ずっと真夏日が続く2023年夏。夜になっても暑さが引かない東京にあって、7月21日(金)の夜にリキッドルームの2階にあたるKATA & Time Out Cafe & Dinerで開催されたパーティには、どこか秘密めいた約束の場所のようで沸々とした熱気に包まれていた。
行われていたのは、MÖSHIが新たに企画したパーティ『PREMIERE』だ。先立って行ったインタビューでも「本当に自分の好きなアーティストを呼んでいるし、なかなか見ない組み合わせだと思う。それにお互いの親和性も高いはず」ということをMÖSHIはしきりに話していた。
なかなか見ない組み合わせというのはオルタナティブ・クルーS.A.R.、シンガーソングライター/トラックメイカーのSPENSRの2組をゲストに迎えていたという点だ。
SPENSERのステージではMÖSHIが登場してコラボするなど、音楽的な側面だけではなく、人としての深い繋がりがあることが知れた。
さて、MÖSHIがKATAのステージに登場したのは21:00少し前のこと。会場の白い壁を活用して、その全面にVJを映し出しながら、たった1人でフロアに向かう。
インダストリアルな風合いを感じるエレクトロニックなイントロからゆったりと、だが緊張感を保ったままにライブがスタートした。
MÖSHIの楽曲は物語性が強いものが多く、アルバムやEPなどの作品も映画を描くように作られているので、そんな楽曲群がVJの映像とリンクしながら目前で“生”で表現されると、浮遊感が感じられ、異世界の中に飛び込んでしまうような感覚に襲われる。
すでにS.A.R.、SPENSRのライブ後だったこともあり、熱を帯びたオーディエンスは序盤から自然と身体を揺らし、MÖSHIのサウンドに酔っていた。セットリストは7月12日にリリースしたニューEP『I’VE GOT EVERYTHING BUT YOU』からの選曲をメインにしながらも、これまでにリリースしてきた人気曲を織り交ぜながら、ときにハウスであったりトラップっぽい空気であったり、楽曲ごとに異なる音空間を構築していった。EPからの「GOT EVERYTHING BUT U」ではパーカッションを叩くなど、ライブならではの演奏が見れたのも嬉しかった点。
特筆すべきは終盤のダンスタイム。MÖSHIの「踊れる曲を」という紹介からの「Connected」、「ARE YOU DOWN?」へ続く四つ打ちチューンの連続には、この場にいた全員がジャンプし、この夜を祝福していた。気づけばMÖSHIもフロアに降りてきてオーディエンスを煽り、それにみなが呼応していたが、ここが大きなハイライトの1つであったろう。この後のMCでは、MÖSHIの言葉にフロアからも声が上がるなど大いに盛り上がり、その高揚感のままに「1 Meter」へ。アンコール前の最後の曲演奏前には、「こんなにたくさんの人が集まってくれて本当に嬉しいです。
来てくれたお客さんに感謝しています。ライブが終わった後も、ここに来ている人、全員と話したい」と語りかけ、EPの最終曲でもある「THE ONE」に繋いだ。
映像と共に表現されたライブでもあったので、非常にショーアップされていたし、ステージと映像を観ているだけで楽しめるエンタメ性もあったのだが、同時にMÖSHIの人間味がイベント全体に行き渡っていて、どこかアットホームな空気感が終始漂っていた。良い音楽を良い空間で。それも、KATAという空間だからこその濃厚さがあった。
会場にはニューアパレルが並べられていたり、隣のTime Out Cafe & Dinerでゆっくりお酒を片手に会話ができたり、音楽という側面以外にも楽しむことができる時間であった。ライブに特化した要素も強いEP『I’VE GOT EVERYTHING BUT YOU』を携えて、MÖSHIは、より現場を強化していくことだろう。今後もっとユニークでアーティスティックな表現をしていくであろうMÖSHIを追いかけ続けていきたい。
INFORMATION
MÖSHI
https://the-moshi.com/
https://twitter.com/the_moshi
https://www.instagram.com/moshi_the/
Digital EP「I’VE GOT EVERYTHING BUT YOU」
https://jvcmusic.lnk.to/MOSHI_IGEBY
GOT EVERYTHING BUT U
FACE VALUE
EYES ON ME
ARE YOU DOWN?
ONE TAKE
THE ONE