CULTURE 2017.08.15

ベルリン式 週末菜食生活[WEEKEND VEGETARIAN Vol.00]

EYESCREAM編集部
EYESCREAM編集部

はじめまして。ベルリン在住6年目、料理家/アクティヴィストの渡辺彰子、通称あっこです。次回から3回にわたってEYESCREAM読者のみなさまに週末に身体をデトックス&リセットできる、スパイスとハーブを使ったベジタリアン・レシピを紹介していきます。よろしくお願いしまーす。

今回は連載を始めるにあたり、少し自己紹介と連載のコンセプトを。

2011年の震災の時、私は渋谷で静岡おでんの居酒屋を経営していました。福島第一原発の事故の後、情報が混乱している中で営業を続けるにあたり、食材を買う時に全て産地をチェックするという日々が始まりました。子供連れのお客さんもいますし、なるべくリスクを避けたかった 。それまでは国産であれば基本安心していたのですが、その価値観が覆されました。店内の黒板のメニューにも全て産地を記入しましたが、まわりを見てもそんな事をやっているお店はほぼ皆無。そんなこんなで以前より食を始めその他のライフスタイル全体を考えなおすようになり、ベルリンへの移住を決めたのが2011年の8月でした。

2012年2月、実際にベルリンに引っ越してみると、この街ではベジタリアンやヴィーガンの人は現在約10%ほどと言われ、かなり浸透していました。レストランでは必ず1つ以上、ベジタリアン/ヴィーガン・メニューが用意されています。ハンバーガーの専門店にも必ずヴィーガン・バーガーがあります。わたしの友達も男女問わず、約半数の人が何らかの形で肉を食べるのを控えめにしているようです。

正式にベジタリアンまたはヴィーガンではなくても、肉をなるべく食べないという選択をしている人が多いのです。その理由は動物愛護、現在の肉の生産方法をサポートしたくない、または環境保護がメインで、プラス健康を考えて、という人が多いですが、人によってその取り組み方もまちまち。
週1回だけ肉を食べると決めている人もいれば、ざっくり月に1、2回にしている、友達と外食の時は食べるけど家では調理しないと決めている、などそれぞれ自分のスタイルで気軽に取り組んでいるようです。中には12年やっていたヴィーガンをやめて月に1回は肉を食べるようにしている、なんてヴィーガンを卒業した人や、旅行中だけは他の国の文化を知るために肉も食べる、という人もいて、自由な形のゆるいベジタリアンが沢山います。
今年の7月に行われた、ベルリン・フード・アート・ウィークのメインテーマは「VS.MEAT」だったりとベルリンではある意味、肉食について考え直すことが今とてもトレンディであるとも言えます。
ビートルズのポール・マッカートニーも2009年から“Meet Free Monday=月曜日は肉を食べない日!”というキャンペーンをやっています。肉の消費を減らすことで地球の温暖化を遅らせることができるというのが目的のようです。

ケータリングの様子。ベルリンの人は天気がいいと外で食べるのが大好き:)オフィスの外にテーブルを出してみんなでランチ。

私もベルリンに来て数ヶ月経ったとき、ベジタリアンになろうと思い立ち今に至ります。私の場合、基本はヴィーガン、でも時々玉子やチーズ,ごくたまに魚も(ベルリンでは日本のように新鮮で美味しい魚をスーパーで買うことはできません)栄養不足にならないように取り入れます。肉は外でも家でも食べませんが、職業柄、食べたことのない伝統料理等、興味深いレシピの肉料理を友達が食べていたら一口味見させてもらう、というかんじでベジタリアンをやっています。
ケータリングの仕事の機会が多いのですが、例えば50人前のオーダーだと、その内だいたい5、6人からヴィーガン、ベジタリアンのリクエストがあるので、 全員が同じ物を一緒に食べられるようにと自然にヴィーガンレシピが増えました。しかし肉食の人にも文句を言われないよう、動物性のものを使わずにいかに印象的なうまみを作れるかというチャレンジを楽しんでいるといったところ。

ベルリンで作ってきたベジ料理

今回の連載では、「週末に肉抜きにすることで、胃腸を休ませて元気をリセット、すっきり翌週を始められるように」という願いを込めて、気軽に取り入れられる簡単ベジタリアン・レシピを紹介していきます。
野菜だけの食事というのは、消化がよく胃腸に負担が少なくて(消化にかかる時間は肉の四分の一以下だとか)身体を休ませることができるだけでなく、食物繊維が腸内を掃除してくれます。普段肉を食べている友達が、私のベジタリアン・ディナーを食べた翌朝「お通じが快調すぎてびっくりした!デトックスされた感じがするー」とメールをくれたことも。是非そんな気持ちよさを体験していただけたら。
さらに、身体の巡りをよくし、デトックスや浄化作用、元気を触発するスパイスやハーブを使っていますので、そのメディカルな力も感じてもらえたら最高です。

こちらはダンス・イベントのディナーの時。アートやIT系のイベントでベジタリアン〜ヴィーガンのリクエストが多い。

クラブの周年パーティでヴィーガン寿司のケータリングなんて仕事も。

せっかくの週末ですから、時間を他の事にもたっぷり使えるように超簡単なレシピにしました。どれも自分好みにアレンジしやすく、少し多めに作って土日に連続で食べても飽きないことも前提にしています。
是非自分で自分の身体のために作る料理を楽しんでいただけたら幸いです。身体に優しいだけでなく、環境にも動物にも優しいのですから3重丸。
よろしくお願いします。

Profile

あっこ(ROKU Berlin) / 渡辺彰子
1972年静岡生まれ。1990年より東京在住。レコード屋、派遣、洋服屋、コンビニ等のバイトから エイベックス、GAGAなどの大きい会社での制作、PR等様々な職業を経て、2005年3月、東京渋谷区宇田川町に静岡おでんの居酒屋ロクをオープン。2011年の震災をきっかけに2012年2月より急遽ベルリンに移住。 食に対する考えを新たに、その後ベジタリアンに移行し、2012年9月よりROKU Berlin(https://www.instagram.com/ROKU_Berlin/
としてケータリング事業を始める。新しいレシピの開発や料理の組み合わせを研究しながら、時間があればリサイクル・コラージュ・プロジェクトJA HAI YES(https://www.instagram.com/ja_hai_yes/)として裁縫しつつ、総合的にはアクティヴィストを目指して頭の中のカオスを 整頓する日々。

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