Live Report: BIM One Man Live ”Sneak Peek’’ 2021.10.30 at SHIBUYA WWW X

10月30日の土曜、世間がハロウィンで浮ついている最中に渋谷WWW Xで開催されたBIMの久しぶりのワンマンライブ『Sneak Peek』。意味深なタイトルを冠した本ライブの光景はどんなものだったのかをレポート。

『BIM、ワンマンやるってよ』
『え、いつ!!?』
『なんか来週らしいんだよね』

ーーという話題がぶわっと広まったのは10月21日のこと。ライブの開催日(10月30日)の直前も直前。うわ、まじか、急だよ〜とかブツブツ言いつつスケジュールを素早く空け……。いや、そもそも何の予定もなくて暇してたわけなんだが、ちょっと忙しい人を演出してみせて、からの、大急ぎでチケット確保。やったぜ、行けるぞ、渋谷WWW X。
きっと、そんな人も多かったのではないか? チケットがあっという間にソールドアウトしたことを踏まえると、BIMのワンマンをどうしても現場で体験したかった人が、いかに多かったかが窺える。そんなワンマンライブのタイトルは『Sneak Peek』。
このタイトルから読み取れることであり、今回のワンマンライブにおいてキーコンセプトになっていたことを先に記しておく。ちょっと調べればわかることなのだが、『Sneak Peek』は”公開前の作品や商品をプレビューする、チラ見せする” ってな意味合いがある。このタイミングでタイトルがこう、ということは、つまりだ。あまり感が鋭くない私でもわかる。このワンマンライブで新曲が聴けるに違いないっということが。
アルバム作品は『Boston Bag』が昨年リリース。今年に入ってからシングルが3曲も発表されているということは、そろそろ来るぞ、という期待感は誰にでもあるだろう。それに応じるようにライブでは、いくつかの新曲がドドンと披露され、これが実に良かった。いや、まじで良い。新境地とか書くと安っぽい言い方になってしまうのだが、新たなBIMの表現が体感できるものであった。

そんな「ハロウィンを味わったりしたことのないハロウィン素人の〜」と自称するBIMによる約2時間の素敵なハロウィンパーティは下記の通り。こんな具合だった。

10月30日(土)、夕方。文字通りに魑魅魍魎が跋扈する渋谷のスペイン坂を駆け抜けて息切れ。そこから渋谷WWW Xに通じる長い階段へ。大腿四頭筋を震わせながら山頂に到着。会場に入ると、「どうも、BIMです。天気の話とかしちゃうんですけど……」と、影アナ然としたBIMのトークがBGM代わりに流れていた。
静かでほの暗いフロアは、来場者の会話で少しざわついており、さながら映画の始まりを待つような高揚感に見舞われ、そわそわしてしまう。そうこうしているうちにスタート時刻となって暗転。ZAIとdooooが登場して定位置へ。ZAIのDJ卓にはSummitのボックスフィギュアにライトが照っている。バックモニターにフッと映像が流れ出し『Sneak Peek』がゆるりと始まった。

映し出されているのは、街裏ぴんく(HIPHOP好きなら知っている名漫談家)なのだが、「BIMです」と名乗った。本人がそう言うのだから真実なのだろう。このワンマンに向けて随分と仕上げてきたのだな。そこから、BIMは何の略なのかを自ら解説。どうやら”BIM=僕は芋けんぴを見ていたい”という意味だったらしい。知らなかった……。芋けんぴが歌っているという気持ちでライブを観るように、といった宣言がなされ、ドギマギしているうちに本編がスタート。

ZAIとdooooのDJは1曲目「Wink」のイントロに繋がり、BIMがステージに颯爽と入ってくると、さっと掲げられるスマホにハイネケンの缶。ゆらゆら揺れるオーディエンスの波に次々とリリックを投げかけるBIM。ワンマンということもあって一体感は抜群。この良質な空気感は終演までずーっと続くことになる。
2曲目「Veranda」を終えてから1st MCタイムへ。「芋けんぴです」とオープニングムービーを引きずったBIMの語りだしにクスクスと笑い声。WWW Xに充満する良い雰囲気。「今日は”盛り上がれ!”とかはできないですけど、拍手で」と繋ぎ、「夏が名残惜しいので」という曲紹介から「オレンジシャーベット」。タイトルに沿うようにオレンジの照明がステージを心地よく照らす。そこから「サンビーム」、「マジックアワー」とメロウなナンバーが続いて2nd MCタイムへ。

「あ〜暑いね。オレだけですかね」とBIMが言えば、フロアは拍手。ビールを片手にdooooに「(ビール)いります? 誰かdooooくんに買ってきてあげてください」、「マイクの持ち方がラッパーだね」と、楽屋にいるようなBIMとdooooの会話を経て、次曲「Cushion」に。
ほどよくリラックスした雰囲気の中で、楽曲が始まればオーディエンスは各々が動ける範囲の中でステップを踏み、普段であればシンガロングしていたところで大きく手を挙げて。この時代におけるパーティの美しい光景が終始生み出されていた。BIMのワンマンだからこその、肩肘張らない空間作りの中で心地よく音楽を生で楽しめた。

「Starlight Travel」まで演りきった後はイベントタイム。このワンマンに向けて、BIMはインスタライブで紙手裏剣を応募するという企画を進行していた。もっとも多くの紙手裏剣を持参した人に、BIMが実際に使っていたデスクをプレゼントするという内容だ。その紙手裏剣持参枚数が多い上位三人を表彰。優勝者は1000個以上の紙手裏剣を持ってきたという猛者中の猛者。かねてより予定していた通り、BIM私物であるIKEA DESKを獲得する結果となった。(この下り、知らなかった人はやばかっただろうなぁ)

そして、ここで本日の本題に。「何曲か新曲をやるんです。でも、今日来た人だけでヒミツにしておいてほしいです」とBIM。「トレンド入りさせたいんです。”BIMの新曲、良かった”って」というMCから初披露の「Yearn」に。

ミドルテンポのトラックにメロディが絡み、リリックが実にノスタルジック。一緒に口ずさみたくなるパートもあり、今後のライブ定番曲となること確実。リリースが実に楽しみだ。
続いても新曲。バックモニターに曲名を映し出しながらの演奏だったが、フィーチャリングアーティストの名前が映し出された瞬間に、さーっとフロアの空気が変わっていくのが手に取るようにわかった。

新曲ゾーンは一旦、以上。聴き馴染みのある名曲が投げかけられ、時折「ムリせず、マイペースに楽しんでもらえばいいので」と、BIMはオーディエンスを気遣いながらダンスタイムは続いた。


「ハロウィン素人の私が皆さんをハロウィンの世界へお連れしようと思います」というMCから、ステージにin-dが登場。披露されたのは「Closet」。ご存知の通り、THE OTOGIBANASHI’Sの『TOY BOX』 収録の楽曲なのだが、どこかホーンテッドマンションを思わせるような雰囲気がある1曲で、本当にハロウィンにピッタリ。ここからしばしin-dとのステージが続く。

「Fountain Mountain」で、はにかむような表情を浮かべながら「噴水がFresh」と掛け合うin-dとBIMの姿には、こちらもついつい笑顔に。「相方が来ると照れるっていうね」とBIM。in-dの上着を脱がせ「松ちゃんみたいじゃん(笑)」というイジりに対し「楽屋で散々いじられて。(ステージ)はけたら、PARCOで服買うわ」と応じるin-dのやりとりには、さすがにフロアからも笑い声が。これは黙っていなくてはいけない場所でも堪えきれないでしょう。in-dとのライブは次の曲まで。この楽曲は、高校の頃、共に活動して時代に作った1曲。ファンにとって非常に嬉しい局面だったのではないだろうか。

「Presence」のトラックからフリースタイルへ繋げた後、再び新曲を経て、ライブ本編は「Bonita」で終了。最後に「新曲、胸に刻んでもらえるようリリースまで仕上げていきます」という言葉で締めくくった。



アンコールは「Non Fiction」、「Mosquito」とアップテンポなナンバーでスタート。dooooとのMCタイムでは、これからリリースされるdooooのアルバムにBIMが2曲参加していることを紹介。その作品からの新曲が披露された。

本楽曲、サビは許されるならば全員で合唱したくなるようなメロディが落とし込まれており、どこか90年代J-POPを彷彿させる曲調が実に心地良い。その後は、すかさず「Tissue」へ。終曲後、「dooooくんの新曲、好きです(BIM)」、「嬉しい、オレも好き(doooo)」と、笑い合いながら、ラスト2曲「BUDDY」と「WANTED」で『Sneak Peek』は幕。

こっそりと新曲をプレビューする、という今回のワンマンライブ。サプライズはここで終わることなく、最後にモニターへ映し出されたのは新曲「Yearn」のMVの一部。まだ制作途中段階のものではなるが、ピクサーのムービーか!? というようなポップで楽しいアプローチになっていた。本MVは、すでに公開されている。下記、まだ観ていない人はどうぞ。

こうして、BIMによる最高のハロウィンパーティは終了。ミュージシャンの友達が公開前の新曲を部屋で個人的に聴かせてくれたような温かみがあり、アンコール含めて約2時間のライブは時間を忘れながら、ゆっくりと音楽を楽しめるプライベートパーティ的な空気感があった。新曲が聴けて嬉しかったというのは前提にあるのだが、ライブを体験できたことが何より。生のHIPHOPに合わせて身体を揺らせながら、現場の楽しさをひしひしと感じさせられた。

ここで披露された新曲群に関するニュースも近いうちにあるのだろう。
うん、楽しみ。いやー、早く聴きたいです。

Set list
Wink
Veranda
オレンジシャーベット
サンビーム
マジックアワー
Cushion
吐露ノート
GOOD DAYS
Starlight Travel
Yearn
新曲
KIRARI Deck
Time Limit
想定内
One Love
Closet feat.in-d
Fountain Mountain feat.in-d
新曲 feat.in-d
Presence〜フリースタイル
新曲
Bonita

en.
Non Fiction
Mosquito
doooo新曲
Tissue
BUDDY
WANTED