31日~8月13日の14日間に渡って開催される。
本芸術祭は、福島県在住の劇作家・小説家の柳美里が発起人となり2018年より計画し、開催に向け始動したものの、コロナ禍の影響により延期を余儀なくされ、今年晴れて開催を迎える運びとなったもの。プログラム・ディレクターは柳美里、フェスティバル・コーディネーターは平田オリザが務め、20を超えるプログラムが開催される。初回テーマは「つなぐ、」。
常磐線の駅舎周辺を舞台に、作家と音楽家が共演し、ジャンルを横断してオリジナリティを交錯させるパフォーマンス企画「Voice on Voice」には後藤正文、尾崎世界観、田島貴男(Original Love)、Miyaもクレジット。さらにワークショップやフードマーケット、土地に根付いた伝統芸能や文化も披露されるオープニング/クロージングイベントまで、「つなぐ、」プログラムが多彩に展開される。
そのラインナップのなかでとくに注目したいのが、青森中央高校演劇部×福島県の高校性たちによる演劇『もしイタ〜もし高校野球の女子マネージャーが青森の「イタコ」を呼んだら』だ。詳しくはオフィシャルサイトで確認してほしいが、東日本大震災から12年を経たいま、この演劇がどのような光景を、未来を描くだろう。
以下、本芸術祭の実行委員にも名を連ねる地域活動家・小松理虔によるステートメントだ。
「手繰り寄せる、線を」
わたしたちは線を引く。
わたしとあなた、
自国と他国、
北と南、
東と西。
いつの時代も、どの土地でも、
わたしたちは線を引き、自分たちが何者であるかを知ろうとしてきた。
そしてまた、わたしたちを「圏内/圏外」というように切り分け、
「来てはいけない土地」を作りもした。けれど、内と外をつなぐのも線だ。
道によって点と点は線となりヒトとモノはめぐる。
共感や情という線は、その姿形は見えなくとも、わたしとあなたを隔てていた
もう 1 本の線を溶かし、あるいは超え、くぐり抜けてゆく。
そのことを、わたしたちは大きな災害を通じて感じ取った。線は、わたしとあなたをつなぐだろうか。
それとも、分かち断っただろうか。
わたしとあなたの線。
演者と観客の線。
生者と死者の線。
圏内と圏外の線。
線は今、どこにあるのか。どこに引かれていたのか。
考え、そして問いたい。だから、わたしたちは、手繰り寄せる。
その線を。
INFORMATION
常磐線舞台芸術祭 2023
JOBAN LINE PERFORMING ARTS FESTIVAL 2023
会期:2023年7月31日(月) – 8月13日(日)
開催地:福島県、宮城県、茨城県内常磐線沿線、他
参加団体・アーティスト:青森中央高校演劇部/福島県の高校生たち、尾崎世界観(クリープハイプ)、小松理虔、後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)、佐藤厚志、 青春五月党、青年団、田島貴男(Original Love)、津村禮次郎、畑澤聖悟、福名理穂(ぱぷりか)、古川日出男、堀川 炎、Miya、 森 幸彦、山本卓卓(範宙遊泳)、柳 美里、和合亮一、渡辺源四郎商店、他
主催:常磐線舞台芸術祭実行委員会、一般社団法人常磐線舞台芸術祭、一般社団法人OSPA
公式ウェブサイト:http://joban-line-paf.jp/