BEAMS×スペシャによる音と映像の実験プログラム

昨年7月からBEAMSとスペースシャワーTVとの共同プログラムとしてスタートした、アーティストの「B面」を探る音楽と映像の実験場〈PLAN B〉。現在の音楽シーンを彩るユースクリエイターたちによる、コラボレーションプログラムだ。番組の企画書には何も書かれておらず、アーティスト自身がその企画書を埋めていくため、僅少な時間と予算を除けば、自由度は無上。これを制約と捉えるか、無法地帯と捉えるかは、アーティストの手に委ねられている―。
これまでにSuchmos、ぼくのりりっくのぼうよみ、水曜日のカンパネラ、D.A.N.、THE OTOGIBANASHI’S、HUE(Rhizomatiksのメンバーによる別ユニット)といった、気鋭アーティスト達とコラボレーションしてきたが、今回は「シーズン3」として今年4月~6月の特集を彩ったアーティストの軌跡を振り返る。

4月、WONKは初の欧州ツアーの過程で新曲を作り上げた。
[WONK×YutaKoga]

4月に登場したのは、昨今のブラックミュージックへの高まりを、高い演奏力をもって一手に引き受けるエクスペリメンタル・ソウル・バンド、WONK。今年2月にロンドン、パリ、ベルリンの3都市を巡る、初のヨーロッパツアーを敢行した彼らのプランは「ヨーロッパツアーのドキュメントを軸に、ツアー中に新曲を作りあげる」という、挑戦的な内容だった。機材トラブルによりロンドンでの講演がキャンセルになるというトラブルもあったものの、パリ、ベルリンでのライブでの盛況が確かに収められている。
弱冠21歳(番組制作時)の映像作家・俳優のYuta Kogaは現地のクラウドの視点も交え、あえて狭い画角のトリミングやノイジーなトーンを用いることで、その妖艶な熱気を効果的に見せている。

「僕らが東京で思っていることと同じ考えをもって活動している人たちが、海外にもいるってことを知った」(Kento Nagatsuka/Vo.)

「僕らは僕らの音楽を普通にやればいいんだ、ということに確信を持てた気がします」(Kan Inoue/Dr)

next》 5月、chelmicoは脚本家とともに、人生で初めてのコントに挑戦した。

5月、chelmicoは脚本家とともに、人生で初めてのコントに挑戦した。
[chelmico×ファイアーダンス失敗×HOEDOWN]

5月に登場したのは、2014年の「シブカル祭」をきっかけに活動を開始したMC RACHELとMC MAMIKOから成るフィメールラップユニット、chelmico。彼女たちが番組プランとして提出したのは、「脚本家を交え、2人でコント番組をつくる」という、意表を突くものだった。ファイアーダンス失敗氏のナンセンスな脚本が彼女たちの「笑い」に対する忠誠を引き出し、chelmicoの2人が圧倒的な信頼を寄せる映像クルー・HOEDOWNがメタ視点を交えたトリッキーな構成でまとめあげた。三者の信頼なくては成立しないことが、映像から見てとれる。

「人生で一番楽しかったといっても過言じゃない!」(MC RACHEL)

「文化祭みたいで本当に楽しかった。”chelmico 2” でもう一回出たいな」(MC MAMIKO)

next》 6月、Alfred Beach SandalとSTUTSは、LAで稀有な邂逅を果たした。

6月、Alfred Beach SandalとSTUTSは、LAで稀有な邂逅を果たした。
[Alfred Beach Sandal×STUTS×???]

シーズン3の最後は初のトリプルコラボレーションとなった。匕ップホップとソウルのエッセンスを昇華するトラックメイカーであり、MPCプレイヤーでもあるSTUTS。そして、ハイトーンヴォーカルを武器に幅広いジャンルをポップに吸収するAlfred Beach Sandal。同月にアルバム『ABS+STUTS』で共作をリリースした彼らは、LAのツアーを通して出会うであろうアーティストを「第三のコラボレーター」とする、という異例の企画を出した。本編で明かされるコラボレーターは、まさに豪華の一言。彼らが誰と、どこで、どんな経験をしてきたのか―。その真実は文ではなく、プライベート感溢れる旅の記録の中で知ってほしい。

「バイブスやノリで決定していくのは、とても心地よかった」(Alfred Beach Sandal)

「J Roccさんがコンビニでお水を奢ってくれた……!」(STUTS)