”TOY MACHINE”のボスとして、さらには、アーティストやフォトグラファーとしての活動でもその名を知られるスケート界のレジェンドEd Templeton(エド・テンプルトン)。彼の作品展 #DAILYHBPIERPHOTO EXHIBITION BY ED TEMPLETONが「Pilgrim Surf+Supply」 にて開催されている。同展にあわせ来日を果たした本人にインタビューを行った。
光と影。すべからく物事には、良い面と悪い面がある。一方だけに目を向けていては本質に触れることはできない。彼がインタビューの中で、しきりに口にした Love-hate relationship(愛憎の絡み合った関係)。ある種、達観したようなその言葉からは、酸いも甘いも噛み分けたレジェンドならではの、懐の深さを感じることができた。
「ルールなんてない、ロックなスケートボーディングをこれからの子どもたちにも知っていて欲しいな。」
ーまずは今回の展示について教えてください。
題名の通り地元のHB(ハンティントンビーチ)の日常だよ。面白いのは、いつもと違ってデジタル写真ってところ。これまでの作品はフィルムがほとんどだけど、これはiPhoneで撮ったインスタグラムのポスト。だからアートというよりも、ライフスタイルに寄った完全なるストリートフォトグラフィーかな。昔ほどスケートボードに乗るわけじゃないし、座って作業することが多くて太っていくばかりだから、散歩が日々のルーティーンでさ。今では歩きながら、なんてことない写真を撮るのがライフワークなんだ。ビーチを行き来する人たちを写しているから、サーフカルチャーの一部をそのまま切り取った展示とも言えるかもしれない。
ーHBの魅力はなんでしょう?
分からない(笑)生まれも育ちもHBで、いつか絶対に出て行ってやるなんて思ってたけど、トイマシーンを始めたり、家を買ったりして、離れられない理由もできて結局ずっと住んでるよ。もう、うんざりだ!と思ってても、仕事で海外から帰って来たら離れてた地元の魅力を実感したり。Love-hate relationshipというか。複雑な感情だね。
ーでは、写真の中でお気に入りの一枚はありますか?
一枚には絞れないな。全体で一つの作品として見て欲しい。変なものを見つけて、面白いじゃん!ってテンションで撮ったようなものばかりだから、ビーチの生の雰囲気が伝わると思うよ。HBには、ホームレスだらけのエリアがあったり、綺麗な部分だけじゃなく悪い側面もそのまま写してるんだ。なんて最低な場所なんだと思う日もあれば、息をのむ風景の美しさに、ここはパラダイスだと思う日もある。常にHateとLoveの感情を行ったり来たりするんだけど、なんだかんだ言って俺はそんなHBを愛してるんだろうね。
ー現代のスケートシーンについて聞きたいんですが、いま一番気になるトピックは?
やっぱりオリンピックかな。賛否両論で半々ぐらいだと思うし、やっぱり議論は尽きない。例えば、同じキックフリップでも、やる人によって違った個性があって、その好き嫌いも人それぞれなはずだよね。だから、何事もそうだけど、善し悪しを決めるのは難しい。まぁ個人的には、競技としてオリンピックを目指して練習するだけじゃもったいないなって思うよ。ストリートで好きに楽しむっていう、ルールなんてない、ロックなスケートボーディングをこれからの子どもたちにも知っていて欲しいな。
ーこれもよく話題になると思うのですが、スケーターファッションのブームについてはどう思いますか?
昔は、例えばスラッシャーなんてスケーターしか着てなかったし、靴に空いてる穴を見て、ああこいつはスケーターだなってすぐ分かった。でも今はそういう時代じゃない。誰もがスケートシューズを履いてスケートブランドの服を着ている。だからって俺たちの物だから着るな!なんて言うつもりもないし、もし言ったところで誰も耳を貸さないだろうね。好きな格好をしたらいいよ。でも、スラッシャーの成り立ちや意味も分からないで着ている人が溢れることで、ブランドが傷つけらてるのも事実だと思うんだ。僕は賛成とも反対とも言わない。ただ、みんながもっとスケートカルチャーに深く興味を持って着てくれたら嬉しいね。
INFORMATION
#DAILYHBPIERPHOTO EXHIBITION BY ED TEMPLETON
会期:開催中 ~ 11月6日(月)
会場:Pilgrim Surf+Supply
住所:東京都渋谷区神南1–14–7 1F
電話番号:03−5459–1690
営業時間:11:00~20:00