1975年のデビュー以来、日本屈指のブルース・バンドとして第一線で活躍する憂歌団のギタリスト、内田勘太郎と、ザ・ブルーハーツ、ザ・ハイロウズ、ザ・クロマニヨンズと、常に最高のロック・ヴォーカリスト、甲本ヒロト。音楽ファンにはお馴染みのこの二人が、デュオを結成したというニュースが届いた。なんてことだ。ファレルとダフト・パンクが組んだ、というのを知ったときのゾクゾク感と言えばいいだろうか(その結果は言わずもがな。あれがその後を決定づけた。もう6年前なのか)。
ユニット名は「ブギ連」。“キング・オブ・ブギ”して知られるブルース界の巨人、ジョン・リー・フッカーの代表作「ブギ・チレン」からその名を取ったという。
二人のそもそもの出会いは30年以上前のこと。ザ・ブルーハーツ主導のイベントに憂歌団が招かれたことから始まる。甲本は高校時代から憂歌団のファンであり、一方の内田もザ・ブルーハーツ「リンダ リンダ」に衝撃を受けていた、という相思相愛さだった。
そこから交流は続きつつも、ブギ連の結成に向けて大きく動いたのは2013年11月。内田のイベント「YOKOHAMA MEETING」に甲本がゲスト参加したことによる。そのとき二人は日本語によるオリジナル・ブルースを演奏し、その成果に確かな感触を得た内田がアルバム制作の話を持ちかけるが、多忙な二人だけに実現はなかなかできず……。約5年の月日が経った2018年、あるプライベートな再会によりとんとん拍子に話が進み、今回の録音が実現した。
甲本が「出来上がる過程を録音した感じ」と語ったように、曲の着想からわずか24時間で録音という、ほぼ即興的に制作された今作。トレードマークであるスライド奏法を織り交ぜながらアコースティックギターを響かせる内田と、魂が発するままに歌い、ハーモニカを吹き鳴らす甲本。互いの手の内を探り合いながらの録音は、ブルースという共通項を持つ二人だからこそ可能な制作方法であり、それゆえに今作はセッションの緊張感を捉えたものとなった。
ブルースへの愛を惜しみなく注ぎ込まれた1stアルバム『ブギ連』。そこには、マディ・ウォーターズ(この名前はザ・ハイロウズ「パンチョリーナ」の歌詞にも出てくる)、ジョン・リー・フッカー、ロバート・ペットウェイ、ジョン・ブリムら、歴史上のブルースマンたちに敬意を表しつつも、彼らだからこそのブルース&ブギが生々しく吹き込まれている。
1948年に録音されたジョン・リー・フッカー「ブギ・チレン」から考えると70年以上。2019年の日本において、こんなオリジナルなブルースがかき鳴らされるなんて、音楽ってつくづくおもしろい。
INFORMATION
ブキ連『ブギ連』
2019年6月26日発売
2,913円+税 / BVCK-960