ベース・ヴォーカルの森光奏太とドラムスの上原俊亮による二人組ユニット・dawgssが、Aile The Shotaをフィーチャリングゲストに迎えた新曲「ランデヴー feat. Aile The Shota」を8月30日にリリースした。惹かれ合うように出会ったdawgssとAile The Shota。互いに念願だったというコラボに至った経緯や共に進めたという楽曲制作について、森光とAile The Shotaに話を聞いた。
──まずはお二組がコラボすることになった経緯を聞かせてください。
森光奏太(以下、森光):僕が、ショウタくん(Aile The Shota)の所属事務所のイベント「BMSG FES’22」で、SKY-HIさんのライブでベースを弾いたんです。そのときにショウタくんが、ステージ袖からすごく見てくれていて。
Aile The Shota:「ベースやべえな!」と思って!
森光:僕は「すっげー見てくれてるな」と思いました(笑)。僕はオーディション(「THE FIRST」)も見ていなかったし、そのとき初めてショウタくんのことを知ったんです。で、終わったあとにショウタくんがSNSでフォローしてくれて、相互フォローになりました。でもまだそのときは連絡を取り合ったりはしていなくて。今年5月に、僕がdawgssとして出演した「VIVA LA ROCK 2023」で再会して、そこで「何か一緒にやりたいね」という話になって動き始めました。
Aile The Shota:SKY-HIのバンド・SUPER FLYERSのメンバーと「奏ちゃん(森光)、やばいよ」みたいな話をしていて、近々ゆっくり会いたいなと思っていたので、ビバラで会えたとき「わあ、会いたかった!」って言ったの、めっちゃ覚えてる。
森光:ね。「今日1番会いたかった」って言われた。本当はその日、僕らから「一緒に曲を作りませんか?」という話をさせてもらおうと思っていたんですが、ショウタくんからものすごい温度で来てくれて(笑)。うれしかったです。
Aile The Shota:僕はもともと二人がdawgssになる前のSpice rhythmも好きだったんです。で、奏ちゃんのインスタを見ているうちに「Spice rhythmの人だ!」と一致して。だからいろいろ話したいなと思っていました。だから一緒に曲を作ろうという話になったのもすごくうれしかった。
森光:しかも僕は「BMSG FES’22」で初めてショウタくんがステージでパフォーマンスしているのを見たのですが、そのあと知り合いのダンサーと「ショウタくんのステージかっこよかったよね」って話をしていたんですよ。それで後日、その人がショウタくんの曲で踊ったダンス動画をSNSにアップしたら……。
Aile The Shota:その方が、僕がもともと好きなダンサーさんだったんです! 「好きなダンサーさんが僕の曲で踊ってくれてる!」と思っていたのですが、後から聞いたら奏ちゃんの知り合いだったという。
──繋がるべくして繋がったお二人だったんですね。そんなお二人による曲作りはどのように進めていったのでしょうか?
森光:ほぼほぼ1日でできたよね。
Aile The Shota:そうだね。テーマも何もない状態で奏ちゃんのスタジオにお邪魔して作り始めたのですが、初日のセッションで割とできちゃった。
森光:「Local Green Festival」にショウタくんと一緒に出るということは決まっていたので、ローカルグリーンに合いそうな曲にしたいなというのは一応テーマとしてありました。でもそれだけ。あとはショウタくんがリファレンスとしていくつか曲を聴かせてくれて。
Aile The Shota:お互いのいいところがめちゃくちゃ出る曲にしたいなと思って、シティポップマナーがありつつ、ヒップホップマナーもあるみたいな曲をいくつか聞いてもらいました。結果、参考曲のいいところ全部取りみたいな曲になったような気がします。
──タイトルでもある「ランデブー」というテーマや世界観は作っている中で?
Aile The Shota:そうですね。でも実は僕の中で、dawgssと曲をやるなら“ランデブー”みたいな感じの曲をやりたいなと思っていたんです。「ランデヴー」という言葉だけ頭の中にあって、もし音がハマりそうだったら言おうと思っていて。
森光:そうそう。それで言ってくれたんだよね。
──出会いのお話を伺った後だと、この2組に「ランデヴー」というテーマはぴったりな気がしますね。
Aile The Shota:そうですよね。思い返すと、ハマっているなと思います。
森光:だから歌詞にも、自分たちの関係性……“出会って再会して”みたいなことも入れられたらいいねという話をしました。歌詞は、その方向性くらいだけ決めてその日は解散して。
Aile The Shota:そのあとは共通のGoogle ドキュメントにそれぞれが書いていくみたいな感じだったんですけど、奏ちゃんめっちゃ早かったよね?
森光:うん。セッションした日に寝るまで考えて、寝て起きたらもう出来ていたのですぐ送った。
Aile The Shota:次の日もう来ていて「早っ!」と思いました。
──お二人のフィーリングが合っていたんでしょうね。
Aile The Shota:セッションをしたときに「ルーツどこなの?」みたいな話をしたので、ツボが近いなというのはなんとなく感じましたね。
森光:あとは同い年ということも大きかったよね。
Aile The Shota:確かに。それがハモった一番の要因かも。
森光:同い年だということが、何かすごくうれしかった。“一緒に作っている感”があって。あとは単純にショウタくんにインスピレーションを受けたこともあって、歌詞がスラスラ出てきました。
──「ツボが近い」ということですが、具体的にどのようなものが共通点としてあったのでしょうか?
Aile The Shota :たぶん、お互いにJ-POPをしっかり通っていること。それでいて、それとは別に奏ちゃんは音楽一家だったり、僕はヒップホップとかダンスを通ってきていたりという、違う部分がいい具合に混ざったのかなと思います。
森光:そうだね。僕はベースを主にやっていて、ギターも鍵盤も打ち込みもできて、曲を作れる程度には音楽理論もわかる。それに対して、ショウタくんは割とセンスとかフィーリングの人。それが僕にはすごく刺激的だったし、一緒に曲作りをする上ですごくやりやすかったです。
Aile The Shota:うんうん、僕もそうです。僕は自分で作るにしても、提供してもらうにしても、生楽器とのセッションで作っていくという経験がそんなにないんです。でも奏ちゃんとの曲作りでは、奏ちゃんが弾いてくれたものを聞いて「ここ、こういうコードがいいかも」と言うと、その場ですぐ叶えてくれる。その感じがすごく新鮮だったので、刺激を受けつつ、安心感もすごくありました。
──一緒に楽曲制作する中で、特に印象的だったお互いの姿や言葉を一つ挙げるとしたら?
Aile The Shota:俺はリリックかな。優しさとかわいさがあって、でも聞いたことないような言い回しもあって。人柄が出ている感じがするんです。“奏ちゃん”って感じ。しかもこの歌詞が1日で出てくるってことは、直感に近いところにある言葉だと思うから。フィーチャリングするときは、僕が歌うところの歌詞は僕が書くという形を取ることが多いのですが、今回は奏ちゃんのリリックが素敵だと思ったので、僕が歌うところもアイデアをもらって。そういう作り方は僕の中では珍しいんですよ。
森光:うれしい! 僕はこだわりが強いタイプなので、人と一緒に作ったときに「こういうのどう?」と言われてもすっと受け入られるかわからないなと思っていたんです。でもショウタくんからの提案は「そういうのもあるんだ!」と素直に思えて。僕の中での「ランデヴー」の中の“推しメロ”みたいなものも、だいたいショウタくんが作ったところなんですよ。
Aile The Shota:うれしいなぁ。もともと僕がSpice rhythm、dawgssのファンだったというのは大きいかも。自分から出てくるメロディでdawgssにハマりそうなものはこれかなというものが直感で出せたのかなと。「これ、奏ちゃん絶対好きでしょ」って(笑)。
──“推しメロ”という話が出たところで、メロディでも歌詞でも良いので、「ランデヴー」の中でのそれぞれ“推しポイント”を教えてください。
森光:僕はサビの「Our ランデランデランデヴー」の半音を行き来するメロディ。あとは「もう時間は過ぎた」とのころもめっちゃ好きです。
Aile The Shota:これ、セッションじゃないと作れないメロディなんだよね。スケールの外にいっているので、オートチューンを使って作っていると生まれないメロディなの。
森光:あー、そっか!
Aile The Shota:僕の推しポイントは曲の入り、「勘違いもされるよ」までの4行。メロディも歌詞もすごく好きです。「どういう情景なの?」って惹きつけられる感じがあって掴まれました。
──では、レコーディングはいかがでしたか?
Aile The Shota:楽しかった! 僕はバンドのレコーディングの後半から見ていたのですが、奏ちゃんはバンマス(バンドマスター)なので、その視野の広さが改めてすごいなと思いましたね。
森光:ショウタくんは、歌っているときにブースでずっと踊っていて(笑)。「やっぱこの人すげぇ!」って思いました。
Aile The Shota:あはは(笑)。癖ですね。
森光:生バンドで録った録りたての音だしね。そうそう、レコーディングのときに、ショウタくんがデッカい「ピノ」を買ってきて来てくれたんですよ。どこまでいい人なんだろうと思いました。本当に人柄も素敵です。
Aile The Shota:あの日はすごく暑かったから、何か持っていきたいなと思ってね。
──お互いのボーカリストとしての印象はいかがでしたか?
Aile The Shota:やっぱり声が好きだなと思いました。歌い始めてからはそんなに長くないと聞いたのですが、だからこその純粋さと、でも音楽自体の経験は長いからこそ洗練されている。そのバランスがすごく良いなと思いました。癖はないけど色があって、音楽的なこだわりが歌にも出ていて。こういう歌を歌う人は他にはいないなと思いました。
森光:えー、うれしい! 僕は、出会ってすぐにショウタくんの音源を聞いたんですけど、基本的にオートチューンを使っているじゃないですか。でも歌は上手だから、dawgssで一緒にやるとしたらオートチューンは使わないようにしようと思っていたんです。で、いざ、オートチューン使わずに歌ってもらったら……「めっちゃうま!」と思いました。
Aile The Shota:最初のセッションのときに「やっぱ、歌うまいね」って言われたんですよ。照れましたけど、普通にうれしかったですね。
森光:当たり前だけどうまいし、ダンスをやっていたこともあってリズム感も良いから、聴いていてすごく気持ちがいいです。
──この「ランデヴー feat. Aile The Shota」という曲はお二人にとってどのような曲、存在になりそうですか?
Aile The Shota:めっちゃ好き! それに尽きるかな。
森光:うんうん。今日、ショウタくんとレコーディングぶりに会ったんですよ。曲がちゃんと出来てから会うのは今日が初めてだったんですけど、最初に「めっちゃいい曲だよね」って話をしましたもん。だいたい曲ができると、あとから「ここはこうしたほうがよかったかな」というのがいくつか出てくるんですけど、この曲に関してはそれがまったくなくて。それがすごくうれしいです。それに……。
Aile The Shota:(「いや〜、いい曲だな〜」とポツリ)
──噛み締めていらっしゃいますね。
Aile The Shota;あはは(笑)。はい!
森光:これから二人でライブで歌い続けたいなと思う曲になりました。
Aile The Shota:いくらでも歌いに行くんで呼んでください。で、たまにこっちにも呼ぶので来てください!
森光:こちらこそ。
──それこそdawgssは10月には初の全国ツアー「one-man tour ‘FLYME’」が控えていますが、どのようなライブにしたいと考えていますか?
森光:そもそも全てが初めてなんですよ。今年1月に初ライブをしたのですが、“ライブで歌う”というのもそこで初めてだったし。
Aile The Shota:すごい話だよね(笑)。
森光:6月には初めてのワンマンライブをやったのですが、それも2daysだったし、そもそも初ライブもツーマンライブだったので持ち時間も結構長くて。鬼だなと思いましたけど(笑)、かなり鍛えられた部分もあって。ツアーも不安は若干ありますけど、ワンマンをやったことで「こういうお客さんが聴いてくれていて、こういう温度感で聴いてくれているんだ」と知ることができたので、安心してライブができそうです。バンドも、ライブを重ねてどんどんバンドっぽくなってきているので、すごく楽しみです。
──これはお二人に伺いたいのですが、ライブで大切にしていることはどんなことですか?
森光:自分たちが楽しいのはもちろんですが、やっぱり観ている人にも楽しくなってほしいし、観ている人の心にぐっとくる何かがあればいいなと思いながらやってはいます。
Aile The Shota:僕も1stワンマンを7月にやったので、本当に同じで。「こういう人が僕の音楽を聴いてくれているんだ」ということを確かめられたことで、その人たちに何か持って帰ってもらいたいと思うようになったし、来てくれた人を幸せにしたいなと思うようになりました。ライブの瞬間だけでも幸せな現実逃避になれば良いな、とか。あと毎回「過去最高を更新する」と思ってやっているし、今のところ達成し続けられているので、引き続き毎回過去最高を更新し続けたいです。
──dawgssは1stアルバムが今年出て、初ツアーを回ってというところですが、今後の展開はどのように考えていますか?
森光:これまでの音源は、ライブをやる前に作っていたものが多かったんです。ライブのことをある程度は考えていましたけど、やってみないとわからないことがいっぱいあって。実際にライブをやってみて、自分たちの強みがライブで魅せるということだなと気づいたし、俊ちゃん(上原俊亮 / Dr)のドラムを生かすのが僕の役目だと再確認したので、今は、“ライブを経験したdawgssが出す2ndアルバム”に向けて進んでいるところです。
──Aile The Shotaさんは今後の活動をどのように考えていますか?
Aile The Shota:この作品も含めて、客演は変わらずいろいろな人とやりたいなと思いながら、自分の作品作りもしていきたいです。現時点でEPを3作出しているのですが、4枚で一区切りという感じにしようと思っているので、今はめちゃくちゃ曲を作っています。止まらずに、もっとシーンを広くしていくというか……Aile The Shotaの“股に掛ける具合”をもっと広くしていきたい、貪欲にやっていきたいなと思っています。
──ちなみに。先ほど、お二人が同い年というお話もありましたが、世代感みたいなものは意識していますか?
Aile The Shota:シーンを分けずに、同い年でいろいろやりたいなとは思っていますね。例えばラッパーのSkaaiとかも同い年で、僕は仲良くて。
森光:僕はSkaaiさんとは面識がないのですが、一方でidomとは同い年で仲が良くて。絶対にショウタくんとも会うから紹介したいなと思っています。dawgssで鍵盤を弾いてくれているさらちゃん(和久井沙良)も同い年だし。そうやって、いつか同世代のみんなで集まって、何か作れたらいいなと思っています。
──今後のお二組の活躍も楽しみにしています。ではインタビューは以上にしようかと思いますが、何か言い残したことはありますか?
森光:改めて今回はありがとう!
Aile The Shota:こういうところが素敵ですよね。こちらこそありがとう!