-VISIONS-
森山未來
Mirai Moriyama × Osamu Nagahama
「EYESCREAM 2019. MARCH No.170」の巻頭ページには、2月22日公開の映画『サムライマラソン』に出演する、役者・森山未來の姿が映る。撮影は写真家・長濱 治。
私たちは何を目撃したのだろうか。
一枚のレンズを隔て、寡黙に対峙する二人の男。フラッシュとシャッター音だけが響く、真空のように張り詰めた部屋。
そこには、饒舌に語り合う両者の対話が、確かに存在していた。刺し違えてでも、引かない。そんな様相に表現者の一分を見た。今にも氾濫しそうなエネルギーを纏い、自在に統御する森山は、かつての姿からまた一段と研ぎ澄まされている。
“人間じゃない”。カメラを覗く長濱がそう言葉を添えた。
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日本のマラソンの原点を描くバーナード・ローズの新作
自由すぎる現場を最も楽しんだ役者が語る
日本のマラソンの発祥と言われる「安政遠足(あんせいとおあし)」を題材に、イギリスのバーナード・ローズが監督するという話題作に、一筋縄ではいかない役で出演を果たした森山のインタビューは、予定調和とはほど遠い話から始まった。
― バーナード監督は自分のやり方で現場を大混乱に陥れると宣言していたそうですが、予定調和でないことは起こりました? 「……予定調和だったことがなかったんじゃないでしょうか」 ― 現場は大混乱に陥ったんですか? 「人によりますね。それを楽しめるか楽しめないかすらも個人に委ねられて。段取りやらない、テストやらない。顔合わせの時、最初に台本を渡された時点で『台本は捨てていいから』と。『この通りに一応流れとしては撮っていくけれど、自分が変えることもあるし、役者もここに書かれていることをやりたければやってもいいし、やらなくていいし、違うことをやりたければそれをやってもいい』と」 ― 自由意志が尊重されている? 「尊重されているというより、ふっかけられている(笑)。それを冷静に受けとめて乗っかろうという人もいれば、ふざけんじゃないよって人もいる。スタッフが一番大変だと思いましたね。ト書きにない¥ものを求められて、『最初からわかっていればもっとちゃんと準備できたのに』ということが起きるから。僕は楽しかったです」 ― この作品に出演した経緯を教えてください。 「結構前の段階から辻村平九郎役のお話をいただいて。それから脚本が随分推移したので、出来上がりの脚本とは違う段階だったんですけど、魅力的に映ったので」 ― 平九郎は悪玉とは一言で言い切れません。どこに魅力を感じましたか? 「人間的でいいなあと思いました。安中藩に対する愛情もありつつ、雪姫(小松菜奈)に対する愛情もありつつ、雪姫を娶れば安中藩を継ぐことに限りなく近づくという利害も考えつつ、女遊びもしつつ、狡いことも大きいことも全部引っ括めた役。平九郎に対する視点はいろんな側面から切り取られ、ひとつの映画の中でやたらといろんな所へ行かされる」 ― 完成作を通して観た印象はどうでした? 「画作りはすごく強いと思いましたね。このスケール感は出せるようで出せない。僕としては、インプロ( 即興)とまでは言わないですけど、セッションを重ねていった結果の結晶みたいな感じはあるんです」 全文は「EYESCREAM 2019. MARCH No.170」にて。 photographyー Osamu Nagahama シャツ ¥31,320 パンツ ¥34,560 /WEWILL INFORMATION 映画「サムライマラソン」
stylingー Mayumi Sugiyama(HOSINO OFFICE)
hair&makeー Motoko Suga(HOSINO OFFICE)
interview textー Shigemitsu Araki
editー Makoto Hongo, Asami Yamane
WEWILL ギンザ tel_ 03-6264-4447
2019年2月22日(金)全国ロードショー
https://gaga.ne.jp/SAMURAIMARATHON/