野菜をたっぷり食べてお腹スッキリ、胃腸を休ませて、自分にも環境や動物にも優しい週末を過ごすためのレシピを紹介する「ウィークエンド・ベジタリアン」。連載最終回の第3回目はスパイスを色々使った中近東風炊き込みご飯を紹介します。
ベルリンはトルコ人がトルコの次にたくさん住んでいる不思議な街。なのでアラビックの食材店やレストランもたくさんあります。最近ではシリアやアフリカからもどんどん難民、移民が来ているのでさらにエキゾな雰囲気が。
トルコの人はナッツやドライ・フルーツが大好き。専門店がある。
中近東といえば、私は砂漠でターバンを巻いた人や戦争のイメージでした。が、ベルリンに住んでいると隣にトルコ人家族がいたり、難民の人と知り合う機会もあり、その歴史や文化背景まで詳しくわからないけど、彼らの不思議なファッションやメイク、男性優位のオールドスクールな社会など、少し雰囲気は分かるようになってきました。
面白い食べ物も沢山あります。
例えばスパイスはスマック(Sumac)という果物の赤い粉末(梅干しを粉末にしたような味)、そのスマックにオレガノ、タイム、ゴマを混ぜたザター(Za’atar)というミックス・スパイスはとてもポピュラー。デュカ(Dukkah)はコリアンダー、クミン、塩、コショウにローストしたアーモンド、ヘーゼルナッツなどのナッツ類、時にザターもミックスしたもの。
ハリッサ(Harissa)という唐辛子のペーストはもともと北アフリカ、チュニジアのものですが、中東やヨーロッパでも広く親しまれていて、コチュジャンのような深い旨みと小汗をかく辛みがハマリます。スクッグ(Skhug)はイエメン、ムハンマラ(Muhammara)はシリア、アジカ(Ajika)はグルジア、と唐辛子のペーストも色々。
それから私が感動したのがハルミ(Halloumi)というフライパンで焼くチーズ!モツァレラのようにミルキーでハーブと塩が効いていて、歯ごたえがあって、マンゴーとスパイスを混ぜたソースとの相性は昇天です。
こちらが私のお気に入りのお菓子ハルヴァ(Halva)。
スイーツはナッツやオレンジウォーター、ごまなどを使った素朴な焼き菓子が多く、バクラヴァ(baklava)というピスタチオやくるみのパイにローズウォーターやシナモンとクローブのシロップをかけたものが一番有名でしょうか?ジュワッとジューシーな一口サイズのトルコのお菓子です。基本的にはランダムにお店で買うと歯にしみるほど甘くて厳しー!糖分控えめのお気に入りの店を見つけておきたいところです。(そんなところもオールドスクール!)私のお気に入りはハルヴァ(Halva)という練りゴマと蜂蜜とピスタチオで作ったお菓子。ほとんどゴマでできていてディープな旨味がとろけます。果物はざくろやデーツも欠かせません。
ターキッシュ女子が集まればヒマワリの種をボウルでポリポリ。
というわけで、ベルリンに住んで6年、だんだんと親しみをおぼえてきたアラブのキッチンから、今回はアラブ風・ビリヤニ(インドの米料理)とでも言えそうなオリジナル・レシピを紹介します。
ドイツ語教室の授業最後の日に、それぞれが自分の国の料理を作って持ってくるというイベントがあるのですが、シリアの難民のクラスメイトが持ってきたマクルーバ(Maqluba)を食べた時、シナモンとクローブが刺激的なまさにイメージする中近東の味がしました。そのレバノン、シリア、イラクなどで定番の、鍋をひっくり返して食べる料理、マクルーバにインスパイアされたレシピです。
ベースのパウダー・スパイスにプラスして、ホールスパイス、ナッツ、ドライフルーツ、ハーブをちりばめて口の中で色々な味が花火の様に広がるレシピにしました。タヒニ・ヨーグルトにもピリッとスパイスを効かせています。
アラブ・スパイス・ミックスはフライド・ポテトやロースト・ベジタブルにかけると最高!マジで使えるので常備しておいて損はありません。これを機会にずらっとスパイスを用意して、その楽しさにハマっていただけたら。カラフルな味をぜひ体験してください!
作り方
クローブは荒くすり潰し、そのほかのスパイスと小瓶に入れ混ぜておく。(自分でミックスする場合)
ナッツ(大きい物は少し砕いてから)、種をフライパンで中火で空炒りし香ばしく甘みが出たら小皿によけておく。
ナイジェラ・シード、コリアンダー・シードも中火で空炒りし香ばしくなったら小皿によけておく。
玉ねぎをくし切りまたは厚めのスライスにする。フライパンにオイル大1を温め強めの中火で玉ねぎを炒める。その間にトマトを半分に切り厚めのスライスにする。焦げ目がついてきたらトマトも入れ中火で水分を飛ばすように炒める。(オーブンがある人はオーブンでグリルしても良い)
小さめの鍋に洗った米とお湯、トマトと玉ねぎ、スープの素小2、シナモン小1.5、砕いたクローブ5本分、塩、アラブ・スパイス・ミックス 小2を入れ軽く混ぜ味見して、強火にかける。沸騰したら中弱火で約15ー20分炊く。水がなくなったら火を止め、軽く混ぜ、15分ほど蒸らす。
米を炊いている間に、ボウルにヨーグルトとタヒニ大さじ大盛り2、カイエンヌペッパー小1/2、クミンパウダー小1、ローストしたナイジェラ・シードとコリアンダー・シード、にんにく1片をすりおろしたもの、好みで塩をよく混ぜておく。(味見して好みに調節する)
パプリカ、人参、じゃがいもを火の通りやすい形(私は縦長に切るのが好きです)に切る。
コメを蒸らしている間にフライパンにオイル大3を温め、中弱火で人参とジャガイモを炒めジャガイモに火が通ってぷっくりしたらパプリカを入れざっと炒め、塩小1/2、スパイスミックス大1を入れ軽く火を通す。(オーブンがある人はオイルとスパイスと塩で和えオーブンでグリルしても良い)
パセリやコリアンダーなどのハーブを刻んで小皿によけておく。
レモンを半分に切る。
ご飯が蒸らし上がったら皿に盛り、炒めた野菜、ヨーグルトを添え、レーズン、ナッツ、ハーブを散らしヨーグルトにレモンを絞る。
出来上がり!
マクルーバは野菜をご飯と一緒に炊く料理なので、作ってみたらカリフラワーなどは柔らかくなりすぎてしまい、私はフライパンで炒めるかオーブンでじっくり火を通す方が歯ごたえが残って好きです。もしも残っているご飯があれば、同じスパイスで好みの野菜を炒めたところにご飯を投入してチャーハンのようにしても良いかも。
ナイジェラ・シードとはブラック・クミンとかブラック・シードとも呼ばれるエジプト原産の黒胡麻のような見た目のスパイス。トルコのふかふかした丸いパンにいつもトッピングされています。私はずっと使い方がわからなかったのですが、このタヒニ・ヨーグルトに入れてみて初めて美味しさがわかりました!香ばしい独特の風味です。健康にも良いと評判ですし、手に入るようでしたら使ってみてください。タヒニ・ヨーグルト、ナッツ、レーズンはぜひ用意していただけると、その一手間で美味しさが格段に変わってきます!
美味しい食べ物はそれがどこの国の食べ物でも人を健康で幸せにしてくれると思います。ぜひこのアラビアン・ライスの異国情緒味で少しでも中近東を身近に感じてもらえたら。
[WEEKEND VEGETARIAN]
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INFORMATION
あっこ/ 渡辺彰子 (ROKU Berlin)
1972年静岡生まれ。1990年より東京在住。レコード屋、派遣、洋服屋、コンビニ等のバイトから エイベックス、GAGAなどの大きい会社での制作、PR等様々な職業を経て、2005年3月、東京渋谷区宇田川町に静岡おでんの居酒屋ロクをオープン。2011年の震災をきっかけに2012年2月より急遽ベルリンに移住。 食に対する考えを新たに、その後ベジタリアンに移行し、同年9月よりROKUBerlinとしてケータリング事業をめる。新しいレシピの開発や料理の組み合わせを研究しながら、時間があればJA HAI YESとして裁縫しつつ、総合的にはアクティヴィストを目指して頭の中のカオスを 整頓する日々。