抜群のソングライティングとギタープレイで、Z世代を代表するシンガー・ソングライターとして支持を集める竹内アンナが、ヒプノシスマイクへの楽曲提供などで話題沸騰中の2MC+5人の楽器隊からなるヒップホップバンドAFRO PARKERとのコラボレートシングル「Now For Ever (with AFRO PARKER)」を本日デジタルリリースした。世代やシーンの垣根を超えた、異色とも言える本楽曲の制作背景とその魅力について。竹内アンナと、AFRO PARKERよりMCの弥之助とwakathugを迎えた鼎談の模様をお伝えする。
ー竹内さんにとっては久々のコラボレーションですね。どのような経緯でAFRO PARKERさんとの楽曲が誕生したんでしょうか?
竹内:もともとヒプノシスマイクが好きで。その中で一番好きな曲をAFRO PARKERさんが提供していることに気づき、そこから大好きになりました。それでいつかご一緒したいと思って、1年半くらい前にDMから直接オファーさせていただきました。
ーお二人はオファーを受け取っていかがでしたか?
弥之助:そもそもDMってそんなに来ないので最初はびっくりしました。通知が来ていて見たらアーティストの方だ、みたいな(笑)。
wakathug:ちょうど連絡をいただく一ヶ月くらい前に、ラジオで竹内さんの曲が流れていたのを耳にしていたので、あれ?聴いたことあるって思って嬉しかったですね。
ーDMからどのように楽曲制作に発展していったんでしょうか?
竹内:今年の7月に、まずは弥之助さんと直接お会いして。私から曲のざっくりとしたイメージをお伝えしたところからスタートしました。
弥之助:初めはサウンドのリファレンスとかもまだなかったので、雑談の中で雰囲気の共有をしましたね。
竹内:そこで青春ロードムービー的な、ドライブで聴きたくなるような楽曲を作りたいと話しました。よくある、男女四人がドライブで遠出するシチュエーションみたいな。私はこの春まで大学生だったんですが、こういう状況なので卒業旅行も行けず。でもネガティブな事ばかりではなくて“今の私たちでも楽しいんだよ”っていう雰囲気を伝えられたら良いなって思っていて。
弥之助:学生らしい体験を十分に楽しめなかった竹内さんと比べて、状況としては僕らは違うと思うんですけど。青春を取り戻したい感じは、世代を問わず誰しもがあるんじゃないかなって思って。そういうテーマを共有したのが最初でしたね。
ーそういった意味ではキラキラしていながらも、どこか切なさも感じられる楽曲ですよね。
竹内:そうですね。どの世代が聴いても、あの時楽しかったよねって感じてほしいし、逆にいくつになっても楽しいことをしたいよねっていう気持ちを歌いました。最初にAFRO PARKERさんに出していただいたトラックがとてもキラキラしていた分、底抜けに明るい歌詞だけではなく、“分かってる 描いてる未来は 誰も 分からないんだって”や、“気づいてる 逃げ足早い春に 誰も気づかないんだって”のような、矛盾を歌った歌詞が切なさを感じる部分かもしれません。でも難しいことばかり考えていてもしょうがないっていう感情も強くあるので、サビの最後は“まあ いっか”で締めていて。
弥之助:今のこの状態っていつまで続くか分からないし、どんよりとした感じじゃないですか。だからこそ楽曲では、いつまでもじゃないからこそ良いってことを歌っていて、悪いことも永遠には続かないよっていう、ポジティブな捉え方ができる。“来年”“再来年”っていう歌詞のようにところどころで未来のことが出てくる、前向きさの塩梅も絶妙で、コロナ禍である無しに関わらず、色んな文脈で聴いてもらえる楽曲になったと思います。
wakathug:それも楽しい未来を描いてというより、未来のことは分からないけど、今に打ち込んだり、楽しむことで、その未来に突入していく。今がその勢いになるっていうのは感じますね。
ーたしかに。未来は明るいと断言していないけど、“まあ いっか”と、この先に対して悲観的でもないことが伺えました。
竹内:肩の力が抜けた緩さもAFRO PARKERさんのおかげでうまく表現できたと思います。こういう時だからこそ特に、難しいことを考えてしまったり、未来に不安を持つことはあると思うんです。だけど難しいことは置いておいて、今を楽しむっていうことを一つの選択肢として受け入れるのはありなんじゃないかなって。
“まあ いっか”のフレーズは実は最後まで空欄でした(笑)。サビの終わりなので答えを出さなきゃって詰まっていたんですけど、いざ録った時にそのフレーズが自然と出てきて。とりあえずメロディにはまる言葉を入れたので、適当過ぎるだろうって思っていたんですけど、AFRO PARKERさんにいただいたラップパートを読んでいたら、ふわっとしているけど、芯を突いているようなちょうど良いバランスがあることに気づいて。あっ、そういう温度感で、必ずしも答えはなくてもいいのかもって、勇気付けられて。そしたら逆に辻褄が合ってきてうまくはまりました。
ー歌詞はどのように書いたんでしょうか?
竹内:誰にも見せられないんですけどいつも短いお話を書くんです。自分ではない別の主人公を置いて、その物語を書いています。今回は四人の登場人物がいてみんなで花火をしていました(笑)。物語の主人公に感情移入すると、そういった具体的なシチュエーションだからこそ浮かぶ言葉があるので、マーカーでピックアップしたり、箇条書きにして。さらに、何回も出てくる言葉をどんどん絞っていく作業をしています。そうすることで最終的に残っている言葉がこの中で一番言いたいことなんだなって、納得していくというか。
wakathug:いいですねそれ。アンナさんのお話を是非SNSにアップしてほしい。
弥之助:僕らもやってみよっか。
竹内:是非(笑)
ー今回初挑戦のラップの掛け合いはいかがでしたか?
竹内:歌っていてすごく気持ちよかったです。テーマ通り仲間とドライブに行った時の会話、みたいな掛け合いを意識して。
wakathug:まさに今回の楽曲の聴きどころですね。世の中的な暗さに対して、諦めではないポジティブさで、とりあえず今を楽しもうよっていうことを3人のちょうど良い緩さで歌えていると思います。
弥之助:僕らもここまで細かい掛け合いは、やったことがなかったので新鮮でしたね。ここにどうぞって感じで、竹内さんには初挑戦ながらもすんなりと歌っていただきましたね(笑)
竹内:皆さんが雰囲気を作って下さったので、友だちの輪に入るように「よっ!」って感じで入れました。
ー制作の中で大変だったことや、印象的なエピソードを教えて下さい。
竹内:全くサビメロが決まらなくて大変でした。普段一人でやっているので、いただいたトラックが自分の中ではすごく新鮮で。本当に何パターンも出てきて、レコーディングの直前まで悩んでましたね。そしてそのたびに良いアイディアを下さるので。これやってみたらどう?って。それであれもこれも良いな……って。
弥之助:やりたいことを全部詰め込んだら15分くらいの曲になるんじゃないかな(笑)。
竹内:そうですね(笑)。あとタイトルもとても悩んで。ずっと映画のタイトルのようなものを考えていたんですけど全然はまらなくて。どうしようって困り果てた時に、一番最初のデモの段階から歌っていて、何回もリフレインしている“Now For Ever”っていう言葉に戻ってきて。普通は“Now Forever(=今を永遠に)”という書き方をすると思うんですけど、この今を永遠にしたいわけではないので。だからあえて“For”と“Ever”を離して“永遠のために、今を楽しもう”っていう形にしてまとまりました。
弥之助:遠回りした結果、スタート地点にあるじゃんみたいな(笑)。意外とあるあるかもしれません。
竹内:出来上がっていくにつれて、輪郭がはっきりしてきたというか。より意味のある言葉になりましたね。
ー本日公開された、MVの見どころはどんなところでしょう?
竹内:8人の素を収めた、まさに仲間たちとのロードムービーのような雰囲気を見ていただきたいです。
wakathug:牧場にキャンピングカーを乗り付けましたね。
弥之助:撮影中に子羊が2匹生まれるという、生命の奇跡に立ち会いながら撮ったんです(笑)。
竹内:これはなんかあるぞっていうね(笑)。
ー最後になりますが、今後の動きについて教えて下さい。
弥之助:竹内さんは全編ラップの曲を。
wakathug:めちゃめちゃ上手いんですよ。
竹内:全然そんな、ありがとうございます(笑)。
弥之助:僕らもとても刺激を受けたし、細かい制限を設けずに色々なアプローチでやってみたいなって思いましたね。今回のコラボレーションもそうだし、貪欲に自由にやれたらいいなって。
竹内:私も一人だからこそフットワーク軽くできることもたくさんあると思うので、色々なことに挑戦していきたいなって思っています。
INFORMATION
竹内アンナ
「Now For Ever (with AFRO PARKER)」
11月10日(水)デジタルリリース
https://takeuchi-anna.lnk.to/NowForEver