kojikoji、空音、ニューリーによる3マンイベント「Broth Works presents MORROW」が去る8月23日(火)に行われた。改めて説明すると彼らはBroth Worksというチームに属す仲間であり、楽曲のフューチャリングやトラック提供をはじめ、互いのライブへゲスト出演をするなどリスナーにとってはお馴染みなメンツではあるが、三者での企画は今回が初となる。個人的にもインタビューをした3人の晴れ舞台とあってこの日を心待ちにしつつ、それぞれの持ち味が炸裂した個々のステージと、クルーで生み出すグルーヴには終始昂った。Broth Worksにとって新たなフェイズを開いた一夜を振り返る。
青く灯されたステージには15台のブラウン管が積み上げられ、ヴェールのような幕にはこの日のタイトル“MORROW”と3人の名前が投影。セットの作り込みも去ることながら、スクリーンには映像が映し出され、Broth Worksと共に親交の深いTASOGARE COFFEE STANDも参加する“twilight clubs”によるVJが今宵のパーティを彩った。
この日トップバッターを努めるのは、kojikoji。「TASOGARE」の切ない歌声で静けさを破ると、一気にkojikojiワールドへ。サポートはニューリー。6月に同会場でのワンマンライブを果たしたばかりだが、更にブラッシュアップされたパフォーマンスに驚く。ギターを握った「愛のままに feat. 唾奇(BASI)」でクールな歌声と心地の良いフロウを見せたかと思えば、先日リリースされたばかりの1stフルアルバム『Mining』の収録曲「true to true」では、先述したワンマン時よりも磨きのかかったアレンジを披露。
他にも同作からは、しっとりと歌い上げる弾き語り曲「長い朝」や、グルーヴィに昇華された「陶芸」をプレイし、幅広いヴォーカルで魅了していく。チームでのイベントということもあり、終始リラックスした様子でkojikojiらしいゆるさで会場を癒すと、ラストは「もも」をあざとくもクールに歌い上げ、『最後まで楽しんでいってください』と舞台をあとにした。
続くは空音。喧騒のBGMが流れると、スクリーンに“SRN”の文字が。勢いよく登場すると、「B RAGE」で即座にフロアの温度を上昇させる。一瞬で自らのムードに変えてしまう圧倒的なカリスマ性で、食らいつく観客を煽るように、「月ひとつ feat. 空音(BASI)」、「Mr.mind」、そして新曲「GIMME HPN」をのべつ幕無しに展開していく。バックDJは、DJ Rin。『Broth Worksのライブはこうだって教えてやるよ』という言葉の通り、「all done」ではベースにニューリーと同チームの社長こと清水氏を迎え、ノイジーなサウンドを響かせると、「CIRCUS」では会場をチルに揺らし、「かさぶた」をリミックスするエモーショナルなアレンジも。
年内にリリース予定のアルバムより、今の現状を歌った「life work」を歌い上げると、「相棒」、「拝啓」を続けてプレイ。フロウやグルーヴ、感情の乗せ方、どれにおいても引き出しが増えたように思えるパフォーマンスは感服の一言だった。
そしてトリを飾るのは、ニューリー。彼のライブを見たのは、初ワンマンとなったEP『NEUE』(2022年2月)のリリースライブ以来だが、スキルアップを感じさせるトラックの展開に序盤からクラってしまった。静寂の中に轟く渋いベースラインで始まった「Poppy Field」は途中ギターに持ち替えると、再びベースを握った「shure feat. BASI」では心地の良いグルーヴで客席を揺らす。そのままスイッチするように「Pocket Talk feat. NF Zessho」へと繋いだかと思えば、「KIDS」ではキーボードを演奏し、「7TO3」ではうねるベースで拍手を沸かせた。
後半も勢いを止めることなく、「Movement feat. JIVA Nel MONDO」で軽快なギターラインを披露すると、「INTRO」、「CADDIE」を畳み掛けるようにプレイ。楽器のチェンジやミックステープのような曲の繋ぎ、打ち込み音など、短いセットの中でもニューリーの本領が発揮されていた。
アンコールには、本イベントのTシャツに着替えた3人が登場。自然なムードでゆるいトークをすると、「Hug feat.kojikoji(空音)」を披露。5月に空音が出演した茨城のフェス『結いのおと』の際に、ニューリーが作り直したビートに乗せたスペシャルバージョンで歌い上げると、彼らの師匠とも言えるBASIから譲り受けたkojikojiの楽曲「TASOGARE」のBASIバージョンをプレイ。ニューリーのチルなビートで掛け合うkojikojiと空音のフロウが会場を包み込み、ラストは「かさぶた 不貞寝 Remix」で幕を閉じた。
公演終了後には、互いのステージを称え合っていた3人。リスペクト溢れるチームの光景に胸が熱くなった。Big up! Broth Works!!!