“FRUITADE PRODUCED BY ATMOS”の制作を自らの成長にYouthQuakeのジャイアントリープ

“FRUITADE PRODUCED BY ATMOS”というプロジェクトがある。この企画はNIKE AIR MAX 1 PRM LIMEADEの発売を皮切りに、atmosが”架空のレモネードショップ”をプロデュースするという名目で行われているもの。同企画にてNIKE AIR MAX 1 PRM PINK LEMONADEが発表、来る11月26日(木)にNIKE AIR MAX 1 PRM LEMONADEが復刻発売される。
これまで公表されてこなかったが、本プロジェクトのクリエイティブディレクションに携わっているのがYouthQuakeだ。実際のショップをイメージしながら、プロジェクトのCM、関連マーチャンダイズのデザインまでを一手に引き受けている。プロジェクトの根底にあるスニーカーはこちら。

現代東京ストリートの次世代を担うクルーとして知られる彼らは、”FRUITADE PRODUCED BY ATMOS”において、どのような創作を行ったのだろうか。こういったプロジェクトにクルーとしてYouthQuakeが参加するのは今回が(ほぼ)初めてのこと。これまでとは少し性格が異なる制作を行うことでYouthQuakeは、いくつもの壁を乗り越えていった。そして、それを成し遂げた今、クルーは、この経験が自身を向上させたことを各々感じている。パンデミックで世界が暗い時代だが、こんなときに必要なのはストリートカルチャーの根底にある”災い転じて福となす”というポジティブな思考回路とフロンティアスピリッツだろう。まさしく、そんな制作を遂行したYouthQuakeをインタビュー。このプロジェクトを中心となって動かしたRiKiYAを筆頭に、Bobby Yamamoto、Kazuhoが参加してくれた。撮影にはYouthQuakeメンバー全員が登場。撮影を担当したのはRyohei Ambo。”FRUITADE PRODUCED BY ATMOS”で制作したビジュアル撮影も担当している。

前列(柵前)_Kazuho, Bobby Yamamoto, Tsukasa, RiKiYA, udai
後列(柵上)_Porno, sénan, Kei Hashimoto

YouthQuakeとして初めての大きなディレクション仕事

ー今回、YouthQuakeとしてプロジェクト”FRUITADE PRODUCED BY ATMOS”のクリエイティブディレクションを担当したわけですが、こういった制作を行うのはクルーとして初めてのことですか?

RiKiYA:ここまで深く携わらさせていただくのは初めてのことでした。架空のレモネードショップのプロデュースということでコンセプトも明確に決まっいて、スケジュール的にもタイトだったんですが、企業やブランドとタッグを組んで、自分たちがプロデュースをするということは、今後やっていきたい事柄の1つでしたし、いずれはYouthQuakeとして起業して制作などの活動を行なっていきたいと考えているので、良いチャンスだと思いました。”FRUITADE”という言葉も考えさせてもらったんですよ。

ー”FRUITADE”にはどんな意味を持たせていますか?

RiKiYA:架空のレモネードショップの背景にはNIKE AIR MAX 1 PRM LEMONADE(エアマックス1 プレミアム “レモネード”)があるわけなんですが、今回発表されたスニーカーはLIMEADEとPINKLEMONADEのカラー展開があるわけなので、より広い意味でフルーツを意味する言葉をテーマにしたいと考えたんです。そこでFRUITS×ADEで”FRUITADE”。馴染み深い言葉でないと思うんですけど、字面として意味合いが伝わると思うんです。3種類のフルーツがスニーカーに落とし込まれている面白さを伝えたくて選んだ言葉ですね。

ー今回のプロジェクトにおけるYouthQuakeのメンバーの役割は?

RiKiYA:草案は全員で作って方向性が決まったうえで、今回は僕が中心となって進行させていきました。メンバーの意見を吸い上げて、それをフィードバックして、という流れで進めていったんです。YouthQuakeはメンバーそれぞれが普段やっている活動があるので、その適性に応じて作業分担していきましたね。

Bobby Yamamoto:例えば、ファッションに関して言えば、ヴィジュアルのスタイリングをKeiとTsukasaが担当したり。

Kazuho:僕がグラフィックのデザインを担当したり、といった形です。デザインも自分1人で行なっていたわけではなくBobbyにも担当してもらって。

ープロジェクトを進行するうえで、もっとも時間をかけたのは?

RiKiYA:1番最初のテーマとロゴを制作する段階がもっとも大変でしたね。それぞれのスニーカーの良い見せ方と架空のレモネードショップをどうやって綺麗に結びつけていくのかを全員で意見を出し合いながら決めていきました。結果的に、架空のショップながら実際に営業しているかのようなリアリティを出しつつ、同時にコンセプトに合うインスタレーションになったと思います。

視聴者の感情を動かすことを重視したムービー

ー今回制作したCMは、過去の清涼飲料水のCMを参考にされたのだとか?

RiKiYA:はい。この辺りは映像担当でもあるudaiとも話し合いながら、70〜80’sのアメリカの清涼飲料水のCMを見て、その世界観から着想を得ました。なので画角も昔のテレビサイズにしていたりします。当時の飲料系CMって見ていて面白みがありますし、今、自分がテレビを見ていて、あんなCMが流れてきたら無意識に見ると思うんですよね。色遣いや表現にしてもそう。何か頭の片隅に引っかかる表現が多いと感じるんですが、それってCMにおいて重要な要素じゃないですか。いかに視聴者の記憶に擦り込むか、ということが大切ですし、人に何でもいいから何らかの印象を与える部分が昔のCMには強いように思います。CM撮影にはクルーメンバー以外にもHeiyuuくん(Creative Drug Store)といった信頼できる方々にも協力してもらって具現化していきました。出演しているモデル、Shunsukeくん、AN JIJIさん、Ayanaさんの3人も企画草案の時点から決めていて、そのまま参加してもらえたので本当に良かったです。

ーCMではレトロで、ちょっとクスッとしてしまうような描写が描かれていますが、ここにはどのようなストーリーがありますか?

RiKiYA:逆にあまりストーリー性を持たせないようにしました。音楽に合わせて、フレッシュで爽やかなシーンが羅列されて最後にタイトルがドンと出るような映像を表現したかったんです。なので、重要だったのは、どういう画を具体的に作ることができるのかということで、そこに重きをおいたコンテを作って撮影に挑んだんです。強いて言うなら2点だけ、CM内におけるレモネードショップのメンズスタッフがプロジェクトロゴのグラフィックキャラクターを連想させる人物像であったり、真っ白のAIR MAX 1にフルーツがぶつかってNIKE AIR MAX 1 PRM LEMONADEのデザインに変化したり、という描写には、多少の物語性を落とし込んでいます。

※NIKE AIR MAX 1 PRM LIMEADE発売時におけるRyohei Ambo撮影のフォトビジュアル

※NIKE AIR MAX 1 PRM PINK LEMONADE発売時におけるRyohei Ambo撮影のフォトビジュアル

ーなるほど。今回のプロジェクトにおいてメインとなるアイテムはNIKE AIR MAX 1 PRM LEMONADEなわけですが、このスニーカーに対して、そもそもどんなイメージがありましたか?

RiKiYA:ベースとなっているAIR MAX 1は、90’sカルチャーが好きな人が履くスニーカーだというイメージが強かったです。CMに出演してもらったShunsukeくんも実際にそうで、彼の履きこなし方がカッコいいと思ったのでオファーしましたしね。

Bobby Yamamoto:Shunsukeくんがショーツに合わせてカッコよく履いていた姿を見て、カッコいいスニーカーだなって憧れましたし、やっぱりショーツに合う1足っていうイメージはありますね。

ー実際、皆さんにとってスニーカーはどんなファッションアイテムですか?

Bobby Yamamoto:僕はファッションアイテムの中で物としてスニーカーだとか靴が1番好きですね。サッカーをやっていたのもあるかもしれないですけど、同じユニフォームを着ていると、他の人と違うものを合わせられるのってシューズだけになるじゃないですか。そんな意味で、子供の頃から自分にとっては重要なアイテムですし、1番こだわるかもしれないです。

Kazuho:確かに、その日履いていく靴選びはめちゃくちゃ時間がかかる。玄関でああでもない、こうでもないって考えて、1回外に出たのに「やっぱ違うな」って戻ることもあるぐらいだよね。

RiKiYA:あるある。だから僕ら、”靴選び遅刻”っていうのがよくあるんですよ(笑)。

今回の経験を経て組織としての課題が見え
やるべきことや目標が明確に

ーそれだけスニーカーが重要なポイントだと言うことですよね。では、”FRUITADE PRODUCED BY ATMOS”を進行するうえで大変だったことはありますか?

RiKiYA:やはりクライアントワークなので自分勝手に何でも決められるわけではないじゃないですか。相手のためを思って考えたアイディアが簡単には受け入れてもらえないだとか、そういう大変さはありましたね。様々な面で制約も多かったのですが、こういうことは今までに自分たちが経験したことではなかったので非常に勉強になりました。何か考えていた表現が出来なくなった場合には、代替案を考えなくてはいけないので、自分たちとしてはどうするか?って相談をメンバーにしていました。その都度、話し合って軸がブレないように修正を加えていく作業でしたね。

Bobby Yamamoto:だから、みんなで会う機会も自然と増えていったんですよね。LINEでやり取りするだけじゃまとまらないから、集まろうって。全員が集合して決めていかないと話が進まないことが多かったですし、スケジュール的にも間に合わないような事態だったので、顔を合わせる頻度が増えていたと思います。

Kazuho:YouthQuakeとしての定例会を自分の家で月1で行っているんですけど、そこにプラスしてプロジェクト進行のために集合していましたね。

Bobby Yamamoto:特にロゴグラフィックのデザインを作っていく段階では苦労も多かったです。最初にあった案に修正を加えながら、なんとか落とし所を探っていったんですよ。

YouthQuakeがディレクションしたマーチャンダイズ群。このアイテムはatmosの店舗で販売され、売り上げの一部が一般財団法人渋谷区観光協会にドネーションされる。このドネーションは、コロナ禍によって疲弊した渋谷のストリートを少しでも元気づけたい、というatmosの思いが込められている。今回のプロジェクト全体を通して、ストリートへの愛情が伝わってくるが、この試みはそれを端的に示しているものだろう。

ー今回のプロジェクトはatmosとNikeという2つのスニーカーを代表するカンパニーが関わっているわけなので、大変なことも多かった分、クルーにとっても大きな糧になったのでは、と思うんです。

RiKiYA:そうですね。こういう大きなクライアントと一緒に仕事をすることが出来て、しかも、それが初めてのことだったので、この経験は大きかったと思います。もちろん、ただ楽しいだけではなかったですし、納得しにくい部分もありましたけど、全部が希望通りにならないってことと、実現に向けて最適解を探しながらコース取りをしていかなくてはいけないんだってことを体験できたのは今後の活動に活かされていくと思います。今後同じようなケースがあった場合に、そこに柔軟に対応できるようになりつつあるのかな、と感じているんですよ。もちろん、まだまだだとは思うんですけど、その基盤が整ってきたように思っています。クルーとしても、より組織として強く成立していくために必要なことが少し見えた気がしています。今までは個々の動きがメインだったんですが、それがチームとして動くことになったときに、今後は、ただの1+1にならないように持って行きやすくなったのかな、と。

Bobby Yamamoto:今まで自分たちが商品開発に関わっていないものをプロデュースすること自体がなかったので貴重な体験でした。すでにあるプロダクトをどのように魅力的に人に伝えていくのかを考えるうえでの想像力が養われたと思います。何をどうクリエイションしていくのか、アプローチの仕方の面で様々なことを学ぶことができたなって。

Kazuho:今回のプロジェクトを進行していて、もっと自分たちにできる幅を増やせたらって思ったんですよね。自分たちだけで完結できることが少なくて、人の協力が今回は不可欠だったので、いずれは自分たちだけで1つすべてを作り上げられるように努力する必要があると感じました。自分の場合はそれがデザインになるんですが、そんな課題が見つかった感覚があります。

ーでは、今後YouthQuakeとしてやっていきたい目標を教えてください。

Bobby Yamamoto:2020年、コロナ禍を経て、今の時代が後世で何て呼ばれるかはわからないんですけど、横の繋がりも含めて、”あの時代”って言われる存在の1つになっていきたいと考えています。クルーという意味で言えば、個々の強みが歳を重ねていくうちに出来てきて。最初にRiKiYAが言ったように、ゆくゆくは会社として成立させたいという目標もありつつ、メンバーそれぞれの強みをより活かして何かを成功させたいですね。それに、自分だってもっと特技を磨いていきたい。他メンバーにもそうしてほしいという思いもあるし、クルー内においても負けないようにやっていきたいと思っています。

Kazuho:2人が言うように、メンバーが各々の分野のプロフェッショナルになっていって、そこからが楽しいと思いますし、本当のYouthQuakeとして面白い活動ができると思っています。

RiKiYA:今回のプロジェクトもそうなんですが、2020年のコロナ禍を経て、緊急事態宣言中は、今後のことを考えたり、これまでやってこなかったことに打ち込むこともできたし、自分としては特に変わりなく。考える時間をもらえたと感じているんですが、結局のところ、自分たちがやるべきことは変わっていない。それに気づけたって感じがあるんですよ。メンバー各々に活動していて、クルーとしては繋がってはいるけど、まったく別なことをやっている状態ではあるので、まずは自分の好きなことに全力を注ぎつつ、そのうえでチームになったときに、その足し算がもっと上にいくようなものでありたいと思うし、自分たちの色を確立していきたいです。何かっぽい、ではなく。そこを目指していきたいですね。オリジナルという部分でもカラーという意味でも。現代という意味で考えても、”裏原”というカルチャーがあったように、そんな風に言葉で表現されるくらいの存在になっていきたいと思っています。同時に、世界から見ても、今の東京がイケてるって思われたいし、先輩の世代から見ても、今の世代のヤツらは頑張っていると思われたい。カルチャー的な意味で、この世代にはYouthQuakeってヤツらがいてって形で認識されるようになっていきたいですね。

INFORMATION

NIKE AIR MAX 1 PRM LEMONADE

NIKE AIR MAX 1 PRM LEMONADEは、11月23日よりatmos HPより抽選開始。
詳細は、FRUITADE特設サイトをご覧ください。

FRUITNADE PRODUCED BY ATMOS
https://www.atmos-tokyo.com/lp/nike-air-max-prm-lemonade
https://www.instagram.com/fruitade_produced_by_atmos/

INFORMATION

YouthQuake

東京を拠点に活動するクリエィティブコレクティブ、YouthQuake。メンバー全員が1994、1995年生まれの同級生で構成され、デザイナー、DJ、ビートメイカー、モデル、フィルマー、画家、グラフィックアーティストなどが所属。音楽、ファッション、アート、カルチャーにおいて独自のオリジナリティを持ち唯一無二の存在感を放つクルー。

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