SPECIAL TALK SESSION:テーマは”アーティストの孤独” 清水翔太×SALU対談 共作「alone feat.SALU」完成を経て

6月27日に発表される清水翔太のニューアルバム『WHITE』。清水翔太自身が「今までの中でも異色だが、個人的には1番気に入っているし最高傑作だと思う」と語る本作にはSALUをフィーチャリングした楽曲「alone feat.SALU」が収録されている。この楽曲は”アーティストの孤独”をテーマに2人が制作したものだが、そのようなテーマで作品を制作した意図はどこにあるのか。なぜ、この2人でなくてはならなかったのか。2人の対談を経て、その心情を語ってもらう。


L to R:SALU,清水翔太

ー清水翔太さんとSALUさんは2016年にリリースしたアルバム『PROUD』でも「MONEY feat. 青山テルマ , SALU」で共演されていますね。EYESCREAMでの対談出演は初ですので、2人の出会いについて教えてください。

清水翔太(以下、翔太):そうですね。テルマ(青山テルマ)が僕らを引き合わせてくれたんですよ。彼女とそれぞれ仲が良くて。それで、SALUくんと初めて会ったのは…なんて言うんだろう? パーティっていうのかな?
SALU:んー…。強いて言うなら社交場?。
翔太:社交場、そうだね(笑)。もちろん、初対面の段階でオレもSALUの楽曲や存在を知っていたし。そこから仲良くなっていった感じです。オレはずっと友達と呼べるような人を作らなくて、引きこもっていて。テルマと仲良くなり出した頃から、友達を作るようになって。外に出ることも大事だと感じ始めていた時期にSALUと出会ったんですよ。もうちょっと前だったら心を閉ざしちゃっていたかもしれないんですけど。そのタイミングで会えたから自分にとってはちょうど良かったなって。
SALU:そうだったんだ?
翔太:そうそう。
SALU:オレも、出会ったくらいの時期にようやく仕事以外で東京のいわゆる社交的な場所に顔を出すようになったんだよね。
翔太:初めて会ったときに肌感覚で『(SALUは)こういう人なんだな』って思って。なんとなくですけど、仲良くなれるだろうと思ったんだよね。2015年くらいだったかな?
SALU:うん、確かそれぐらいだった。

ーそれ以降は2人で遊びに行ったりとか?

翔太:まだないよね。ずっと飲みに行こうだとか、そういう話もしているけど。
SALU:うん。
翔太:なかなかタイミング合わずで。
SALU:というか、オレたちってそういう感じでもないんだよね(笑)。
翔太:そうそう、わかる(笑)。遊ぶために会ってもいいんだけど、そうしなくてもいいって関係で。気を遣いたくないって感覚はお互いに一緒だろうから、ちょっとでもそういう風になるくらいだったら、楽な関係を保てる方がいいし、それで充分仲良いし。お互いに居心地のいいスペースに居ながら、ときどき確認し合えるものがあれば、それでいいって関係でもあるから。それはそれで尊いよね。
SALU:うん。それに超リアルだと思う。インスタグラムで『ご飯一緒に行ってまーす』みたいに、あえて拡散しなくちゃいけない関係でもないじゃん(笑)。
翔太:そうだね。メールとかはしょっちゅうするんだけど、何日の何時にメシを食いに行こう、とか。そういう感じでもないしなって。

“アーティストの孤独というテーマにおいてSALUは最適だし好きにやってほしいと思った”
ー清水翔太

ーなるほど。では6月27日リリースの清水翔太さんのアルバム『WHITE』に収録されている楽曲「alone feat.SALU」はどのように制作されたんですか?

翔太:オレの分を先に全部作って、途中、間を開けている状態でSALUにオファーして。そのときに”アーティストの孤独”が楽曲のテーマだってことを伝えて、あとは丸投げでした。オレにとってSALUって、根本のところでお互いをリスペクトしているし、理解し合っているんだけど、別に過剰にコミュニケーションをとるわけでもない人で。お互い、背中を向き合いながら外へ発信しているけど近くに感じられるって感覚もあったから”アーティストの孤独”を表現するうえで、最適だと思ったし、SALUならバッチリやってくれると思っていたんで、そんなに細かく内容を解説するようなことはしなかったですね。
SALU:今の自分のリアルを”alone”って側面から歌ったら、割と1行目から最後まで全部するっと描けちゃったんですよ。翔太くんと細かいやり取りをしながら作り上げていくって感じではなくて「アーティストのaloneだから」ってことが、ざっくりと漠然とオレに伝えられて(笑)。
翔太:アッハッハ!(笑)。
SALU:「ですよねー」って感じで、この内容が出来上がったという。すんなり出来ましたね。

ーそもそも翔太さんが”アーティストの孤独”を表現するうえで、一緒にやる人間の選択肢はSALUさんでしかなかった?

翔太:アーティストは多分きっと皆、(孤独感を)背負っているだろうし背負うべきなんですけど、それに対してオレは、細かく作業を擦り合わせながら制作したいと思っていなかったんですよね。しっかり綿密に練って作り上げていくってことが好きじゃなくて。その作業が必要なのであれば自分1人でやるし、一緒にやる人間に好きにやってくれっていうのが好きだし。好きにやってくれて問題ない相手としかやらないし。そういう意味でSALUだったんです。”アーティストの孤独”をSALUがどのように表現するのかってことではなくて、そのテーマをもとに、好きなところに飛んでいってもらってもいいと思っていて。その中でSALUは自分の好きにやってくれたんだと思っている。
SALU:そうだね。好きにやらせてもらって。
翔太:強いて言うなら、もう少しだけ口ずさみたくなるようなワードや瞬間があってもいいかな? ってことをSALUに伝えて。それを少しアレンジしてくれたよね。
SALU:変えた部分が2ヶ所あった。翔太くんのバースを繰り返し聴いていたときに自然に口ずさみたくなる部分があったんだよね。「あー、そういうことね」って気づいて。例えば[without you]の部分とか。そこで、こういう風に作るんですねってことを、あまり直接的に会話することなく翔太くんに教えてもらった気がしていますよ。色々勉強させてもらいました、フフフ(笑)。
翔太:いえいえ(笑)。
SALU:一緒に歌うパートとか、そういう表現が僕は苦手だったんです。それは誰かに教えてもらうことでもないし。でも、尊敬できるアーティストに自然に教えてもらえたのはすごい嬉しかったですね。ずっとやりたかったことをやらせてもらった感覚に近い。

ー今回のテーマでもありますが2人はどのようなときに”孤独”を感じますか?

翔太:オレの場合は、楽曲を制作しているときに孤独を感じますね。だから「alone feat.SALU」のバースは[白と黒]から始まるんですけど、これはピアノを指しているんです。キーボードを前にして『よし、曲を作ろう』ってときは1番不安がある瞬間っていうか。常にジャッジするのは自分1人だから。何を作ったとしても良いと言ってくれる人はいるし、悪いと言う人もいるし。その中で『いや、オレはこれを表現するんだ』って毎曲、腹を括らなくちゃいけなくて。そのときは、すごく不安で1人なんだってことを痛感するんですよ。クリエイティブと向き合う瞬間だけは1人で対峙しなくちゃいけない。それは怖いし、その曲がどんなに評価されてライブで盛り上がるものになったとしても、また1人で、その場所に戻ってこなくちゃいけないっていう、そこが1番孤独を感じる。終わりがないですしね。
SALU:そうだね。「alone feat.SALU」で自分のパートは[薔薇とSEVENSTAR 石の前でいくら〜]から始まるんですけど、これはお供え物を示しているイメージで、オレは常にそこからクリエイティブをスタートさせていて。ずっと誰かに認めてもらいたくて褒めてもらいたくて、音楽を頑張ってやっていたところがあったんですけど、どこまで行っても、自分が思っているようなものは得られないというか。それこそ終わることがないという。そこにプラスして、オレが首を突っ込んでいる世界っていうのは、まぁ…心から信用できる人は少ない。そういう場所で常日頃生きていると、ふと『何をやっているんだろう? オレは。音楽をやっているだけなのに』って感覚になることもあるんですよね。副産物が多すぎて、自分の作っているものが何なのかわからなくなるときがある。そういうときに孤独を感じたりします。アーティスト”SALU”という存在の下に”自分”という人間がいる感じなんですけど、アーティストの部分ではやっぱり孤独な人間だなって。

ーアーティストというと、世間的には華やかなイメージがあるので”孤独”というのが意外に感じました。

翔太:これは本当にそうなんですけど、デビューしてすごく思ったのは、華やかに見えるのは本当にその瞬間だけってこと。それ以外のほとんどの時間が、華やかさの影にある。一瞬の花火を打ち上げるだけの準備であり地味な作業ばっかりで。まぁ、だからこそいいんですけどね。結局、その花火もみんなが綺麗だって言ってくれるわけじゃなくて、他のものと比べられたりとか、そこに至るまでの、どこから仕入れてきた火薬で、それを打ち上げるために、どんな技術が必要かって部分には触れてもらえないし、もちろんそれでいいんだけど。なんか思ってた以上に地味だなーと思いましたね。華やかなさんて全然。でも、面白いんだけど。
SALU:うん、本当にそうだね。

“この楽曲で自分の気持ちを昇華させることができて救われた気持ちになった”
ーSALU

ーそういうメッセージをこの楽曲で伝えたいと思った?

翔太:いえ。オレはね、そういう気持ちはないんですよ。最近の曲ほぼ全部に対してもそうなんですけど、絶対に伝わってほしいというメッセージはないんです。ただ、思ったから言うだけであって。
SALU:自分の場合は、音楽に昇華しないとやっていられないようなことが最近起きて。それを曲にしようと思っていたんですよ。同時に、ずっと考えていたことではあったんですけどね。そしたら、翔太くんから連絡をもらって、こんな絶好のフィールドが与えられたんで(笑)。だからこそ、さっき言ったようにすぐに描けたのかもしれない。「alone feat.SALU」があって、この気持ちを作品として伝えることができて救われた気持ちになりました。翔太くんの言葉を借りるなら、地味で辛かったりする時間を成仏させることができるなって。そんな感じでしたね。

ー今後2人でやっていきたいことはありますか?

翔太:この話はSALUにもしたことないんだけど、オレとしては勝手に考えてることがあって。
SALU:どんな?
翔太:こういう風に例えるのが良いのかわからないんだけど…。よくラッパーと作品をやった後に思うのが、今で言うとクリス・ブラウン&タイガ、とかになるのかもしれないけど、昔、オレがデビューしたいと思っていた時期は、オマリオン(Omarion)とバウワウ(Bow Wow)とか。
SALU:あー、うん。フフフ(笑)。
翔太:2マンでライブやってて。そういうのやってみたいよね?
SALU:いやぁ…オレもずっとそう、まさにオマリオンとバウワウみたいにって思ってた。ああ、そうですか、そう思ってましたかー…。

Bow Wow, Omarion – Girlfriend

翔太:うん、だってオレらの世代の人だもんね。
SALU:2マンやりたいなー。
翔太:うん、絶対面白いと思う。


清水翔太 『Friday』Music Video


清水翔太 『alone feat.SALU』Music Video

INFORMATION

清水翔太『WHITE』

6月27日リリース
2018年全国ツアー「SHOTA SHIMIZU LIVE TOUR 2018 “WHITE”」の開催も決定。
7月3日の愛知 Zepp Nagoyaを皮切りに、9月10、11日に日本武道館、9月17日 大阪城ホール追加公演を開催する。
http://www.shimizushota.com/

SALU
https://www.salu-inmyshoes.com/