クリエイティブに携わる人々に、お気に入りのZINEをレコメンドしてもらう連載シリーズ『ZINEspiration』。
今回は、グラフィティやストリートカルチャーをコミカルにトランスレーションしたキャラクター〈BOYくん〉を描くTOWN BOY(君)に、自宅兼ショップの「ホームショップ TOWN」でインタビューした。
今年の春、岡山県美星町(TOWN BOY(君)いわく「B-TOWN」)から上京し、自宅にて「ホームショップ TOWN」をオープンしたTOWN BOY(君)。「来店」した客は、自作の棚に置かれているTOWN BOY(君)の私物すべてを、商品として購入することができるのだという。なぜ自宅をショップにしようと思ったのだろうか。
「本気で商売として店をやろうと思って始めたわけじゃないんですけど、上京したばっかりだから知り合いも少ないし、誰か家に来てくれたらいいなと。遊びに来てもらうきっかけみたいな感じでやってますね。コレクター気質なので、ネットとか通りすがりの店で買い集めたものがいろいろあるし、それを売ろうかなって。オープンしてからは、ぽつぽつお客さんが来てくれて、みんな全然面識がない人ばっかりです。東京に出てきた理由は、岡山にいるときは実家だったから、自立しないとモテないかなと思ったからですね。まあ実際、上京してもモテないっすけど」
話を聞いてみると、拍子抜けするほど肩の力が抜けたスタンスで活動をしているTOWN BOY(君)だが、現在の名前で活動を始めたり、彼のアイコンでもある〈BOYくん〉のキャラクターが誕生したのは3年前のこと。その時期が彼にとっての転機になったのだそう。
「友達がハードコアバンドをやってた影響もあって、20歳ぐらいからアンダーグラウンドなカルチャーが好きで。その当時から絵は描いてたけど、全然形にならなくて、1年に数回しか描かない感じだった。会社員だったから仕事も忙しかったし、その頃付き合ってた彼女と遊んでる方が楽しかったんで……。そのうちにリーマンショックの影響で会社がマジでヤバくなって、給料が半分以下ぐらいになって。その衝撃がすごくて、生きていくためには『普通にならなきゃダメなのかな』と思ったんです。その前までは洋服もハードコアバンドのTシャツとかばっかり着てたけど、全身ユニクロにして。その頃は、当時の彼女が好きそうな、ちょっとナチュラル系な感じの絵ばっかり描いてましたね……。でもだんだん、そんな自分が気持ち悪くなってきて、全部やめた。そういう時期を越えて、自分のことをわかってきたのが2015年です。その辺りから、TOWNBOY(君)を名乗ったり、〈BOYくん〉を描き始めるようになりました」
転機を経て、〈BOYくん〉を生み出したことをきっかけに、徐々にその名が知られるようになりつつあるTOWN BOY(君)。すべてにおいてどこまで本気かわからないTOWN BOY(君)が抱いている今後の展望(?)は意外なものだった。
「〈TOWNBOY焼き〉っていうたい焼き屋をやりたいですね。BOYくんが食べられたらいいなと前から思っていて。たい焼きって日本的でよくないですか? お店をやるとしたら地元の岡山ですね。東京にはそんなに長いこといられないなと思ってるから。まあ、できたらいいなっていうくらいの感じなんですけどね。別に有名になりたくもないですし。有名じゃないくらいの方がかっこいいじゃないですか」
【TOWN BOYがレコメンドするZINE5冊】
INFORMATION
TOWN BOY(君)個展「こんにちは、原宿」
2018年8月25日(土)~8月31日(金)
10:00-19:00
offshore
東京都渋谷区神宮前3-14-17 1F A/B