ロサンゼルス出身のプロデューサー/ビートメーカー/DJとして広く知られ、ヒップホップを軸としながら電子音楽に揺れるビートやジャズなどのブラックミュージックを取り入れた独特の音楽性で世界を魅了するFlying Lotus(フライング・ロータス)。そして、彼のようなエクスペリメンタルな電子音楽/ジャズ/ヒップホップを生み出すDJやビートメーカーを多く擁する Brainfeederというレーベルの率いる存在でもある。こうしたエレクトロ〜ヒップホップといったシーンにおいて、確実に影響力をもち、Flying Lotus以前/以後といった評価すら受けるほど圧倒的な存在である。
そんなFlying Lotusはその音楽性とともに、ビジュアルワークにおいても注目があつまる。ミュージックビデオはもちろんのこと、そこから派生したショートフィルムを制作したり、また、Flying Lotusとしてのライブパフォーマンスにおいては映像そのものだけでなく、スクリーニング/プロジェクションの演出においても独自のギミック/方法を常に模索し、そのインスタレーションライクな表現が話題となることもしばしばだ。そんな彼が、STEVEというエイリアスで初の長編映画を監督した。それが『KUSO』である。
この『KUSO』は、2017年にサンダンス映画祭において上映された。“史上最もグロテスクな映画”とも評され、同映画祭の上映時には、退場者が続出したという。音楽シーンにおいても極めて特異な存在であり、ビジュアルワークにおいてもこだわりを見せるFlying Lotusが長編映画を撮ったということもあり、多く注目されていた。だからこそ、「退場者が続出した」といった話題もファンにとっては、彼らしい突飛なものを作ったのだと解釈に代わり、期待を集めることに。そんな良い意味でも悪い意味でも注目を集める『KUSO』が、8月18日(土)から日本国内で上映することとなったのだ。まずは、予告編を見てみよう。
気味の悪い美術装置、レトロでチープなコラージュ、悪趣味な特殊メイク、極彩色のグラフィックス…そんな要素が詰まった予告編であり、またストーリーが全く見えてこない。オフィシャルで公開されているあらすじは以下である。
ロサンゼルスでの大地震後、人々は奇病におかされながらの生活を送っていた。
首に喋る“こぶ”ができた女、ある“とんでもない虫”で人を治療する医者、常にお腹を下している男の子、
コンクリートを食べる女性…様々な人々が織りなす、それぞれの狂気のストーリーが描かれた94分間。
さて、今回の日本公開に関しては、Flying Lotusが8月17日(金)に行なわれるSUMMER SONIC 2018の前夜祭SONICMANIAのための来日を記念してのことだ。17日にソニマニでFlying Lotusを見て、翌18日に『KUSO』を見る、というエクストリームな流れすらも可能なのだ。さらに、『KUSO』の音楽を見てみると、Flying Lotus本人はもちろんのこと、Thundercat、Kamasi WashingtonやBusdriverなどの名が連なる。さらに、BrainfeederのMiguel Atwood-FergusonやBrandon Coleman、元Dirty ProjectorsのAngel Deradoorianも参加。日本からは、『サイレントヒル』シリーズなどのゲームミュージックで知られる山岡晃が参加している。そして、あのAphex Twinも参加してるのだ。
鬼才・Flying Lotusにとって、「奇抜」「奇妙」「不気味」「悪趣味」「グロテスク」といった表現はむしろ褒め言葉にもなりうるだろう。音楽シーンにおいてすでに唯一無二の才能を発揮し、広く認められる彼だからこそ、そのクリエイティビティーが映画というフォーマットに向かえばどんなものになるのだろう、と期待をしてしまう。上映はパルコが手がける劇場、渋谷・シネクイントにて、そして、納得のR-18指定作品となる。94分間の狂気を、あなたも感じてみてはいかがだろうか。
INFORMATION
『KUSO』
日時:8月18日(土)から1週間限定公開
会場:渋谷シネクイント(東京都渋谷区宇田川町20-11)
配給:パルコ
宣伝協力:ビートインク
INFO:渋谷シネクイント