Licaxxx × 荒田洸(WONK)「注文の多い晩餐会」 vol.06 〜ELLE TERESAの巻〜

DJを軸にマルチに活躍するLicaxxxとWONKのリーダーである荒田洸の二人が、リスペクトしている人を迎える鼎談連載。第六回には、ニュータイプのフィメール・ラッパーとして注目を集めるELLE TERESAが、Licaxxxからの指名で登場。21歳の誕生日となった7月30日に最新アルバム『Kawaii Bubbly Lovely Ⅱ』をリリースした彼女と中目黒のメキシコ料理店で待ち合わせ、モヒートとピニャコラーダでまずは乾杯!
誌面には載りきらなかった部分も含めて、完全版でお届けします。

「何着よう?」って思って夜眠れない

ELLE:車、もう一台買いたいなと思っていて。

荒田:俺も言いたい、そういうの。

Licaxxx:こういうのがね、気になるんだよ。

ELLE:最近、買ったんですよ。

荒田:ちなみに何買ったんですか?

ELLE:プリウスの新型。地元が沼津で、よく帰るから燃費いいほうがよくね? ってなって。

Licaxxx:たしかに。見た目よりとりあえず燃費。

ELLE:あ、でもホイールとかは全部黒にしてて、かっこよくて。新型プリウス、結構いい。

荒田:それで、もう一台は何がほしいんですか?

ELLE:もう一台はハリアーか、ジープのミニ。四駆がいい。

Licaxxx:車は自分で運転するの?

ELLE:そうですね、今日はピニャコラーダだから送ってもらったんですけど。いつもは結構、自分で運転しています。

荒田:いやー、わけわからんわもう。

Licaxxx:ほんとに最高。

ELLE:でも今はマンションが一番ほしい。高円寺がいい。車だったら結構どこでも近いから。でも高円寺に犬OKのマンションがなかなか見つからなくて。住まなくなっても貸せばいいじゃないですか。

荒田:自分が21歳のときに不労所得のこと考えたことないわ。

Licaxxx:先が見えてるんだよエルちゃんは。

ELLE:見えてます。

荒田:すごいな。早速かまされてるわ。

Licaxxx:最初にちゃんと会ったのが、6月に広島であった(オカモト)レイジくんのイベントだったよね。

ELLE:あの日マジ恥ずかしい酔いすぎて。

Licaxxx:みんなめっちゃ酔ってた。エルちゃんは最終的にすやっとしてたよね。

荒田:すやっとする前の爆発はあるんですか?

ELLE:そんなにないですよ。

Licaxxx:普通にテンション上がってふにゃふにゃになってそのまま寝てた。でも、ステージは超かっこよかった。

ELLE:やだー、やめてください(照)。

荒田:ライブ観てみたいな。

ELLE:ヤです。

Licaxxx:ヤなのやばいな。

ELLE:ライブ苦手なんですよ。アドレナリンが出すぎちゃって、わけわかんなくなっちゃうし。ライブの一週間前から「今週ライブだ」みたいな。

荒田:準備期間ハンパないな。

ELLE:「何着よう?」って思って夜眠れないし。つらい。

Licaxxx:すごい。アーティスト的なところとギャル的なところがリンクするという。

ELLE:(ライブ順が)トリとかだと、プレッシャーもやばい。アーティストの人ってトリがベスト、みたいに言うじゃないですか。エルそんなプレッシャー抱え込めない。

Licaxxx:エルちゃんの生態系が、謎くていいんだよ。

ELLE:みんなにそれ言われます。「普段どんな生活してんの?」って。でも普通なんですよね、めちゃくちゃ。

荒田:なにから聞けばいいのかわからない。

Licaxxx:こういう今の話がいいと思う。

ELLE:うん、昔の話は他でいっぱいしてるから。

荒田:何かのインタビューで、「ピンクが好き」って言ってたから、着てくるかなと思ったら、まさにだった。

ELLE:水色とピンクが好き。でも最近はあまり柄モノを着てなくて。もっと前は柄柄だったから。カモカモカモ! みたいな。でも今はシンプルにしてる。

荒田:シンプルにしてるんですね。

ELLE:これ、超シンプル。

Licaxxx:だってTシャツとパンツの二点だもんね。ネイルも単色だし。

ELLE:そう、エル、ネイルは一生単色です。もう三年くらい。形と長さはこれで、色は何でもいい。

荒田:久しぶりにその長さ見ました。

ELLE:でも最近また流行ってるんですよ。アメリカの友達だと長い子が結構いる。でも家事はできなくなります。できないというかやりたくない。

荒田:パソコンは?

ELLE:打たないです。全部ケータイ。パソコン買ったんですけど、ほぼ一回も使ってない。曲のトラックとかも、ドライブで全部共有できるから。

お金を稼ぎたいから、自分たちでする

荒田:今、レーベルや事務所には所属してるんですか?

ELLE:うちのボス(Yuskey Carter)と、ずっと二人でやってて、最近tokyovitaminのDukeくん(Duke of Harajuku)が入って、それ以外はいない。事務所というか個人でやってる。そろそろ会社登録は考えてるんですけど。

荒田:じゃあブッキングのやりとりとかは?

ELLE:ボスがやってます。ボスやばい。超大変そう。

荒田:メジャーに行く気はないんですか?

ELLE:メジャーはあまり興味がない。

Licaxxx:マイペースにやりたい?

ELLE:いや、お金稼ぎたいから。あんまり自分の知らないところでお金が回っているのはイヤだから。知っておきたい。

荒田:めちゃくちゃしっかりしてるな。

ELLE:いくつか話は聞いたんですけど、「うちに入ったらあれもこれもできる」って言ってくるじゃないですか。でもそれって自分たちでもできるって思っちゃうんですよ。それでパーセンテージ取られるの、なんかヤだなって。自分のやりたいこと明確だし。他の会社と絡んでやらない分、自分たちにダイレクトに入ってくるから、好きに使えるお金は多いと思う。ボスが結構好きにやらせてくれているのもあるけど。

Licaxxx:MVも結構作ってるし、どれもかわいい。お金かかってそうな感じ。

ELLE:かかってないんですよ、それが。金かけてるようにどう見せるかっていつも話してる。

荒田:しっかりしてるわー。こんなにしっかりしてるところ、メディアではあまり見せてなくない?

ELLE:そうかも。いつもチョケてる。あんまりしっかりしてるって思われたくない。

Licaxxx:したたかだから。

ELLE:したたかですよ。

ELLE:周りの仲良いアーティストとか見てて思うのは、サインするときに弁護士を通さないんですよ。契約書って難しすぎて、自分で見てもわからないじゃないですか。それでよくない契約をしたら自分が悪いと思う。アルバム単発の契約でも弁護士を入れなきゃダメ。思いません?

荒田:思います。

ELLE:お金の話とかを仲良い人同士で話したくないじゃないですか。だからそれこそ弁護士の人を通したら、一番みんながまとまりやすくなる。弁護士って簡単なのだと月1〜2万くらいで雇えるじゃないですか。

荒田:それくらいで効果はありますもんね。僕も自分でレーベルをやってるので、常にやりとりしています。

ELLE:弁護士は大事ですよね。

荒田:大事。

ELLE:若いラッパーとかわかってない子がマジ多い。エルの後輩が、変な契約しちゃたり。「なんで相談してくれないの?」って。エル別にお金とらないし、相談してくれたらもっといい契約いくらでもできるのに。そういうサポートはしていきたい。弁護士の勉強したいなと思っているんですけど。ロースクール通いたい。


使えるものは全部使ったほうがいい

Licaxxx:リリックも、等身大の女子っぽいの多いよね。

ELLE:今の若いラッパーとか、自分が絶対に使わないだろっていう言葉を使ってる子が多いけど、それって不自然というか。普段から喋ってる言葉を使わないと。

Licaxxx:内容は等身大なのに、言葉が等身大じゃないと。

荒田:でも、詩的に書く人もいるじゃないですか。

ELLE:それがクサくならない人もいる。でもエルはそのタイプじゃない。普段使わない言葉を使うと違和感になる。

荒田:うさんくさくなると。

ELLE:そうそう!

荒田:「ニートtokyo」に出ていたときの、フリースタイルバトルのくだりもめっちゃ好きでした。

ELLE:あー。あのフリースタイルはスポーツ。で、うちらがやっているのは音楽。

荒田:でも、一般の人にあれがヒップホップだって思われたくないじゃないですか?

ELLE:思っとけばいいんじゃないですか? そこまでの人だから。そう思いません?

Licaxxx:フリースタイルはじまりでも、音楽に昇華できている人は好き。

ELLE:それに、仲良い人同士とかで、何もないのにディスり合うのは好きじゃない。後味悪くないですか?

Licaxxx:音楽に勝ち負けはないもんね。

ELLE:そう、ないないない。でもああいうのに出て、自分の名前を売るのはいいと思いますけどね。使えるものは全部使ったほうがいい。

荒田:いやーすごい。刺激になった。

Licaxxx:こうやってみんなエルちゃんに魅了されていく。

ELLE:あざーっす。

荒田: 最後にアルバムの告知しておきますか。何か言っておきたいこととか。

ELLE:んーどうかな、ないかな。夏って感じです。

ELLE TERESA

1998年7月30日生まれ、静岡県沼津市出身のフィメール・ラッパー。2016年に自主制作した『Ignorant Tape』や、Sophiee(ゆるふわギャング・NENE)との共演作「Kunoichi Money」が話題を集める。2018年には、デビューアルバム『KAWAII BUBBLY LOVELY』をリリース。


荒田 洸

“エクスペリメンタル・ソウル・バンド”を標榜するWONKのバンドリーダーであり、ドラムスを担当。
@hikaru_pxr


Licaxxx

DJを軸にビートメイカー、エディター、ラジオパーソナリティーなどさまざまに表現する新世代のマルチアーティスト。
@licaxxx1