Interview: yonawoが共同生活を送りながら生み出した新たなバンド像『Yonawo House』

福岡から上京しメンバー4人で共同生活を送るバンド、yonawo。その3rdアルバムのタイトルはずばり『Yonawo House』。2022年は『SUMMER SONIC』などの大型フェスを始め、屋外イベントへの出演も多かった彼らが、バンド活動を経て獲得した経験を凝縮させ、新たな“yonawo像”を描いている。どんなアルバムになっているか、楽曲解説を踏まえながら教えてもらった。

L to R_野元喬文(Dr)、 斉藤雄哉(Gt)、荒谷翔大(Vo)、田中慧(Ba)

この4人で作ること自体が最大のコンセプト

ー東京で共同生活を経て制作されたアルバム、ということでタイトルが『Yonawo House』なんですね。

荒谷翔大(以下、荒谷):はい。この4人が同じ家で生活しながら作るってこと自体がコンセプトで、メンバー各々の色を楽曲ごとに反映させて、その集合体としてのアルバムを作ろうと考えながら制作を進めました。前作は自分が中心だった部分もあったので、それとは異なるアプローチをしたいと思いました。
 
斉藤雄哉(以下、斉藤):レコーディングも僕が担当して9割くらいの作業を家で行っていたんですよ。
 
荒谷:雄哉の部屋が制作部屋のようになって、他の3人がそこに集まって曲を作っていくという流れでしたね。
 

ーどのように楽曲を作っていったんですか?

斉藤:まずは、みんなでデモ出しをして、1ヶ月ほどストックを貯める期間を設けて、そこからアルバムに合うものをチョイスしてアレンジを進めていきました。曲選びも僕の部屋でやって、選びながら、どの曲をシングルとしていつ頃リリースするのかってことも話し合いながら、徐々に枠組みを固めていったんです。
 
荒谷:これまで作曲のメインを担当していた僕や雄哉以外のメンバーにも挑戦してもらうことで、バラバラだけど自分たちらしい、yonawoっぽさを表現することができたと思います。

ー今年は数々の夏フェスにも出演され、ライブを行う会場のキャパも大きくなってきたと思います。フェス等へ出演する経験が今作に影響を与えた部分はありますか?

 荒谷:「After Party」は最初からフェスで演奏シーンも想定しながら制作していきましたが、これは今までのyonawoにないアプローチだと思います。Maroon 5(マルーン5)の 「Sunday Morning」とか、広い会場で鳴っている楽曲も参考にしながら、お客さんと一緒に楽しめる曲にしようと思ったんです。
 
田中慧(以下、田中):「After Party」はライブで披露していく度に、お客さんの中に馴染んでいく感じがあって。屋外で演奏したときに、気持ちよく響くようにと考えながらベースラインも考えたので、やっていて楽しいですね。僕らだけではなく、お客さんと共に育てる感覚があります。
 
野元喬文(以下、野元):『Yonawo House』には、「Yesterday」や「Lonely」にように何曲かフィジカルで叩きながらデモを作った曲があるので、自ずとライブアレンジが反映されている楽曲がありますね。基本的にドラムは打ち込みで作ったものを軸にアレンジを加えていきますが、そこが前作と異なる特徴ですね。あとはシンプルなビートが多く、同時にDTMのビートの中にフィジカルの要素が混じり合ったものが多いです。
 

ーだからなのか、「Lonely」には、今まで以上にロックな印象がありましたし、勢いを感じました。

斉藤:しっかりとステージングが映えて、お客さんが乗れる曲にしたくて、アップテンポにアレンジしたんですよね。だから、デモの段階ではもっと遅い曲でした。それが歌を載せて、もう少しアップテンポにしていこうとなったんです。

ー今作は、プロデューサー&エンジニアとして阿南智史さん(ex. never young beach、PAELLAS)が参加されています。どのようなやり取りがあったんでしょうか?

斉藤:阿南くんと僕で音色を決めていったんですけど、阿南くんはPAELLASなど海外インディロックの音作りも実践していた人なので、これまで僕らが辿り着けなかった音像作りを教えてくれて、その要素が音に反映されていると思います。例えば、ギターであればプラグインの使い方を色々教えてもらって。「もうちょっと歪ませた方が音が抜けるよ」とか。

ー歪みのギターと言えば「sunset」のギターソロにダイナミックなロックのテイストを感じさせられました。

斉藤:「sunset」は昔からデモがあった曲なんですけど、最初はアラちゃん(荒谷)がソロを弾いていたて、それをそのまま採用したんです。けっこうヤバい音色でカッコよかったので(笑)。
 
荒谷:「sunset」は地元・福岡のフェス『SUNSET LIVE』での思い出を解放感ある曲として、大きなスケール感で表現したものです。デモの段階ではアコギでソロを録って無理やり歪ませているんですよ。それがそのまま使われて驚きましたし嬉しかったですね。
 

新たなことに挑戦して自分たちらしさを作品に昇華

ー一方で「ダンス」、「hanasanai」などのシンプルでユニークなビートにはU .S. HIPHOP感も感じたのですが、いかがでしょう?

野元:「ダンス」のビートは阿南さんがベースを作って、そこに色んな要素を足してグルーヴが生まれるように組んでいきました。自分が好きなHIPHOPだとか、ドラムとボーカルが前面に出るような感じの楽曲になったんじゃないかと思いますね。「hanasanai」はのビートは雄哉くんがダンボールとかを叩いたり床に擦ったりしながら作っていったんです。
 
斉藤:そうなんですよ。リファレンスとなる曲で、そういう表現があったので取り入れました。色々サンプリングしまくったのでドラムのファイルが大変なことになっちゃった曲ですね。


ーベースライン的に印象深い曲はどれですか?

田中:「tokyo feat. 鈴木真海子, Skaai」ですね。雄哉が元になるベースラインを考えたんですけど、曲の中盤ではフレーズがハイポジションに移行するパートもあり、普段の自分ではやらないことを実践しています。最初からけっこう難しかったんですよね。(雄哉が)お酒を飲みながら(ベースラインを)作ったって言ったので、それだけ不変則なところもあり合わせるのに苦労しました。夜中ずっとコーディングをして、途中おかしなテンションになって、変な洋服を着込んで笑顔で弾いたりして。そんな風になっちゃうぐらい楽しみました(笑)。


 

ーそしてアルバム最終曲の「Yerterday」の歌詞は情景的に描かれています。これも、今までのyonawoにはないものを感じたのですが、いかがでしょう?

荒谷:本来、抽象的で内省的な歌詞が好きだからなんですけど、今後バンドを広げていくことを考えると、新たなの歌詞のアプローチがあってもいいんじゃないかと思ったんですよね。それで情景が浮かぶことを意識しつつ、今までは、ぼんやりと描いてきた登場人物を明確にイメージしたうえで歌詞にしていって。だから「愛したんだな」とか「見返りなんて もういらない」という具体的な表現もあるんです。情景的にしつつ、抽象的な表現も残すことで、そのギャップが面白い内容になったと思うし、僕らの新たな挑戦だと感じてもらいたいですね。
 

ーこうしてお伺いすると、『Yonawo House』はライブの現場を念頭に制作を進められた要素もありそうですね。

斉藤:そうですね。ライブでちゃんと魅せれる曲をやりたいというのは制作の段階であったので、そういう気持ちは前作より強いと思います。
 
荒谷:前作は自分がほとんどの曲を作っていたんですけど、ビートが難解なものが多くて、誰でも盛り上がれるような曲がたくさんあったわけじゃないんですよね。でも『Yonawo House』はビート感もシンプルなものが多く、上物(歌やギター)で色んなギミックを乗っけてストレートに表現しているので、きっとライブでも乗れるんじゃないかと思います。
 
斉藤:今作をリリースして、今後は大きいステージに立てるように、演奏面も演出も考えていきたいですね。コンセプトを決めてライブをしたりすることも増えてきたので、ちゃんと実現できるようにしていきたいです。
 
野元:『Yonawo House』には初フィーチャリング作やセッション的なアレンジが増えて。今までやっていないことを実現して手応えを感じているので、もっと自由に、フラットな感覚でやっていきたいですね。今作で広げてもらった視野と関わりを持って、もっと面白いことができるんじゃないかと楽しみにしています。
 
田中:これまでyonawoがやってそうでやっていなかった音が集まっている作品が『Yonawo House』です。新たなことを追究しつつ、パッと聴きでyonawoだとリスナーに伝わるように自分らの音を突き詰めて確立していきたいです。
 
荒谷:ライブ面においては、よりわかりやすいライブバンドとしての力も身につけてお客さんと共に一体感のあるライブ空間が作れるようになりたいですね。そして、それが大きなステージに繋がっていくんだと思います。制作という意味では、雄哉の曲に歌を乗せる作業がすごく楽しくて。こういう自分にしかできないことをメンバー各々継続して追究していきたいと思います。


 

INFORMATION

yonawo 『Yonawo House』

11月9日発表
https://yonawo.lnk.to/yonawohouse
 
Yonawo House Tour
11月16日(水) @ cube garden (札幌)
11月17日(木) @ ELLCUBE (苫小牧)
11月19日(土) @ CLUB CHANGE WAVE (岩手)
11月20日(日) @ Rensa (宮城)
11月22日(火) @ BIG CAT (大阪)
11月23日(水・祝) @ THE BOTTOM LINE (愛知)
11月25日(金) @ 金沢AZ (石川)
11月26日(土) @ ジョイアミーア (新潟)
12月3日(土) @ SECOND CRUTCH (広島)
12月4日(日) @ UNITEDLAB (福岡)
12月11日(日) @ 恵比寿ガーデンホール (東京)
 
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