Flex da 9th pre. 914 Freestyle Vol.01 〜円山町の片隅でフリースタイルEPが生まれるまで〜

4月、STAY HOMEの期間中を利用して制作を開始した3人組ニューHIPHOPユニット、Flex da 9th。渋谷は円山町にあるマンションの一室で、夜な夜なトラックにラップを載っけ続ける3人組だ。本連載では、活動をスタートしたばかりのFlex da 9thが、1つのEPを完成させるまでのストリートストーリーを追いかける。第1回目は自己紹介してもらおう。Flex da 9th、あなた方、何者ですか?

Front to Back_BLA BLA、LAGO、Bones.Money

円山町を起点に畑違いのトラックメイカーとラッパーが邂逅

ー連載スタートにあたって、Flex da 9thというユニットは何者なんだ、ということから始めようかと。まず、結成の成り立ちについて教えてもらえますか?

Bones.Money:僕が神泉(渋谷の円山町)にオフィスを構えているんですが、それが今日撮影してもらっているマンションの一室なんですよ。一時期、シェアオフィスとして4人が使っていたんですが、自分以外のメンバーが移動していって、そのタイミングで迷い込んできたラッパー2名が、この2人でFlex da 9thのメンバーなんです。

BLA BLA:そうっすね。間違いない。

Bones.Money:もともとユニットを組んでいたわけじゃないんですけど、僕は2018年から1人でコツコツビート作り続けていて、ずっとラップを乗っけてくれる人を探していたんです。そのタイミングで運良く出会えた2人に一緒にやってみないか声かけたのがキッカケっすね。もともとバンドマンで、HIPHOPユニットを組むのはこれが初めてです。

BLA BLA:Bonesさんはバンドもやっているじゃないですか。これは僕の経験上の話なんですけど、楽器できる人のビートってカッコいいんですよね。HIPHOPだけをやっている人よりも幅広さがあるような感じがあって。実際に。Bonesさんのビートを聴いたときに「すげぇいいじゃん!」って思ったし、自分としては、願ったり叶ったりですよ。

LAGO:うん、ビートがよかったのが実際に一緒にやろうと思った理由ですね。自分もビートを作るんですが、最初にビートをもらったときにBones.Moneyは、ちゃんとビートの構造を理解してる人だって思いました。

BLA BLA:今まで周りにいた人と異なるタイプのビートメイカーだったことも大きかったですね。最近のU.S.のヒットチャートをちゃんと聴き込んでいるだろうな、と思ったし、あんまり日本にいないタイプのスタイルだな、と。トレンドを理解してる人が、あえてそこを無視した形で表現しているビートも好きだし、そういうところもユニークだと感じました。

ーユニットとしての具体的なスタートは何時ごろ?

Bones.Money:緊急事態宣言が出ていた頃なので、5月くらいです。

ーでは、各々の音楽的ルーツは?

Bones.Money:オレはティンバランド(Timbaland)、ザ・ネプチューンズ(The Neptunes)とかが昔から大好きで、最近のU.S.HIPHOPも熱心に聴いていますね。

LAGO:難しいですけど、HIPHOPを好きになったキッカケはCATVでアメリカのバスケのツアーの特集番組を観たことなんですよ。BGMでHIPHOPがめっちゃかかっていて、この音楽ヤバイなって思って。最近好きなアーティスト名を挙げるとグリゼルダ(Griselda)やウエストサイド・ガン(Westside Gunn)とかですね。

BLA BLA:僕は本当に何でも聴くんですよ。ハウスのパーティにも良く行くし。最近だとUKのアーティスト好きですね。レジー・スノウ(Rejjie Snow)とか。最近のトラップだとかトレンドの音楽も好きですよ。

トラックは00年代の音を今風に ラップは2人の個性を活かして

ーFlex da 9thのグループとしての音楽性はどんな感じ?

BLA BLA:けっこうチャレンジングなビートも多いんで、あえて変なガヤ入れたりしてますね。その辺りもBonesさんが対応してくれるだろうなと思いながら(笑)。

Bones.Money:そうね。あんまりお互いにリクエストしたり前もって説明したりもせず自然にやっていくというのはコンセプトとしてあって。個人的なテーマとしては、00年代の音を今風にやるっていう感じ。ネタとしてストレートに取り入れるってだけじゃなく、トラップっぽくあえてハット入れてみたりとか、そういうチャレンジをしていますね。特にBLA BLAはガヤもラップもチャレンジングなところあるんで、ちょっとやりすぎ感があっても残しているのは、自分らのポイントかも。逆にLAGOはストレートで力強いラップをするんで、そこも活かせるような幅のあるビートを目指しています。

BLA BLA:オートチューンとかもガヤで使ったりしていますね。オートチューンって好きじゃない人もいるんですけどね、幅があるビートだからこそ、そういうのもトライしています。

Bones.Money:BLA BLAはフリーキーなラップの乗せ方が多くて、逆にLAGOは韻も固めでストレートで、いい意味で日本っぽい。そのキャラの違いで独特の雰囲気が滲み出てくるんで、プロデューサー的にはやりやすいんですよね。

ーラップの話になったので、BLA BLAとLAGOに質問です。今、リスペクトしている日本のラッパーは誰ですか?

BLA BLA:僕はD.Oさんっすね。曲も好きだし、エンターテイナーだし。めっちゃオリジナリティあるなって。楽曲になっちゃいますけど、Amaterasの「May the COVID_19 be with you」とか。あのアイディアもヤバいと思いました。

LAGO:僕はSCARSとS.L.A.C.K.さんが大好きです。いわゆる硬派とされるラッパーが好きです。

ーBLA BLAとLAGOはFlex da 9th以外でも活動していますが、どんな流れで今に至るか簡単に教えてもらえますか?

BLA BLA:クラブで遊ぶようになったのは高校の頃ですね。大学に入って音楽好きな人が周りに増えてきて、自分もDJやったりして。ただ、DJとして1人で音楽をやるのも限界があるんで、グループを組むようになっていったんです。それがPACK3(パックス)で、グループを組んでrkemishiとかその周辺の人ともつるむようになりました。そこで、当時はまだサラリーマンをやっていたLAGOを引き入れたりしたっていう流れですね。

LAGO:僕は1年前くらいに脱サラして、そこからビートも作り始めたりしたんです。

ーMANOSとしてアルバム『6F』(2019年リリース)に参加したりもしていますよね。

LAGO:そうですね。初めてまともにラップを録ったのは『6F』なんですよ。当時はまだサラリーマンをやっていましたけど。

BLA BLA:あれは、いわゆるコンピレーション的な作品なんですけど、DJが主体になってミックスしていく内容で、rkemishiやDaiaといった仲良いメンバー同士で形にした作品でした。ASIAでライブやったりもしましたね。

Bones.Money:え!? いきなりラップやったんだ!?

BLA BLA:rkemishiってそういうことするんすよ(笑)。気に入ったヤツにいきなりラップさせるとか。

LAGO:そうなんですよ。そこからowlsのサイドMCをやりはじめたりっていう流れです。なので、僕はMANOS、owls、あとはBLA BLAも参加していますが、Lady Purpというクリエイティブチームにも所属しています。

BLA BLA:Lady Purpにはフォトグラファーやスタイリストもいて、owlsやPACK3のMVを制作したり、今回のFlex da 9thのMVもお願いしています。僕個人はラッパーのVue du mondeくんとやってるGroove Factoryというグループにも所属しています。

ーなるほど。Flex da 9thはこの連載を通してEPを1作、ラッパーの客演を踏まえて制作してもらうわけですが、取り急ぎ今後の予定としては?

Bones.Money:とりあえず「Thirsty Thursday」というEPをデジタルリリースします。同時に、さっきBLA BLAが話していたMVも公開しますね。こういう状況なんで、ライブはできるようになったらやっていくという形です。この神泉にあるマンションの一室を拠点にじっくり活動していく予定です。そして、連載を通して、良いEPを制作していく構えですよ!

次回からは連載を通じて制作していくEPに参加するラッパーとFlex da 9thの対談を展開。掲載は2021年1月を予定。その対談を通して、作品を出来上がって行く様子を追いかけたいと思う。次回もお楽しみに!

INFORMATION

Flex da 9th

Flex da 9th。左から、LAGO(MC)、BLABLA(MC)、Bon€$.Mon£¥(Beat Maker, Producer)の3人組ニューHIPHOPユニット。これまで各々活動してきた舞台をベースに新たなHIPHOPを表現する。11月中旬に1st EPをリリースし本格始動。

https://www.instagram.com/flexda9th/
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