Corneliusの生み出すズレと違和。そこに嵌り込んでいく心地

11年ぶりとなった新作『Mellow Waves』、そして9年ぶりの全国ツアー。そのあいだには夏フェスでも精力的にライブを行うなど、2017年のCorneliusは動き続けている(この東京公演の直前にはBECKの日本武道館公演にもゲストとして出演していた)。

『MELLOW WAVES TOUR 2017』と銘打ったツアーも終盤戦。東京2デイズの2日目となったこの日。ステージでは、Corneliusこと小山田圭吾(vo,g)を中心に、堀江博久(key,g)、あらきゆうこ(ds)、Buffalo Daughterの大野由美子(b,key)の4名が、一列に並んで音楽を鳴らせている。6月に六本木スーパーデラックスで行われたシークレットライブ、夏フェス、そして今回と観てきて感じるのは、当然ではあるが“バンド感”はどんどん強くなり、その結果、オーディエンスに向かって(そして全体に向かって)より開かれた状態になっているということ。内へと潜っていく曲も多いが、すべては開かれていくため、という。演奏に同期する形で投影される映像もまた、先導したり脱線したりしながら新たな発見を促してくれるようだ。音色にも映像にも共有して言えるのは、日常から少しだけ、でも決定的にズレていて、そのズレや揺れがしっくりきてしまう瞬間にうれしくなる。

そうして続いたライブは、アンコールの最後の曲で覆される。そこにあったのはギターをジャーンと鳴らすとかっこいい、音が鳴るのが楽しい、という“バンド賛歌”にすら感じるような、純粋さしかない衝動。なんともニクい演出でフィナーレを迎えたのだった。

MELLOW WAVES TOUR 2017

2017年10月26日(木)
新木場STUDIO COAST

http://www.cornelius-sound.com