Licaxxx × 荒田洸(WONK)「注文の多い晩餐会」 vol.07 〜Charaの巻〜

DJを軸にマルチに活躍するLicaxxxとWONKのリーダー/ドラムスである荒田洸の二人が、「いま会いたい」リスペクトする人を迎える鼎談連載。その第七回にはCharaが登場。Charaと荒田は先日コラボレート楽曲「愛する時」を配信リリースするなど、気心の知れた仲であり、Licaxxxとは初対面だったもののともにAB型ということもあり(?)すぐに意気投合。深夜のイタリア料理店で、リラックスした雰囲気のなか会話は進んだ。
EYESCREAM誌面には載りきらなかった部分も含めて、完全版でお届けします。

わかっているのはつまらない

荒田:Charaさんは、ライブのときって緊張しますか?

Chara:最近、緊張しなくなった。ちょっと前までは、わりと緊張ばかりしてたけど。よく見せようとしてたんだろうね。練習が足りないと不安になりがち、とかも通り越して、わりと大丈夫になっちゃった。緊張する?

荒田:する現場としない現場がありますね。

Chara:してるようにあまり見えない。

荒田:顔には出ないんですけど、内心テンパっていることはあるんです。

Chara:(荒田が腕を組んでいるのを見て)結構このさ、腕組みスタイル多くない?

Licaxxx:多い。自己防衛スタイル(笑)。

Chara:でもそれ、私たちは大丈夫だけど、あまりよくないときがあるよ。相手に威嚇というか、そういう印象を与えることもあるから。

荒田:手をどうすればいいかわかんないんですよ。……止めましょうこの話。緊張の話に戻りましょう。エリカ・バドゥだとかは、ライブ前に瞑想したりするってよく言うじゃないですか。

Chara:いろいろな盛り上げ方はその日に考えたらいいんじゃない? ただ、笑ったほうがいいかも。ライブ前に、「誰か笑わせて!」って言ってるときはある。あと、ハグするだけでもゆるむから、メンバーとハグするのは好き。

Licaxxx:テンションが上がりつつ、気持ちはほぐれるように。

Chara:本番はリハみたいにやりたい。リハは結構、本気でやってるから。

荒田:リハでもがっつり歌うんですか?

Chara:ツアーの前だと、最初のほうは音の整えだとかの指示を出していて、あれ? 今日は歌ってなかった、というのは多いかな。でもやりすぎても、リハがよすぎても結局は同じ状態ではないから。メンバーも、リハで楽しかったら本番も楽しいじゃない? そこは大事にしてる。

荒田:そうですよね、わかります。

Licaxxx:そのメンバーは、どんどん変えていくんですね。

Chara:ずっと同じ人とするタイプもいるけど、私はいろんな人とやりたい。楽しいよ。

荒田:Charaさんはいろんな人と曲を一緒につくってきているなかで、よいプロデューサー像ってあったりしますか?

Chara:ダメだったことはないよ。影響を受けたというか、タヒチ80のプロデューサーでもあるアンディ・チェイスは、日本語わかんないから歌詞の意味もわからないはずなのに、音楽的なチョイスが共通していたのは、なるほどなと思った。“同じかっこいい”がいくつあるかなんだなって。

荒田:自分を曲げないプロデューサーのタイプの場合は?

Chara:お互いの最大限を出したいから、やる以上は未知の部分がほしい。わかっているのはつまらない。それを超えたものがほしいから。でも最大限の出し方って人それぞれだし、時間のないなかでもクリエイティブなものができるのって、結局みんな自分を信じる力が強いのかなって。

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ストレートのジンと中庭でチル

荒田:最近ハマっているものはありますか?

Chara:ジンをストレートで飲む。

荒田:ハードコアですね。

Licaxxx:私も、クラフトジンはいろいろと飲んでますけど、ストレートではないですね。

Chara:もともと全然酒飲みじゃないけど、最近飲むようになってきた。いいじゃん別におばさんだし、ははははって。一人飲みにハマってる。お酒飲んだり、煙草吸ったりしながら、家の中庭でチルしてる。煙草も4年くらいやめてたんだけど、最近復活した。50過ぎたし、自分らしく生きようと思って。ナチュラルの軽い煙草だし、喉にも影響ないかなって。

荒田:中庭でチル、いいですね。

Chara:あとハマってるのは……人とコラボするのは前から好きだけど、最近、人と歌詞を書くのがおもしろい。親友のシンガーソングライター(平岡恵子)と、jOnOというユニットをはじめたんだけど、私が失恋してるときに活発に活動するユニットで。二人でギター弾きながら、こんな感じじゃない? って話しながら歌詞を書いている。

Licaxxx:二人で、どうやって書いてるんですか?

Chara:ふたりともギター弾きながら、こんな感じじゃない? って話しながら書いていく。

荒田:jOnOのライブ、めちゃくちゃいいですよね。漫談みたいに延々と二人で喋っていて時間がなくなる、という。

Chara:笑い込みだからね。

音楽に飽きたことはない

荒田:音楽以外で、ほかにやりたいと思ったことはないんですか?

Chara:うーん。衣食住が豊かになるものは好きだから。食べるの好き、ファッションも好き。

荒田:服を作りたい、とかは?

Chara:中途半端にはやったことはあるけど。自分が着たいものってそもそも、マイノリティなものになっちゃって。でもそれも、ちゃんと仕掛け人がいたらわからなかったかもしれないけど、そういう人には巡りあわなかった。それも才能じゃない? 人を集めるのも。

Licaxxx:Charaさんは、失恋中と愛120%みたいなときと、どっちのほうが音楽を作れるんですか?

Chara:どっちもできる。それぞれ違うものができる。落ち込んでいるときにしても、こうだといいなと思うものと、いまのリアリティーの暗闇の世界と、どっちもできる。いろいろ想像力を使ってバランスを取りながら。

荒田:音楽を作ることへの意欲がなくなったことは?

Chara:いまのところ、音楽に飽きたことはないかな。最近、(Charaの息子である俳優)緋美くんたちと一緒に、ホームスタジオでタイニー・デスク(「NPR Music Tiny Desk Concerts」のこと)の家版みたいなことできたら楽しいねって話していて。するときは二人もまた遊びにきてよ。


Chara

1991年にデビュー。独特かつ個性的な歌声が特徴的なシンガーソングライター。2020年には、Chara+YUKIによるシングルを1月31日(金)、ミニアルバムを2月14日(金)にリリースする。
@Chara_official_


荒田 洸

“エクスペリメンタル・ソウル・バンド”を標榜するWONKのバンドリーダーであり、ドラムスを担当。
@hikaru_pxr


Licaxxx

DJを軸にビートメイカー、エディター、ラジオパーソナリティーなどさまざまに表現する新世代のマルチアーティスト。
@licaxxx1