Paris et Tourbillon
vol.5
ヘアメイクやペインティング、撮影、衣装のデザインから製作まで幅広く表現活動を行うYoshimi Saito。自身が創りたいものを創るという“原点”に立つため、彼女は憧れの街パリへと渡った。本連載「Paris et Tourbillon」では、パリでの制作活動と彼女の心情を記録。第5回は、サクレクール・モンマルトルの丘でモデルであり俳優のtyphaineを写す。
ー Derrière la faute ー 不便さの裏側にあるもの。
新しくパリに住む人たちは口を揃えて、パリは不便だと言う。私も初めは同じことを思っていたけれど、最近になって自分なりに分かったことがある。
それはパリが“規則や効率”よりも、“個人の自由”の方を重んじているから不便に感じやすいということ。皆が皆、自分のペースでしか動かないことに、慣れてきた今は逆に少し心地が良い。
自分自身の自由を許せるから、直近のストライキのような一部の人たちの声
によって、交通機関が約2ヶ月も麻痺することも許せる。きっと、同じ状況になってもパリのような個人の自由を許す空気が生まれる国は、少ないかもしれない。
そう感じるようになってから、パリってクールだな! と私の中では密やかに感動している。自分の常識が緩やかに壊されて、新しい見方ができたとき、改めてパリに住んでみて良かったなと思う。
Yoshimi Saito
2016年にヘアメイク専門学校を卒業後、紅白出場アーティストの衣装ペイントを手がける。独学でテキスタイル作りからパターン・縫製まで学び、舞台やテレビ・映画の衣装をはじめ、ペイントに特化した作品を製作している。
2019年より写真家としての活動を開始し、初の写真展「渦写展」を開催。現在はパリを拠点に活動中。
Instagram : @yoshimiman
Twitter : @YOSHIMIMAN_UZU