気鋭のブランドamachi.がゲーリー・スナイダーの詩とJan Urila Sasを起用したコレクション映像を発表

長野県の山奥に拠点を置くブランド「amachi.(アマチ)」が、アレン・ギンズバーグやジャック・ケルアックなどとの交流でも知られる20世紀アメリカを代表する詩人、ゲーリー・スナイダーの詩を用いた映像作品を発表した。

今回の映像は、2018-2019年秋冬コレクションに際して制作されたもの。同コレクションは「北カリフォルニアにおける”山火事”という自然現象を題材に、山火事を内包した森の生態系や、火というエレメントが持つエネルギーにフォーカス」したクリエイションとなっている。

モデルにはjan and naomiなどで知られるJan Urila Sasを起用し、サウンドデザインはHYKEの映像作品/インスタレーションに使用する楽曲を制作するために結成されたユニットUYKのメンバーでもある注目の音楽家、Yuma Kodaが担当。ロケ地は長野県小田切川ながら、リチャード・ブローティガン「アメリカの鱒釣り」を想起させるようなクリークが流れる、幻想的な映像世界とゲーリー・スナイダーの詩が重なり合っている。

amachi. COLLECTION003

デザイナーの吉本天地は、カリフォルニアの山奥、エルクバレーに生まれ、ミュージシャンの両親のもと電気やガスのない環境で幼少期を過ごしたのち、高校卒業後はコレクションブランドでパタンナーやブランドマネージャーなどを経験。2016年に自身のブランドを立ち上げるタイミングで長野県に拠点を移し、2017年3月にファーストコレクションを長野県入笠山で発表した。今回のコレクションについて、吉本天地は話す。

「私が幼少期に実際に体験した山火事の記憶がコレクションの出発点になっています。当時住んでいた山は大部分が焼けてしまったのですが、翌年、草原の焼け跡は一面ポピーやポップコーンフラワーといったワイルドフラワーの花畑に変わり、数年後には以前の森には生えていなかった木々が芽を出し、山火事によって植生が大きく変化したことを記憶しています。
目に見えているものや人間の視点から少し離れ、距離的にも時間的にも引いた位置から森や山、地球を眺めたときに見えてくる自然の秩序やシステムが、今の私にはとても新鮮で面白いものに感じられて、それを近代的な生活の中に組み込んでいくことはできないだろうかと考えながら作ったコレクションです」

今回の映像にも使用されたゲーリー・スナイダー「リップラップ」をここにも記しておこう。

この言葉をおくのだ
精神のまえに石のように。
     しっかり、両手で
しかるべき場所に、据えるのだ
精神という肉体のまえに
     時空のなかに。
樹皮、木の葉、あるいは壁の揺るぎなさ
     事物のリップラップ。
銀河の丸石
     さまよう惑星
これらの詩、人びと
     鞍を引きずる
迷子のポニーたち
     そして足もと確かな石のトレイル。
世界はまるで限りない
     四次元の
囲碁のゲーム。
     アリや小石は
薄いローム層のなか、一つひとつの岩が言葉
     クリークに洗われた石は
花崗岩。火と重力の苦悩が
     深くしみこんだ
水晶と堆積物は、熱と結合し
     すべてが変わる、事物と同様
思考において。

ー“RIPRAP” by Gary Snyder / 翻訳:原成吉

INFORMATION

amachi.

取り扱い店舗
・Wallace & Murron
http://wallaceandmurron.com

・Arts & Science(2018AW〜)
http://arts-science.com

・POPUP
会期:2018年6月28日(木) – 7月14日(土)
会場:y gion(京都市東山区弁財天町19)
http://www.ygion.com

Instagram : @amachi.y