FOCUS:SEKAI NO OWARI約4年ぶりの新作はグループの多面性を表現したマスターピース from EYESCREAM No.170

現在発売中のEYESCREAMNo.170では、約4年ぶりのニューアルバムをリリースしたSEKAI NO OWARIにフォーカス。ダークな『Eye』とポップな『Lip』。2枚の相反する作品は、グループが持つ多面性を表現している。目で、口で、紡ぐ彼らの今、そして今後への想いとは。

“どちらが本音とかではなく、どちらも自分が語ったこと”

ー今回2枚組でのリリースとなりましたが、そこに至った経緯を教えてください。

Fukase「昨年の2月にリリースした「サザンカ」のレコーディングに向かう車内で、2枚作ることを決めました。『Eye』と『Lip』というタイトルも自分の中ではすでに決めていて、スタジオに着いてすぐメンバーに報告しました。今まで僕らが発信してきた楽曲の全てに嘘がある訳ではないですが、SEKAI NO OWARIを作るうえでわざと隠してきた本音もあります。それらが共存しているのが僕らの音楽ですが、目と口、どちらから語られたものであっても、結局は自分という一人の人間の言葉なので、タイトルはどっちがどっちになってもよかったんです」

Saori「『Lip』は、タイアップやシングルとしてすでに発表している楽曲が多く『Eye』はそのカップリングや今回新たに書き下ろした作品がほとんどです。『Eye』のほうが、Fukaseくんの単独での制作作品が多いので、どちらかというと彼のパーソナルな色が濃いのかなと思います。そういった楽曲の表情の違いをそれぞれで表現しましたが、私自身はそこまで二面性がある訳ではないので、“Fukaseくんのワガママに付き合ったよ”っていうコンセプトアルバムですね。二枚は、大変です(笑)」

Nakajin「Fukaseのことを昔から隣で見てきているからこそ、そのアイディアいいねと、受け入れることができましたね」

ーなぜ4年半という期間を経て、このタイミングでのリリースだったのですか?

Nakajin「海外でEnd of the Worldとして初のアルバム『Chameleon』のリリースを春に予定していて、この構想に5〜6年くらいかかってしまった結果です。決してサボっていた訳ではないんですよ(笑)。最初に海外版の制作から取りかかり、その次に日本でのアルバムリリースを考えようと思っていたら、あっという間に4年以上も経ってしまいました」

ー『Chameleon』もそうですが、両アルバムを通して楽曲のタイトルや、曲中に花や虫など、多くの生き物が登場する印象を受けました。

Fukase「生物たちの性質的なところをただぼーっと見ていることが最近多くなり、自分とリンクした時や、単純にこいつ可愛いなと思ったら歌詞へ反映させています。今回のアルバムは、水族館のベンチに座って書いたものが多かったので、その影響もありますね。部屋に大きなプロジェクターがあって、水族館の水槽の様子を流しながら眠ったりもしているので(笑)」

Saori「水族館でイルカとFukaseくんがキャッチボールしている動画が本人から送られてきたことがあって。一人旅に出かけるって言っていたのに、誰が撮ってんのみたいな(笑)」

Fukase「僕がずっとイルカと遊んでいたら、隣にいた子連れのお母さんが撮ってくれました(笑)。実は生き物が閉じ込められている感じがするので、水族館や動物園はもともと苦手でしたが、“ブレーメン”という動物の殺処分をゼロにするための活動を通して、種の保存のためにも生き物たちの生態を研究することが大切で、水族館や動物園にはそういった研究という側面もあることを知ったので。今では、休みのたびに足を運ぶようになり、一日に三つの水族館を回ることもあります」

「Food」

ー『Eye』の収録曲「LOVE SONG」は、愛だ恋だを唄ったいわゆる“ラブソング”といったものからはかけ離れた楽曲ですが、このタイトルにした意図を教えてください。

Fukase「過去の自分へのメッセージというか、忠告です。大人への悪口が謳われた音楽はよくありますが、大人だって子供の時代があったわけで、「嘘つきはガキの頃から嘘つき」ですし、周りを傷つけていた気がします。大人を批判するだけではなく、今の自分はどう? とキッズやティーンネージャーに向けて正直な気持ちを綴りました。でも大事なのは、「僕がここでずっと待ってるから」と愛情を持って包んであげること。恋愛ソングではないけれど、ある種の愛の形として「LOVE SONG」とつけました」

「LOVE SONG」

ーキッズも含め、幅広いファン層を持つSEKAI NO OWARIだからこそ響くメッセージかもしれないですね。

Fukase「僕はバンド活動をする上で、子供を置き去りにしたくはないなと思っいて。彼らの身近な存在でありたいんです。そもそも自分の家族がいいと思ってくれるような音楽を作りたいというのが根底にあるので、必然的にファミリーを意識しています。ファンタジーな世界観を演出しつつ、現実的な部分もきちんと伝えることが大事かなと」

Saori「曲の世界観からライブ、私たちのステージ衣装に至るまで、全部Fukaseくんが徹底したキャラクター像を作ってくれたからこそ、ファミリーで楽しめるバンドになることができたと思っています。でも、音楽活動以外での彼のそういった才能は、意外に知られていないんじゃないかな。SEKAI NO OWARIのビジュアルは全てFukaseくんが考えていて彼の得意分野の一つでもあります。そのルーツとなる、ファッションやアートへの思いも人一倍だと思う。私たちは今まで音楽雑誌以外はあんまり出てこなかったから、今回、EYESCREAMに載せてもらうことは、彼のパーソナルな部分を見せることができるチャンスだなと思っていました」

ー今月号のEYESCREAMはスケートカルチャーを特集している号ですが、Fukaseさんのファッションのルーツもそういったところにあると伺いました。

Fukase「昔っから何かストーリーのあるアイテムが好きで。例えば、オーリーをやって削れてしまったVANSとか。あとは、メロコア世代ということもあり、TシャツはバンドT以外何を買えばいいんだ的な感じはあります。専ら古着が多いですね。あと、最近はVerdyさんが気になります。今一番お会いしてみたい方かもしれないですね」

ーEYESCREAMのwebでぜひ、Fukaseさんの今日の私服や誌面では載せきれなかった、ファッションやアート談議を掲載させてください。

Fukase「一人でファッション誌に出るのは恥ずかしいし、四人での活動が好きなので今までは控えていましたが、ぜひ(笑)。最近Saoriちゃんも小説家デビューしたことで一人での活動も増えたし、Nakajinも僕ら以外のアーティストの楽曲アレンジなどもやっているので、今年はそういう個人のカラーをもっと出していければいいなと思います」

ー4月からはじまるライブツアーも楽しみです。

Fukase「今回は今まで見せてきたSEKAINO OWARIのエンターテインメントとは、ある意味真逆の見せ方かもしれません。裏テーマが“監視社会”なので、常にネットと繋がり誰かに見られている今の世の中を、デジタルなファンタジーの世界観で表現します」

DJ LOVE「可愛いファンタジーではなく、ダークめなやつね」

Fukase「でもそこにはしっかり僕らなりのメッセージも詰め込んでいるので、乞うご期待です」

衣装協力/velvet(tel _03-6407-8770)
衣装協力/velvet(tel _03-6407-8770)

INFORMATION

『Eye』『Lip』

2月27日 同時発売