KANDYTOWN、Aun beatzのメンバーとして音楽シーンを沸かせ、数々のファッション誌に登場し、ファッション界で活躍し、時には役者としての一面も見せるRyohu。
様々な手法で自らの才能を発揮し、多くのユースから支持を受けている気鋭アーティストは、どんな考えを持ちながら日々を送り、表現に繋げているのか。10月11日にリリースされる初の全国流通盤となるソロEP『Blur』を巡って、その思想の中枢を覗いてみる。
人間としてライフに還元したい。人として素晴らしく在りたい
自分で自分をプロデュースし改めて提案するという形で
― 今回のEPは、ソロとしては初の全国流通盤となりますが、まず気になったのは『Blur』というタイトルです。この言葉を選んだ理由は?
「曖昧さって意味がある単語だと思うんですが、自分には〝曖昧なもの、抽象的なものって素晴らしい。よくわからないけど良いってものが良い〞という考えが根本にあるんですよ。物事には何にでも相反する二面性があるじゃないですか、例えば朝と夜、賛成と反対、善し悪し、だとか。どちらか一方になびかなきゃいけないときも、あるとは思うんですけど、極論を言うと、どっちも間違いじゃないと考えられると思うんですよね。オレ自身、何が良いかって問われると困っちゃうタイプなので、さらにそのこと自体を肯定する言葉として〝Blur〞だ、って」
― ソロとしては昨年の5月くらいにEP『All in One』をリリースされていますが、その作品との関係は?
「あの作品で、自分の表現というのはある程度のところまで固まっていたんですけど、もう少しトライできるんじゃないか、という考えが去年からあったんです。そもそも『All in One』は自主制作でしたし、自分に近いところでクリエイティブも行ったし、DIYでしたからね。そのアップデート感がありつつ、先々にリリースしたいと考えているアルバムの前段として、自分が何を表現できるのかを明示しておきたいと思って。だから〝Ryohu〞というアーティストを改めて自分でプロデュースし、自分に提案するというつもりで制作していきました。だから収録されている7曲とも、それぞれ個性があってバラエティに富んだ内容になるようイメージしています」
Ryohu – All in One (Official Music Video)
― バラエティ性を追究したのは、今作がシングル的な意味合いだったからですか?
「と言うよりも、この先の自分の表現を改めて俯瞰して見るために、という感じですね。今までやってこなかったことを、あえてトライしてみたんです。だから今作はHIPHOP の印象を少し薄めて、割と歌ものだったり、明るめの曲を多く表現しています。ラップはやろうと思えばできることですからね。実験とまではいかないまでも、1回試してみたかったことをやってみて、それがうまくハマったかな、と感じています」
― 確かに表情豊かな作品ですよね。『All in One』とも雰囲気が違うし、より音楽性の深さを感じました。テンポも曲毎に異なっていますよね?
「前作『All in One』は、あのときの自分の感じを表していて、音楽として自分の中で評価することができたんですが、まったく同じことを今でも良しと考えるか、というとそれは違っていて。今、自分がEPを作るなら、こういう感じかな? と模索しながら制作に取りかかって『Blur』という作品に辿り着いたんです。曲毎にテンポが異なっているのも、自分の今を表現する作品集というイメージがあったからです」
― 今作に収録されている楽曲はリリースが決まってから制作したんですか?
「いえ、1曲目の『The More, The Better』は4年ほど前にリリックができていた曲ですね。それを手直ししてトラックを制作して作品になったんです。制作の順序は偶然ですけどトラックリスト通り。ラストの『Say My Name』は『All in One』の4曲目に収録した楽曲『Call Your Name』の続編的なストーリーにしています。最後に書いた曲でしたけど、作ったときは今作に収録しなくてもいいかな? なんて考えていたんですよ」
― それは何故?
「あえてシングルで急に出すのがカッコいいんじゃないかな? なんて考えも思いついたんですけどね。『いや、そうじゃない!』って。オレ、よく自問自答するんですよ(笑)。そんな葛藤を経て、やっぱり入れよう、と」
あえて曖昧でいることには日本人らしい誇らしさがある
― KANDYTOWN や Aun beatz としても活動されていますが、ソロでの活動とどう異なりますか?
「自分らしさが1番前面に出ているのがソロ作品ですね。ガッツリ我を出すというか……。自分が作るものに対して、何も意見を言われることもないので、とにかく自分はこうだ、というものを没頭して作る、そしてそれをちゃんといい方向に向けようとする、というのが異なる点ですね。というのも、KANDYTOWN にしても Aun beatz も、さほど自分から仕掛けにはいかないんですよ。それぞれに自分の立ち位置がありますから」
― なるほど。ちなみに今作の歌詞は自分自身のことを描いたものですか?
「いや、今作は自分のことではなく、リアルなことも散りばめつつストーリーに近いイメージで構成していきましたね。とある景色を見ながらラップしている自分とかはありますけど、状況によって変えながらリリックを書いています」
― 個人的にRyohuさんのリリックはロマンティックな印象があって、そこに惹かれるんですよ。
「うーん、そこは意識しているわけではないんですけどね。リリックは自分がカッコいいと思うかどうかが判断基準で『この言い方、ダサいでしょ』と思ったら、そういう表現は使わないし。でも、いわゆるロマンティックと言われるものが、もともと好きというのはあるかもしれません。〝多くは語らずともわかる〞という瞬間はすごくいいな、と思ってい
ます」
― Ryohu さんがいいと思う瞬間というのは?
「普通に生活しているときに感じるんです。今日もそうだったんですよ、夕陽が綺麗だなーって。そう思って写真撮っちゃったし。嫌なことがあろうと仕事で疲れていても、ただ項垂れながら帰宅するのではなく、ふと上を見上げて、月が綺麗だ――と思えれば、ネガティブな考えなんてどうでもいいと思えるし、明日も頑張ろうと思える。そういう風に思える瞬間がいいと思うんです、人として。そういうのが好きなので、ロマンティックに解釈できるのは、それが投影されているのかもしれませんね」
また、ロンドン発のストリートブランド「SILAS」の2017F/W COLLECTIONのイメージPVに起用され、『Blur』に収録されている楽曲「Feelings(White Bird)」を披露している。「SILAS」の2017F/W COLLECTIONを纏ったRyohuがつむぎだす、刹那に広がり波打つメロディーに身を任せたい。
Ryohu(呂布) x SILAS – Feelings (White Bird) [2017 F/W COLLECTION by SILAS]
INFORMATION
『Blur』
発売中
価格:2,000円+税
品番:LFIW-003
01. The More, The Better
02. All in One
03. Shapeless
04. Desserts
05. Feelings (White Bird)
06. Shake
07. Say My Name
Ryohu
HP: http://www.ryohu.com/
Twitter: @ryohu_tokyo
Instagram: @ryohu_tokyo