文学について、小説について。音楽アーティストやスケーターにリコメンドを紹介してもらいつつ、自身にとって、それがどのような存在であるのかを聞く本企画。登場するのはPisces(パイシーズ)の宮本彩菜とLISACHRIS(リサクリス)の2人。2人が語る自分にとっての本、文学、物語とは。等身大の言葉に耳を傾ける。
Q.文学とはー
「言葉が持つ無限の可能性」 宮本彩菜
「知的な挑戦」 LISACHRIS
ー2人はどんな本が好きですか?
宮本彩菜:小説が多いですね。
LISACHRIS:私はエッセイ好き。小説は彩菜に貸してもらうことが多いです。
ーLISACHRISさんが最近、彩菜さんに貸りて良かった小説は?
LISACHRIS:村上春樹さんの『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』です。あれはクラっちゃいました。もう会話の文章がヤバくって。あれを読んでから『私も会話を楽しみたい!』と思いましたね。それくらい村上春樹さんの文体や日本語の回し方がすごい。
ー宮本彩菜さんは、どんな小説に惹かれますか?
宮本彩菜:現実にない世界を描いた作品が好きですね。逆に現代を舞台にしているのに、リアリティがないものには入り込めなくって。どちらかと言うと私は雑食的に読書するタイプなので、ジャケ買いもするし、賞を取っているような有名な作品も読みます。長時間の移動の際に、たくさん買い込んで、全部読み終わっちゃたら『ヤバい! 読む本がない!』って、ちょっと焦るかも(笑)。
ー文学というワードを聞いて、2人が連想されるものは?
宮本彩菜:言葉が持つ無限の可能性。本は私をいろんな場所や時代に連れていってくれる存在なんです。時空を超えて世界中を飛び回れるし、そこからお土産も持って帰ってこれる。
LISACHRIS:知的な挑戦、ですね。私にとっては。
ー物語を読んでいると、想像力を刺激される?
LISACHRIS:私は、そのストーリーの世界観に入り込んじゃうタイプなんで、感化され過ぎちゃう部分があるくらいですね。例えば、彩菜に貸してもらった伊坂幸太郎『残り全部バケーション』は、その世界がちょっと怖すぎちゃって(笑)。
宮本彩菜:アハハ! 怖いかなぁ? そんなに恐ろしいシーンが多い話ではないんだけど。
LISACHRIS:読んでて、その世界が怖いって思っちゃって。
宮本彩菜:それを言い出したら、村上春樹さんの小説も怖い世界観を描いているものがあるでしょ?
LISACHRIS:まぁ、確かにね。でも、不思議な怖さとリアルな怖さじゃ、ちょっと違うんだよ。
ーLISACHRISさんがオススメの本として持って来てくれている本の中に『魚座』の本がありますが、まさにPiscesの2人にピッタリな気がします
LISACHRIS:石井ゆかりさんの『魚座』ですね。魚座が好き過ぎて高校生の頃に買って読んでいたんです。これは小説ではなく、魚座の人について書かれた本で、私たち、魚座の2人に関するワードがたくさん出てくるんですよ。
宮本彩菜:自分について、なかなか自分では表現できないことを綺麗な言葉で表現してくれている本ですね。
ーでは、これを読めばPisces(パイシーズ)の2人をより知ることができる?
宮本彩菜:知れるでしょう!
LISACHRIS:そうだね!
ーちなみにペーパーバック(文庫)とハードカバーだと、どちらの方が所持している?
宮本彩菜:ペーパーバックですね。移動中に読むことが多いので、持ち運びを考えると断然ペーパーバックです。
LISACHRIS:お風呂でも読みたいし!
ーそういった文学や物語がPiscesの表現に影響を与えることはありますか?
LISACHRIS:私たち、古事記が大好きなんですよ。
宮本彩菜:古事記からインスパイアされた楽曲もあるものね。『Yomi』とか。
Pisces – “Yomi” (Official Video)
ーそうなんですか!? 古事記って、なかなか出会わないと思うんですが…
LISACHRIS:以前、神社で行われるイベントにDJで呼ばれたことがあって。その神社は神武天皇が祀ってあるところだったんですけど、そこから興味を持ち始めて。実在した存在が神話の中にも登場するなんて、なんて面白いんだろう! と思って、そこから掘り下げていくうちに辿り着いたんですよ。とは言っても、本物の古事記を研究しているわけではなくて、ラノベだとか、読みやすいものを選んでいるんですけど。
宮本彩菜:日本の神々って海外の神様と違って人間らしいところがあるじゃないですか。そこが可愛いんですよね、なんか愛着が沸くというか。今、制作中の楽曲も古事記にインスパイアされているんですよ。
ー好きなのは日本の文学が多いですか?
LISACHRIS:断然そうですね!
宮本彩菜:私もそう。日本語の美しさやスゴさを感じられるんですよね。平仮名も可愛いし! センテンスの中で、あえて平仮名にしていたり、当て字にしていたりする部分があるじゃないですか。それって明確に表現の意図がある部分だし、そんな発見ができるのも日本語ならでは、ですからね。
Pisces RECOMMEND BOOKS
『こんな女もいる』佐藤愛子
『剣客商売一 剣客商売』池波正太郎
『魚座』石井ゆかり
『僕僕先生』仁木英之著
『残り全部バケーション』伊坂幸太郎
『レベル7』宮部みゆき