現在発売中の雑誌EYESCREAM12月号では、4人組バンドyonawoにフォーカス。2020年11月11日にリリースされた1st フルアルバム『明日は当然来ないでしょ』について話を聞いた。
昨年は、6曲入りのミニアルバム『LOBSTER』のリリースを皮切りに、シングル「good job」や過去のデモ曲をまとめたアルバム『desk』、Paraviオリジナルドラマの「love⇄distance」オープニング曲「トキメキ」、そして、ファーストフルアルバム『明日は当然来ないでしょ』を立て続けにリリースし、耳の肥えたリスナーから高い支持を得たyonawo。2020年12月23日には、アルバムを引っ提げ開催されたワンマンライブのファイナルをTSUTAYA O-EASTにて開催し、彼らの躍進の一年を終えた。
ここからは、2021年もさらなる活躍が期待される彼らのインタビューを、誌面には掲載しきれなかったアザーカットと共にお届けする。
不思議な中毒性をはらんだ楽曲「矜羯羅がる」が耳の肥えたリスナーの間で話題を呼び、昨年11月にメジャデビューを果たしたyonawo。今年4月にリリースしたミニアルバム『LOBSTER』の反響も冷めやらぬままに、1st フルアルバム『明日は当然来ないでしょ』が完成を迎えた。どこか既視感を覚える情景が、繊細な言の葉によって紡がれた、彼らの名刺代わりとなる意欲作。
言葉の組み合わせ次第で、
見える世界が広がる
ー2019のメジャーデビューから約1年が経った今、生活や心境に何か変化はありましたか?
荒谷:日常生活の中で、yonawoを聴いてくれている方と不意に出会えたんです。それって、すごいことですよね。
田中:遠方からわざわざ僕らのライブに足を運んでくれるお客さんもいて。
荒谷:夏に、山梨のフェスに出演した際、観客席にいた僕らに声をかけてくれたんです。yonawo目当てで、わざわざ東北から会いに来てくれたことを、伝えてくれて。感動しました。
斉藤:ストリーミングでの反応も嬉しいけど、あまり実感が沸かなくて、やっぱり生で受け取った声が、1番嬉しいです。
ー今も福岡を拠点に活動されていますよね。東京進出は考えていますか?
荒谷:あまり考えてないです。福岡にスタジオを作りたくて、物件を探しているところなので。今はストリーミングで音楽を聴く時代なので、東京がメインストリームであること自体、変わって来ているように感じます。福岡から発信していますが、実感として、東京の方が僕らの音楽を聴いてくれている方が多い印象です。
田中:「矜羯羅がる」をリリースしたばかりの頃は、福岡でライブをしても友達しか来なくて、東京の方がライブハウスに来てくれるお客さんは多かったです。
ー今は全てにおいて、昔ほど場所に囚われる必要がなくなってきているのかもしれないですね。海外もより身近に感じますし。
荒谷:髪の長い外国人の方が、僕たちのカバー動画みたいなのを、インスタにアップしてくれていました。確かコートジボワールかな。
野本:「矜羯羅がる」のドラムのカバー動画。
荒谷:そういうのを観て、みんなで盛り上がってます。こんなところでも聴いてくれてるって!これもストリーミング時代ならでは。確かに外国も近くなっているので、今は難しいですが、いずれはロンドンやアメリカ、韓国などでもライブをしてみたいですね。
斉藤:憧れです。海外でも僕らの音楽が浸透してくれたら嬉しいです。
ーここからは、11月11日にリリースされたフルアルバム『明日は当然こないでしょ』について話をうかがっていきたいと思います。まず、タイトルが衝撃的ですよね。
荒谷:僕的には結構、希望をはらんだタイトルなんです。言葉遊びみたいな。ワードの組み合わせによって、絶望的な印象も与えているけど、だからこそ、見えてくる世界が広がるというか。明日が当然来るなら、何も考えないけど、来ないなら?って。でも、その真意はあまり言いたくないので、聴いてくれる人それぞれの解釈に任せます。自由に考える余白を楽しんでもらえたら、嬉しいです。
ー「独白」からはじまって「告白」で終わる流れも気になっていて。
荒谷:はじめは確かタイトルを「独白」にしたのかな。最初は英語の仮タイトルがあったんですけど、「独白」が浮かんで、でも結果的に一曲目のタイトルがこれに。特に、最初と最後にしようとは考えてなかったけど、結果、いい流れになりました。
田中:最初から「独白」と「告白」はセットで送ってきたじゃん。ここには相関関係というか、何か意味があるんじゃないの?
荒谷:自分の中で関連性はあるけど、特別にストーリーが重なっている訳ではないかな。
ーアルバムの構成は荒谷さんが決めているんですか?
荒谷:繋ぎの曲とかは、みんなで意見を出し合って決めています。ここは一旦この曲で繋いで、第二章的な感じで聴かせたいね、みたいなのは話し合って。
ー今作の中で、特に印象的な楽曲があれば教えてください。
斉藤:今回は、結構すんなり進んだよね?
荒谷:いや、「天神」とか「トキメキ」は最初、リズムが決まらなくて、ドラムに時間がかかった。
野本:そもそも「トキメキ」は、「good job」より先にシングルとして配信する予定だったのに、アレンジが決まらなくて。でもそれ以外はすんなり。
ー制作期間はどれくらいだったんですか?
斉藤:1月くらいからデモを作りはじめて、2月に東京で「蒲公英」などのドラムパートは録って。
荒谷:その頃は、雄哉(斉藤)の家にみんなで集まって、アレンジを練ったりしていたのに、(コロナによる外出自粛によって)徐々に会えなくなって行って。最後は家に1人篭って作りました。
ーそういった背景は、本作に反映されていますか?
荒谷:「逢えない季節」は自粛期間だからこそ、ファンに届けられたらという想いで作ってはいるんですけど、全体的に世の中のそういったこととは、切り離された作品になっていると思います。僕は曲を作る時、極力、自分という存在を消すようにしていて。なので、リアルは描かないようにしています。
ー今作も、一見、温かそうなストーリーだったのに、ドキッとするほど冷たくなったり。死生観が渦巻いているというか。リアルじゃないからこそ、体温のないひんやりとした美しさを感じるのかもしれません。
荒谷:生きてるようで死んでる。死んでるように見える時もあるし、その逆も。そこの捉え方は、聴いてくれる方に委ねています。非現実的な情景が好きなので。例えばジブリ作品のような、幻想的で美しい世界。だけど、幼い頃から馴染みがあって、どこか記憶の片隅にあるような景色だったりを、描きたいなと思っています。
ー日本語での詞が多いyonawoのワードセンスも個性的ですよね。語彙力の高さ、尊敬します!
荒谷:作詞をはじめる以前は、文章を書いたりすることが苦手でしたが、はっぴいえんどの影響で、日本語の詞を書くようになってから、素敵だなと思える言葉が増えて。皆さんが綺麗と言ってくださる作品が、yonawoの色になっていたら嬉しいです。
[荒谷]ジャケット¥75,000、パンツ¥38,000(共にDAIRIKU/4K[sik] tel_03-5464-9321)、ヴィンテージのTシャツ¥5,900(PITTZZ tel_-6447-4324)、靴¥42,000(foot the coacher/GALLERY OF AUTHENTIC tel_03-5808-7515)、リング ¥15,500(cuillere en 925/CHAPELIER coeur tel_06-6202-3730)
[斉藤]ニットポロ¥27,000、シャツ¥33,000、シューズ¥60,000(全てDAIRIKU/4K[sik] tel_03-5464-9321)、ヴィンテージのパンツ¥14,000(PITTZZ tel_03-6447-4324)、ブレスレット¥40,000(20/80/HEMT PR tel_03-6721-0882)
[田中]ポロシャツ¥20,000、帽子¥13,000(共にCOGNOMEN info@cognomen.jp)、パンツ¥39,000(soe/M.I.U. tel_03-5457-2166)、ベルト¥80,00(SEVEN BY SEVEN/Sakas PR tel_03-6447-2762)、シューズ¥54,000(foot the coacher/GALLERY OF AUTHENTIC tel_03-5808-7515)、リング¥10,000(20/80/HEMT PR tel_03-6721-0882)
[野本]ジャケット¥39,000(DAIRIKU/4K[sik] tel_03-5464-9321)、ヴィンテージのシャツ¥6,600、ヴィンテージのパンツ¥8,400(共にPITTZZ tel_03-6447-4324)、シューズ¥32,000(ASICS RUNWALK/アシックスジャパン株式会社 お客様相談室 tel_0120-068-806)