ストリーミングサービスにSNS、YouTubeなどから発信される音楽が多く聴かれる近年は、スマートフォンから巻き起こるムーブメントが世界中を席巻しているといっても過言ではないだろう。そんな“ブーム”を生み出しているアーティストの楽曲で構成されるプレイリストプロジェクト「BOOM BOOM BOOM」のリアルイベント「MAKE A BOOM #4 -merry-」が12月20日(水)に渋谷 WWW Xにて開催。大橋ちっぽけ、クボタカイ、れんといった今話題のアーティストが共演する本イベントには注目が集まる。今回はそんな一夜を前に3人による鼎談が実現。イベントへの意気込みやそれぞれの音楽への思いを語ってもらった。
L to R→クボタカイ、大橋ちっぽけ、れん
――この3人は初対面なんですよね。
大橋ちっぽけ:はい。だけどお二人のことはもちろん知っていたし、音楽が好きなので、ご一緒できるのが嬉しくて。
れん:日常生活を歌詞にしていることとか、共通点も多そうだなと思いつつ、お二人の個性が素敵だなと思いながらいつも聴いていました。僕、クボタさんの「ピアス」がすごく好きで。
クボタカイ:ありがとうございます。
れん:大橋さんは、普通歌詞にしないようなことを歌詞にしますよね。「嫌でもね」で方言を取り入れていたり。
クボタ:「嫌でもね」は確かにヤバかったです。最初はタイトルの通り「嫌でもね」で進んでいくけど、最後に「いや でもね」になるじゃないですか。同音異義語の使い方にハッとしました。
大橋:ありがとうございます。
クボタ:お二方とも歌がめっちゃ素敵ですよね。僕、れんさんの低音の声がすごく素敵だなと思っていて。
れん:ありがとうございます。
大橋:僕はれんさんのことをTikTokで知ったんですよ。「歌の上手いイケメンがめっちゃ出てくる。誰だろう?」といろいろ聴かせていただいたんですけど、曲もかっこいいし、若くてフレッシュだけど、クールな印象もあって。今こうしてお話しさせていただきながらも、「クールだな、カッコいいな」と思ってます。
れん:緊張しているだけです(笑)。
大橋:クボタさんはヒップホップとJ-POPのいいところを吸収しながら、独自の音楽を作っていらっしゃる印象があります。僕も歌詞の中で韻を踏むのが好きなんですけど、クボタさんの書く歌詞にはハッとさせられる韻の踏み方がたくさんあって、そういう表現が自然と歌の中に入ってくる感じがカッコいいなと思っていました。
クボタ:ありがとうございます。なんか褒め合いみたいになってますね(笑)。
大橋:すごく幸せ。
れん:今日は笑顔で帰れる(笑)。
――曲のイメージはどんな時に浮かぶことが多いですか?
大橋:僕は日常でふと浮かんだ言葉をそのまま曲にして、というパターンが多いです。SNSにポエムっぽいことを載せたくなる夜ってあるじゃないですか。ちょっと言葉が浮かんじゃった、みたいな。そういうものを歌詞にしている感覚はあるかもしれないです。
れん:その感覚、すごく分かります。僕は、リリース前の曲の歌詞の一部をSNSに載せちゃったりするんですよ。
クボタ:あー、分かります。僕はフォロワー0のサブアカウントを作って、そこでガンガンやっているんですけど。メモ帳感覚で。
れん:え、フォロワー0?急にバズることはないんですか?
大橋:確かに。ファンの方が見つけるかもしれないですよ。
クボタ:まだ誰からも反応はないですね。
れん:でも見つかるのは時間の問題な気がします。検索ワードで引っかかるかもしれないし。
クボタ:確かに怖いな。消しとこ(笑)。
れん:僕は、スポーツのあとに曲作りをするようにしています。アドレナリンが出ているのかなのか、いいフレーズが出てきたりするんですよ。
クボタ:へえー!僕は一人で考え事をして、ため込んだ鬱憤を曲にぶつけるタイプなので、真逆かもしれないです。
大橋:僕もクボタさんと同じタイプ。
れん:一日中考え事してたら病みません?
大橋:めっちゃ病みます。過去のことで悩んだり、「今の自分、どうなんだろう?」と思ったり。スポーツしたあとに曲を作れるのはすごいですね。僕もやってみたい。
クボタ:そしたらライブ前に3人でスポッチャ行きます?
れん:いや、ライブ前は疲れちゃうんじゃないんですか?(笑)
クボタ:他の日にしましょう(笑)。僕はお風呂に入っている時とか、運転している時とか、リラックスしている時にふと浮かんだものが一番いいなと思ってます。前に、温泉に入っている時にパッと浮かんだことがあったんですよ。忘れちゃうからボイスメモで録ろうと思ったんですけど、脱衣所ではスマホをイジってはいけないから、一旦体を拭いて、トイレに行って、「これはAメロかな」って録音して。それでもう一度お風呂に戻ったら、今度はBメロが浮かんできたので、また拭いて、トイレに行って……って5回くらい出たり入ったりしてました(笑)。
れん:(笑)ボイスメモを開くのが難しい時ってありますよね。僕は大学の授業中に浮かんだ時に「どうしよう」と思って、(右腕で壁を作り、左手で口元を隠しながら)こんな感じでコショコショって録ったんですけど。
大橋:独特のフォーム、ありますよね(笑)。
れん:だけど、そうやって録ったのって結局使わないじゃないですか。
クボタ:小声だからピッチも分からないし(笑)。
大橋:僕も前に似たようなことがありました。寝る前に浮かんできて、「眠いのにな……」と思いつつ、一応ギターを持って、歌って。
クボタ:ギターまで?えらい!
大橋:だけど次の日聴いたら、大したことがなかった(笑)。
クボタ:あはは!ボイスメモの話、盛り上がりますね。
――12月20日に開催されるスリーマンのタイトルは「MAKE A BOOM #4 -merry-」。「merry」は「楽しい」「陽気な」という意味ですが、最近merryな気分になった出来事はありますか?
クボタ:こないだ地元で初めてライブをしたんですよ。地元でライブできることがまず嬉しかったし、普段自分が遊びに行っていた場所で、スタッフさんと一緒に仕事の打ち上げができたのもすごく楽しくて。あれはmerryな出来事でしたね。
れん:素敵。僕はサウナが好きなんですけど、髪を明るい色に染めているから頻繁には行けなくて、お仕事が落ち着いた時の楽しみみたいになっているんです。それでこないだ、久しぶりに行くことができて。結構我慢していたので、すごく気持ちよかったです。あれはmerryな気分だったと言えるかも。
大橋:いいですね。僕はインドアなので家にいる時が一番merryなんですけど、最近は、マイメロのアニメ(「おねがいマイメロディ」)にハマっています。もう大好きになっちゃったんですよ(スマホ裏のクロミのステッカーを見せながら)。
クボタ:大人になってから良さが改めて分かるのって、本物の作品ですよね。
大橋:そうですね。マイメロは本物ですよ。シュールなギャグアニメで、結構エグい表現とかも出てくるんです。「小さい子向けなのかな?」と勝手に思っていたんですけど、実際に観てみたらめっちゃ面白かったので、「やってみたら楽しいことっていっぱいあるな」「勉強していろいろ知るのは大事だな」と思いました。
れん:マイメロの話から、すごく深い話に(笑)。僕も観てみよう。
――では、ライブへの意気込みをお願いします。
大橋:ワンマンとは違って自分のことを知らないお客さんもたくさんいるので、ライブを通じて自分のことをもっと知ってほしい、あわよくば好きになってもらいたい、という気持ちが強いです。 きっと自分の前後ではすごくいいライブが行われるので、お二人にシンパシーを感じつつ、刺激を受けながら、僕もいいライブができるんじゃないかと思っています。当日が楽しみです。
クボタ:一人だったら物語って生まれないけど、人と人がぶつかった時にはドラマが生まれるので、お二方と一つの空気を作れるのがすごく楽しみです。全員で同じ方向を向きながら、フルパワーを出せたらいいんじゃないかと。「この掛け算、すごくよかったね」という空気が生まれ得るのが対バンの醍醐味だと思うので、そういう日にしたいです。
れん:僕はワンマンライブの時はバンド編成なんですけど、対バンだと、一人で歌唱することも多いから新鮮な感じがあるんですよ。一人だからこそ、楽曲やお客さんと集中して向き合えると思うので、そういうところを楽しみたいと思っています。素敵なお二人のライブパフォーマンスを観られるのも、今からすごく楽しみです
――最後に、それぞれの最新作について聞かせてください。まず、クボタさんは、2ndアルバム「返事はいらない」を10月18日にリリースしました。
クボタ:前回のアルバムを出して以降、「表現の幅を広げたいな」という気持ちが強くあったので、今回のアルバムではいろいろな挑戦をしました。その結果、収録曲はバラエティ豊かな感じになったんですけど、「共通しているものは何だろう?」と考えた時に、「全曲手紙っぽいな」「音楽って手紙のようなものなのかもしれない」と思ったんです。僕は「誰かに届け」と思いながらいつも歌っているし、歌詞はまさに手紙のように、誰かのことを思いながら書いている。いろいろなテイストの曲があって楽しく聴けるアルバムですけど、歌詞にも耳を傾けていただけると自分としてはめっちゃ嬉しいです。
――大橋さんは、2ndフルアルバム「character」を10月25日にリリースしました。
大橋:ありがたいことに去年ぐらいから、楽曲提供のお仕事ということをさせていただく機会が少しずつ増えてきて、「自分の曲を自分で歌う活動にはどういう意味があるんだろう?」と改めて考えたんです。答えは出なかったんですけど、「自分と向き合った時に出てきた言葉をちゃんと歌うことに意味があるはず」というのが現時点での結論。ラブソングが多いアルバムですけど、その中にも自分の考えが反映されているし、「自分の人間性をちゃんと歌い切ったぞ」というアルバムになりました。今まで以上に自分自身の本心が出ているからこそ、聴いた人から「分かる」と言ってもらえたら個人的にはめっちゃ嬉しいです。
――そしてれんさんは、11月22日に新曲「通り雨」を配信リリースします。
れん:知り合いの“MIYAMU”さんという作家さんに声を掛けていただいて、初めて小説を基に曲を書きました。小説の中に出てくる「君に恋をしないことができないと分かった」という言葉が素敵だなと思って、歌詞やメロディはそこから考えていきました。一言で言うなら、愛や執着をテーマにしたラブソング。歌詞の最後の方に「夏夜のこと」というフレーズが出てくるのは、小説に出てくる夏夜というキャラクターに掛けているからなんですけど、「ここだけでも聴いて!」とつい言いたくなるくらい、自分としては手応えを感じています。今までに書いた曲の中でも、特に濃密な歌詞が書けたんじゃないかと。小説と楽曲の両方を楽しんでもらえたら嬉しいです。
大橋ちっぽけ、クボタカイ、れんの3組と一緒に、この日だけの素敵な夜を過ごしましょう。
次のブームを作るのはあなただ。
*現在、開催に向けたMAKE A BOOM 予習プレイリストを公開中。下記リンクよりチェックを。
https://bbbplaylist.lnk.to/makeaboom
INFORMATION
MAKE A BOOM #4 -merry-
開催日:2023年12月20日(水) OPEN 18:00 / START 19:00
開催場所:渋谷 WWW X
ARTIST 大橋ちっぽけ/クボタカイ/れん