「渋谷ビールフェスト」が2017年10月27日(金)に開催された。場所は、渋谷東急百貨店本店 屋上スペース。今年で50周年を迎える東急百貨店本店と、渋谷エリアを中心に多くの店舗を展開する宇田川カフェの共同企画である。
「シブヤビール」とは、渋谷発のクラフトエナジービール。アミノ酸が豊富な南米産のスーパーフルーツ・マカを配合しており、滋養強壮や美容効果が期待できる。同ビールは”元祖・地ビール”として知られ、世界中のビールコンテストで多くの受賞歴がある『サンクトガーレン』との共同開発により誕生した。皮ごとグレープフルーツが入っているため、非常に香り高く、ビールが苦手な人でも飲みやすいのが特徴だ。今回のイベント会場では、特別にマカを通常の2倍含んだプレミアムバージョンも販売された。
2015年のリリースから、2年半を迎えたシブヤビール。渋谷ビールフェストでは、「渋谷で採れた大麦でシブヤビールを作ろう」という計画で、大麦の種まきがおこなわれた。
種まきには「宇田川カフェ」を有する株式会社LD&Kの代表・大谷氏を筆頭に、子どもや女性を含む一般客が参加した。先週末の台風で足元が若干ぬかるむものの、前日までになんとか排水環境を整えることができた。大麦の種まきは、想像以上に簡単。土の上に約2cm間隔で種を1粒置いていくだけだ。参加者がリズム良く種を巻いていく様は、まさか都会のど真ん中でおこなわれていると思えないほど牧歌的である。今回種まきをおこなう畑では、330ml入りのボトルが120本ほど生産できるという。
「これだけの畑の規模で、ボトルが120本ほども生産できるとは信じられないですね。大麦のこれからの成長に期待しています!」(シブヤビール取扱酒販業者・河内屋 富田氏)
「長い間、おみやげにもなる渋谷の特産物をずっと探していました。そんなときに現れたのがシブヤビールです。東京オリンピックを前に外国人観光客が増えているいまですから、”MADE IN 渋谷”のアイテムをぜひとも買っていってほしいですね」(一般財団法人 渋谷区観光協会・堀氏)
しかし、なぜ都内でも屈指の繁華街・渋谷で「大麦づくり」なのだろうか。
今回の企画に関わった、東急百貨店のMD計画部・井上氏に話を聞いてみた。東急百貨店では、東急百貨店本店50周年の記念イベントのひとつとして、今年の6月に渋谷区立神南小学校の5年生と田植えをおこなった。実は、東急百貨店本店は51年前まで渋谷区立大向小学校(1964年に移転し、神南小学校に改名)があった場所に位置する。また、5月に開催された同じく50周年記念イベント・「渋谷の未来を描こう絵画コンクール」では、応募した6~7割の小学生が「自然との共生」をテーマにした絵を描いていたという。再開発が進むコンクリートジャングルの渋谷で「子どもたちの希望をなにかひとつでも実現したい」という思いから、田植えが実現した。今回は稲の収穫を終えたスペースを使っての大麦の種まきだ。
「宇田川カフェとは、『裏渋谷オクトーバーフェスト』というイベントをきっかけに、約2年前からシブヤビールに関する取り組みを進めています。シブヤビールの存在を知った時は、正直、やられたな、と思いました(笑)。僕らもなにか渋谷の特産品を生み出せないか、と話していたところでしたから。同じ思いをしっかりと形にしていることが、すごいですよね。東急百貨店としても、なにか一緒にできることはないかとアプローチしてから1年ちょっとで今回の種まきの企画がまとまりました」(東急百貨店・井上氏)
今回使用した大麦の種は、埼玉県の農家・麦雑穀ファームから分けてもらったもの。同じく渋谷区に社を構え、”食のマーケット”を企画運営する「代官山ワークス」の紹介で実現したという。「種を分けていただいた地方農家の馬場さんからは、大麦づくりの丁寧なアドバイスをいただきました。手作りの貴重な資料をもとに、コツや注意点などを把握することができました」(東急百貨店・井上氏)
シブヤビールプロジェクトのメインプロデューサーであるLD&K”わんぱくプロデューサー”の水野はいう。
「渋谷を元気にしたい、街を元気にしたい、という思いを掲げて、プロジェクトに取り組んでいます。12月には麦踏みを予定しているので、ぜひより多くのみなさんにも参加してもらえたら!」
特設ライブ会場には、渋谷・宇田川町発の夜遊びシティポップバンド「宇田川別館バンド」が”Shibuya is my town」を熱唱。ほかにも多数のアーティストが出演した。秋の夜長に良質なビールと音楽を楽しめる、貴重な夜となった。
INFORMATION
シブヤビール
http://www.udagawacafe.com/shibuyabeer/