フランスと日本を拠点に活動を展開するアーティスト、保良雄の個展「種子だけに趣旨が – this ground is still alive in Jingumae」が現在、ワタリウム美術館B1のライトシード・ギャラリーで開催中だが、その関連イベント「種子を呑み 趣旨をキク」が7月15日に行われる。
テクノロジー、生物、無生物、人間を縦軸ではなく横軸で捉え、存在を存在として認めることを制作の目的としている保良。2022年の「Reborn-Art Festival」では、急速なピッチで復興が進められている宮城県石巻市内のきれいに整地された場所を、あえて掘り返し、種子を蒔き、耕す行為によって「まだ生きている土地=インディペンデントな農園」を蘇らせる作品を発表した。本展は、そのアーカイブであると同時に、そこから発展的に生み出されるドローイング、写真、陶器、音響、苗などによる新作が発表されているほか、被災を経験した北の土地から、未だ災厄の前夜であり続けている東京の土地に場所を移して農園を作る試みも、ワタリウム美術館前空き地において同時に進められている。
その保良による「呑み」かつ「キク(聞く)」イベントが「種子を呑み 趣旨をキク」だ。
「呑む」は、薬草の根(ルート)のハーブや、数十種類のスパイスなどを調合して作る薬膳炭酸飲料、ルートビアの専門店であるTHE ROOT BEER JOURNEYが、保良の屋外作品である野菜畑で採れた野菜の根やハーブを調合して作る樽生ルートビアを一夜限りで提供。ルートビアは、ネイティブ・アメリカンのホーリースティックな飲料をルーツに持つ、アメリカ発祥の伝統的な飲み物であり、THE ROOT BEER JOURNEYは“クラフトオブマッドネス”をモットーに旅をするようにルートビアの可能性を拡張している。
「キク(聞く)」は、本展において、石巻の環境音や野菜が石巻から東京に輸送される間に聞いていた音を使用して展示空間のサウンドディレクションを行なっている音楽家・佐藤亜矢子が、THE ROOT BEER JOURNEY工房にて録音した「ルートビア・サウンド」を再構築するライブパフォーマンスとなる。
と、なにやらわかったようなわからないようなことになっているが、なんとなく気になったら現地で体験してみてほしい。石巻と東京が根っこでつながる一夜……というか物理的な距離があるだけでそもそもそこには隔たりなんてない、ということか。
INFORMATION
保良雄 個展「種子だけに趣旨が – this ground is still alive in Jingumae」関連イベント
種子を呑み 趣旨をキク
with THE ROOT BEER JOURNEY + 佐藤亜矢子
日程:2023年7月15日(土)19:00 – 21:00
会場:ライトシード・ギャラリー(東京都渋谷区神宮前3-7-6 ワタリウム美術館B1)
参加費:1,000円(生ルートビア1杯付)
申込方法:メールにて件名「種子を呑み趣旨をキクに参加」として、1)お名前、2)参加人数、3) 電話番号を記入のうえ onsundays@watarium.co.jp までお送りください。参加費は当日精算となります。
保良雄 個展「種子だけに趣旨が – this ground is still alive in Jingumae」
会期:2023 年6 月16 日(金) – 7 月25 日(火)11:00 – 20:00
会場:ライトシード・ギャラリー+ワタリウム美術館前空き地