数多あるショップの中で、特に他と異なるスポットがある。そこに集まってくるのはアーティストであったりクリエイターであったり。ただ服を買う場所ではなく、次世代の才能が集まってくる場所が、今の時代を形成する。そんな”訪れる価値のある”特別なショップ=発信地をピックアップしていきたい。TRANSMISSION BLOCK、第五回目は、東京のショップ、THE FOUR-EYED。
もっともEYESCREAM的なスポットで、真の意味でTRANSMISSION BLOCKだと思うショップが、ここTHE FOUR-EYEDだ。歌舞伎町を通り抜けたラブホテルの裏側に位置するセレクトショップ、雑居ビルの1階でネオン管の光が出迎えてくれる場所。オーナーの藤田佳祐さんはEYESCREAM本誌2017年4月号「トーキョー古着カルチャー」にも出演いただいたし、本WEBのリニューアルスタートに際してはイメージムービーにも、ショップが登場している。スタイリストやフォトグラファー、モデルや俳優/女優が集まる場所について、あらためて写真と藤田さんのインタビュー文を合わせてご紹介したい。
以前(2017年3月)、THE FOUR-EYEDを取材した際に、このショップは「お店の形を追求するために実験的にやってる場所なんです。ショッピングだけならウェブには適わないと実感していて、実店舗にその伸び代は少ないので、何が次の時代の本質なのかを考えているんですよ。それにチャレンジするというプロセスこそがお店の価値だと思う」という話を聞いていた。そして「ファッションは、ときに商業的ですが、カッコいいことを追求していく方が生産的だし利益的。だからこそ新たなことにチャレンジすべき」と藤田さんは教えてくれた。さて、これを踏まえて藤田さんに再度、THE FOUR-EYEDという存在について話を聞く。
ー当時、HP上でのオリジナルビジュアルを展開してアイディアがあるという話をしてもらって。それがローンチされビジュアルとして公開されていますが、反応はどうですか?
「撮りためていたポートフォリオを掲載しているんですが、反応は海外からの方が多いですね。国内外問わず連絡をもらうのはカメラマンの方が多いんですよ。”作品が好きだからフォトセッションをさせてほしい”だとか、そういうメッセージをいただいています。あとはブランドのキャンペーンとしてビジュアルを制作したい、という話もありがたいことによくされるようになりました。PRの一環として、その先はポップアップも兼ねて、というパッケージでのやり方が最近は増えてきたように感じていますね」
ー現実として形になっていることがすごいことだと思います。
「そういう取り組みができていることは、すごく良いことだと考えていますよ。場所があって、クリエイションを経て、ブランドとの連携が取れるというのは非常に綺麗な流れですよね。ただ、僕らも営利目的でやっているのではなくて、クリエイションを活かし合って楽しみながら制作し、お互いの価値を高め合いたいという気持ちがあるので、今は厳選してやっています。好きで面白そうだと感じる人とのクリエーションが重要ですね」
THE FOUR-EYEDのHPで公開されているオリジナルビジュアル。
ーこのビジュアル群、かなり個性的だと思うのですが、どんな風に制作されているんですか?
「いえ、正直に言ってしまうとノリですよね(笑)。舞子さん(※)と『こうやったら面白いんじゃない?』とか、そんな風に和気藹々と話しながらやっているんです。今後は出演してくれる人からのアイディアも共有しつつやっていきたいと考えています」
※渋川舞子さんはTHE FOUR-EYEDのディレクターとして参加しているフリー・ファッションディレクター兼スタイリスト
ー現在は17AWの4回目までが公開されていますが、更新規則や回数に決まりはあるんですか?
「これも2人で手が空いたらやっている感じなんですよ。もっとコンスタントにやっていきたいという気持ちがあるんですけどね。お店も並行しながら運営、製作しているので、まずは自分たちのペースで続けて行きたいと思っています」
ーこうして取材に来てみても、お客さんはやっぱりモデルさんやスタイリストさんなどが多く訪れてらっしゃるようですね。
「そうですね、ファッションに関係している人はずっと多いですね。スタイリストさん、ヘアメイクさんだとか。最近は地方からも学生の子が来てくれるのでそれが嬉しいんですよ。最近は新聞でも取り上げていただくことがあったので、お洒落が好きな年配の方も多く来てくれています」
偶然訪れていたモデルのるぅこさんやゆらさんなど、ファッションに携わる多くの人が訪れる。
スタッフでもあるウラさんはTHE FOUR-EYEDの看板娘、兼モデル。”あのブランド”もモデルとして起用しているっっ
ー今、THE FOUR-EYEDがチャレンジしていることは何ですか?
「今年の冬からチャレンジしているのは、ドメスティックブランドとのコラボアイテムを独自に展開するということですね。例えば、John’s by JOHNNYとはコラボのダウンジャケットを限定30着で製作しました。シルバーなんて即完で。このダウンは僕が3年前に購入して気に入ってずっと着ていたアイテムなんですよ。そしたら、色んな人から欲しがられたりもしたので、今回のコラボレーションに発展したんです。単純にブランドとコラボする、ということだけではなく、ブランド的にもプラスになる要素を見出しながら、来シーズンも色んなブランドとやっていこうという考えがありますよ」
ーちなみに次季シーズンで計画されているコラボレーションは?
「18SSでは、ブランド、NORIKONAKAZATOと牡蠣のTシャツを作ろうかと計画しているところです。オイスターのグラフィックに真珠を施したりして」
ー以前、WEBの可能性についても言及されていましたが、インターネットを使った展開で何か計画されていることはありますか?
「完全に僕の頭で考えていることなんですが、今後はYouTuberと何かやってみたい、と思っていますね」
ーYouTuberですか??
「ええ。というのも、YouTuberの映像って独特の編集の仕方があるんですよ。でも、そこにファッション要素が入ることがないと感じているんですよね。だからこそ、そこに可能性を感じているんです。そのユーチューバーのファンにとっても、僕らにとっても面白いような、視覚を養うようなユーモラスなことができればいいな、と。特に日本では動画の活用の余地がまだまだあると思うので、そこを伸ばしていくような企画にチャレンジしていきたいと思っていますね」
ーなるほど、動画とWEBの関連性については私も色々と活用していきたいと考えるところでした。
「あとはWEBショップの次なる形を表現したいと思っているんですよね。例えばメルカリ用のディスカウントショップであるとか。アプリユーザ向けのオンラインショップという形でアカウントを持って、視覚的にもディレクションしたうえで、新たな形としてやってみたいと考えているんです」
ーメルカリ、また意外すぎますね
「というのも、ファッションアプリで考えると、現状ではもっともアクセスされているアプリだと思うんですよね。WEBでは、如何に広い間口に、向けて公開できるかということや、そのアプリ自体のアクセス数、集客数が重要だと思っています。そうでなくてはWEBでやる意味がないと思うんですよね。例えば、そういうオンラインショップが展開できれば、メルカリを使用する世代に向けて新たな機会を提供できると思いますし、新しい使い方を提案できると思いますし」
次々に新たな形でファッションカルチャーを提示する場所、THE FOUR-EYED。次の時代へ向けてチャレンジしていくという精神が、この場所にあり、だからこそ他にはないセレクトが実現されていて、それを享受する人がクリエイターからファショニスタまで幅広く通っている。東京からファッションを面白くしていく場所として、今後、どんな面白い展開がされていくのか楽しみでならないのだ。