現在発売中の雑誌EYESCREAMで表紙を務めているKroi。特集テーマである「Tokyo Daily Vintage Fashion」にちなんで、EYESCREAMが提案する最新のヴィンテージルックをまとって撮影が行われたのが、今から約3ヶ月前。そう、この頃Kroiは、先日リリースされた2ndアルバム『telegraph』の制作真っ只中だったのだ。前作『LENS』リリースから約1年、その表現の幅を縦横無尽に拡張させた本作は、Kroiにとってどんな作品になったのか。EYESCREAM WEBでは特別バージョンとして、写真家・小見山峻が撮り下ろした7月号掲載カットとあわせてKroiの最新インタビューをお届けする。ちなみに、雑誌にはKroiがこれまでの活動を振り返ったインタビューが掲載されているので、そちらもあわせてチェックしていただきたい。
L to R→千葉⼤樹(Key.)、益⽥英知(Dr.)、関将典(Ba.)、
内⽥怜央(Vo.)、長谷部悠⽣(Gt.)
「冒険に出ているような、旅をしているかのような感覚が味わえるアルバム」
ー今作『telegraph』はどんな作品に仕上がりましたか?
益田英知(以下、益田):一言で言うならば“冒険”。ね、悠生。
長谷部悠生(以下、長谷部):最初からコンセプトがあった上で作ったアルバムではなかったんですが、曲が揃い始めたときに“冒険”というワードが出てきて、それをもとに、関さんが曲順を考えてくれて。
関将典(以下、関):『telegraph』の制作は、去年の11月にリリースしたEP『nerd』から地続きで繋がっていて、なので制作過程ではアルバムの方向性みたいなことをあまり考えていませんでした。レコーディングも終盤を迎え始めて、いざ曲順を考えるかってなったときに、多国籍感のある楽曲が多いなというのを感じて。冒険に出ているような、旅をしているかのような感覚が味わえるアルバムにできるんじゃないかと考えながら、曲順を決めていきました。よね千葉くん?
千葉大樹(以下、千葉):僕は曲のミックスやアレンジをしているんですけど、全ての曲が良い作品に仕上がるように一生懸命作業をしたのですが、曲を作ってくれているのは怜央なので。
内田怜央(以下、内田):みなさんが言ってくれた通りです(笑)。アルバム全体をまとめるってことを考えて、一番最後に「Drippin’Desert」を作りました。この曲が1曲目にあることによって、アルバムにまとまりが生まれたと思います。それ以外は、方向性みたいなことは考えずに、自由に作りたいものを作った感じです。
ータイトルの『telegraph』にはどんな想いが込められていますか?
関:telegraphって電信という意味のワードで、モールス信号のことですよね。モールス信号ってどの国の人も、初心者は英語での通信から入るみたいで。それぞれの言語で通信するのは難しいから、世界共通言語である英語を使うらしいんです。それって、音楽という共通言語を使って、世界に発信したり、コミュニケーションを図りたいというKroiの活動理念とマッチしているなと感じて。
益田:毎回、タイトルやコンセプトを考えてくれるのは関。今回も全部で20個くらい案を出してくれて。タイトルが決まるまでは、いろんな方向を向いた楽曲たちが、一つの作品としてどうまとまるんだろうとは思っていましたが、telegraphというワードによって一つの軸が生まれて、アルバムの方向性が定まりました。
関:タイトルから着想を得て、楽曲の合間にモールス信号を入れたことで、旅先や冒険先から信号を送っているかのような感覚で楽しんでもらえるし、アルバムを通して聞くと、映画のようなストーリー性も感じられるんじゃないかなと思います。
ー全部で3回のモールス信号が入っていますよね。これは、実際に何かメッセージが発信されているんですか?
関:そうなんです。モールス信号の次に来る楽曲への想いを怜央から聴いて、モールス信号に入れました。もともと、インタールードのようなアプローチを今作には入れたいという話はしていて、タイトルが決まった段階で、じゃぁモールス信号がいいんじゃないかって。
ー先行配信楽曲として「熱海」が最初にリリースされましたね。タイトルのインパクトもさることながら、今までのKroiのイメージにはない斬新な表現に驚きつつ、どハマりしました。どことなく懐かしいシティポップ感漂う楽曲ですよね。
内田:熱海っぽさを極限まで突き詰めていった結果、こうなりました。単純にオレが熱海が好きで(笑)。旅行に行くとき、移動がめんどくさいって思っちゃうんですよ、熱海はちょうど良い距離。あとは、熱海の街の雰囲気も、言葉に言い表せない独特な雰囲気を纏っていて、哀愁感みたいなのがすごく好きなんです。益田さんが、明るい曲が欲しいって言ってくれたのと、Kroiには夏の曲がないねっていう話をしていたことが、「熱海」を作ってみようと思ったきっかけです。で、作ったんですが、ボツにしようと思ったんですよ。だけど、みんなに聞かせたら「いけるよ!!」 ってなって。Kroiすげぇ、と思いました(笑)。そこからは、もう思いっきり。
ーみなさん、最初に聴いたときの感想はいかがでしたか?
千葉:熱海が好きなことは、怜央が毎回言っていたので、「熱海?」とは思わなかったし、単純に曲も歌詞も素敵だなって思ったので「いけー!!」って。
長谷部:歌詞に“海鮮丼”が入ってるって、斬新だなと思いました(笑)。
ー新保さんが監督を務めたMVもまたザ・熱海で、皆さんの楽しそうな姿がだだ漏れていますよね。
関:熱海旅行で遊びながら撮る想定だったんですけど、思いの外ハードでした(笑)。スタッフも一緒にみんなで全裸で入浴シーンも撮って、良い思い出です。ただ、ここで言っても大丈夫な範囲のエピソードがないんですよね(笑)。本当はFCコンテンツでアップしたいくらいだけど、絶対終始モザイク(笑)。
長谷部:いや〜人生で一番笑いました。
益田:MVだと枕投げのシーンは一瞬ですが、序盤で怜央がボッコボコで(笑)。悠生なんて投げないで、持ったまま攻撃してたよね。
ー海にも落ちてましたよね?
関:あれはアドリブですね(笑)。悠生が落ちるシーンは当初使われていなくて、どうしても使って欲しいって悠生が直談判したんですよ(笑)。
長谷部:初めて新保さんにこのシーン入れてくれって言った(笑)。
ー今作で新しく書き下ろした楽曲は何曲くらいあるんですか?
内田:デモから新しく作ったのは「熱海」と「Drippin’Desert」くらいか。今回は過去のデモから持ってきた楽曲が多いですね。
益田:ダム方式なんですよ。怜央が凄まじい量のデモをストックしていて。それをちょっとずつ出して作っています。
ーKroiは新作をリリースするスパンが早くて、いつも驚いています。アルバムもしっかり13曲も入っていて、いつ書いてるんですか?
内田:休みの日とかにずっと書いています。自分がこのタイミングに出したいものみたいなのが出てこないことはありますが、書けないってことは基本的にないかもしれないです。自分自身スパンが早すぎて、既に『telegraph』のことを忘れつつある感は否めません(笑)。作っている最中に、次のアイディアが出てくることがすごく多いので、気持ちもそっちに移っていくんですよね。
益田:なので、あんまりアルバムが完成した後味を味わえていないんです(笑)。
ー個性豊かな収録楽曲の中で、皆さん的に特に新しいアプローチになったなと感じる楽曲を教えてください。
益田:オレは「Funky GUNSLINGER」はめっちゃ新しいと思います。これまでにないジャンル。よくわかんないのを作っちゃったなと思います。
長谷部:最初に聴いたとき、たまげました。実は「Balmy Life」の少し前にできた曲なんです。その頃に聴いたときからずっと好き。曲っていうのは、まず最初にイントロを聞くじゃないですか。「Funky GUNSLINGER」は、イントロのリフが強烈なんですよ。音作りや、フレーズも含め。あとは、サビのファンキーな感じとか、途中のラップパートとか、Aメロ、Bメロ、サビでの世界観が全然違うのにミックスが絶妙だから、2番に帰ってきたときの違和感がないんです。それを全部繋いでるのが、イントロのフレーズだと思っています。
内田:そして、“オレのギター”。
長谷部:そう、オレのソロギターですね。コンセプトでもある西部感を演出していて、完璧だ(笑)。あと歌も最高、落ちメロ。2番のラップに行く前のあの歌の部分、最高じゃない? オレはこれが「Balmy Life」になっていても良いなって思っていました。
内田:最初は、前作『LENS』のリード曲候補として、「Funky GUNSLINGER」とあと何曲かをみんなに出したんです。オレ的には、この曲で決まるんじゃないかなと思っていたら、意外とみんなの反応が悪くて(笑)。でも、この曲はいつかやりたいなと思っていました。今思うと、今回のアルバムって「やっとできたね」って曲が多いんです。益田さんがずっとやりたかったって言ってた「Small World」もそう。
関:益田の大好きな「Never Ending Story」もやっと音源化できたし。益田が明るい曲が欲しいって言って「熱海」もできたし。
内田:益田さんばっかだな(笑)。
益田:でも結局オレは「Drippin’Desert」と「Not Forever」が好きなんですよね。「Drippin’Desert」で怜央が言いたいのは、ラストの部分だけなんじゃないかとオレは解釈しているんです。「Keepしてるだけ No no 変容変化だけNo no」の部分。
内田:確かにKroiがずっと言っていることではある。一番最後のリリックのところは。
益田:オレの中では、“行動”というのは、横に動くことで視野を広げる行為。“挑戦”っていうのは、その横に動いた知見から、一つ壁をこえる行為のことだと思っていて。ここでの「変容変化」は“行動”のことで、すなわちこの歌詞の答えって、“挑戦すること”なんじゃないかなって。「Keepしてるだけ」=立ち止まっていてはダメで、だからと言って“行動”するだけでもなくて、「“挑戦”もしないとダメなんじゃない?」って、怜央は言ってるのかなって解釈したのオレは。でも、怜央的にはちょっと違ったんだよね?
内田:オレはひとり一人考え方や、読み取り方が違う曲を作りたいと思っていて。その人の頭の中で曲が完成するっていうのが、絶対的な理想だから、こうやって益田さんが受け取ってくれることはすごく嬉しくて。だから、自分が何を思って曲を書いたのかは、あんまり言いたくないんだけど、あえて伝えるなら、「行きすぎたものっていうのは、恐ろしい」みたいなことを書きたいなっていうのがあった。バランス感覚とか、そういうことを大事にしようよって。行きすぎはよくないけど、弾ける感じは重要だよっていうのを言いたかった。でも、本当にどの曲も、その人の受け取り方で自由に楽しんでもらいたい。今回「熱海」を作って、考えすぎずに書くリリックも面白いことを学びました。あの曲は誰が聴いても「熱海」でしかないので(笑)。
長谷部:潔くて気持ちいいよね(笑)。
ー前作『LENS』のインタビューの際には、「『LENS』はKroiのルーツになる音楽で、今後は実験もしていきたい」と話していたと思います。その中で、今回「熱海」が先行リリースされて、攻めてると思いました(笑)。
内田:確実に壁をぶっ壊せました。ぶっ壊しちゃった、か。この一曲で、Kroiの幅が広がったと思います。
ー最後に、先ほども話していた次にやってみたいことというのを、少し教えてもらえないですか?
益田:まだダメです(笑)。
内田:「熱海」みたいな出オチでやってるんでオレら(笑)。次も楽しみにしていてください。
INFORMATION
Kroi
2nd Album『telegraph』
on sale
Digital:https://lnk.to/telegraph
CD:https://lnk.to/2ndALtelegraph
特設サイト:
https://telegraph.ponycanyon.co.jp/
Track List.
1 Drippin’ Desert
2 Funky GUNSLINGER
3 Pixie
4 Not Forever
5 Juden
6 banana
7 熱海
8 Airport
9 Small World
10 Correction
11 Go through
12 Never Ending Story
13 WATAGUMO
Kroi Live Tour 2022 “BROADCAST”
Schedule.
9.4 神奈川・Yokohama Bay Hall
9.9 埼玉・HEAVEN’S ROCK さいたま新都心VJ-3
9.22 栃木・HEAVEN’S ROCK 宇都宮 VJ-2
9.23 宮城・仙台 Rensa
9.25 北海道・札幌 PENNY LANE 24
10.1 香川・高松 DIME
10.2 愛知・名古屋 THE BOTTOM LINE
10.7 京都・京都磔磔
10.8 兵庫・神戸 チキンジョージ
10.10 広島・広島 CLUB QUATTRO
10.14 福岡・福岡 DRUM LOGOS
10.16 熊本・熊本 B.9 V1
10.23 新潟・新潟 GOLDEN PIGS RED STAGE
10.29 茨城・水戸 LIGHT HOUSE
10.30 千葉・柏 PALOOZA
11.3 大阪・なんば Hatch
11.16 東京・Zepp DiverCity(TOKYO)
2023.1.8 東京・ LINE CUBE SHIBUYA
TICKETS:
前売¥4,500(+DRINK)
ぴあ:
http://w.pia.jp/t/kroi-t/
イープラス :
eplus.jp/kroi/
ローソンチケット:
http://l-tike.com/kroi-t/
LOOK 1(表紙)
[千葉]ジャケット¥29,800(BEN DAVIS/6(ロク)),Tシャツ¥7,700(USED/mu.),パンツ¥14,080,スニーカー¥8,580(ともにVINTAGE/LABORATORY/BERBERJIN®),メガネ¥39,600(SO.YA/WONDEROUS EYE WEAR RESORT),その他本人私物
[内田]レーシングシャツ¥9,790,スターモチーフリング¥11,900(ともにUSED/熱田屋),パンツ¥25,800(USED/6(ロク)),メガネ¥16,280(VINTAGE/Mr.Chubby),リング¥47,300(SEVEN BY SEVEN/Sakas PR),シューズ¥16,500(USED Timberland/What’z up)
[長谷部]ベスト¥82,500,ネックレス¥17,600(ともにCOGNOMEN/Sakas PR),ロングスリーブTシャツ¥27,500(DIESEL/DIESEL JAPAN),パンツ¥33,000(USED/summer of love),リング¥8,250,ブーツ¥13,200(ともにUSED/mu.),その他本人私物
[益田]カヤックジャケット¥32,780(DEADSTOCK patagonia/Mr.Chubby),パンツ¥25,080(VINTAGE/TORO),ブーツ¥15,400(VINTAGE/MONK),その他本人私物
[関]カーディガン¥89,100(YUKI HASHIMOTO),スカート¥58,300(KIDILL/ともにSakas PR),ノースリーブカットソー¥5,280(USED adidas),ジャーマントレーナー¥14,080(USED/ともにMr.Chubby),メガネ¥63,800,クリップ¥30,800(ともに10 EYEVAN/EYEVAN PR),腕に付けたポーチ¥5,500(OAKLEY/summer of love),その他本人私物
LOOK 2
[益田]ジャケット¥82,500(DIESEL/DIESEL JAPAN),シャツ¥56,760(RequaL≡/ESTEEM PRESS),パンツ¥6,380(USED/古着屋 深緑),レインブーツ¥9,680(DEADSTOCK/Mr.Chubby),その他本人私物
[関]オールインワン¥39,600(70’s VINTAGE/beruf harajuku),Tシャツ¥15,290(USED/SUPER LOVE MARKET),ヘルメットライナー¥8,250(70’s US VINTAGE/MONK),サングラス¥82,500(JACQUES MARIE MAGE/WONDEROUS EYEWEAR RESORT),シューズ¥15,400(MERRELL/summer of love),その他本人私物
[長谷部]レザープルオーバー¥10,890(USED EVERLAST),スニーカー¥20,790(USED CONVERSE/ともに熱田屋),ノースリーブカットソー¥15,400(DAIRIKU/DAIRIKU),デニム¥46,200(SUGARHILL/4K[sik]),その他本人私物
[千葉]ジャケット¥29,800(90’s GOOD ENOUGH/6(ロク)),Tシャツ¥24,200(WATARU TOMINAGA/WATARU TOMINAGA),パンツ¥38,500(JULIUS/summer of love),スニーカー¥28,600(DIESEL/DIESEL JAPAN),メガネ¥39,600(SO.YA/WONDEROUS EYEWEAR RESORT),その他本人私物
[内田]スウェット¥17,380(VINTAGE/LABORATORY/BERBERJIN®),Tシャツ¥6,930(USED/古着屋 深緑),デニムパンツ¥80,300(WILD ROOTZ/LYDIA),メガネ¥61,600(SO.YA/WONDEROUS EYEWEAR RESORT),ネックレス¥39,600(kudos/MATT.),ネックレス¥13,200(LAD MUSICIAN),リング¥47,300(SEVEN BY SEVEN/ともにSakas PR),スターモチーフリング¥11,900(USED/熱田屋),シューズ¥33,000(NON TOKYO/ESTEEM PRESS)
Photography_Shun Komiyama
Styling_You U
Hair&Make_Chika Ueno、Satoko Mihara
Text&Edit_Mizuki Kanno