新たなカルチャーを示すBACARDÍ Over The Borderをレポート。注目の写真家ARISAKのインタビューも。

いつだって、次なるカルチャーを作り出してきたのは音楽とアートだ(そしてそこにアルコールが交わるとより最高)。BACARDÍ “Over The Border”は、それらを掛け合わせることで新たなコミュニティーやきっかけを生み出すプロジェクト。全国5ヶ所で行われたパーティーの模様と、そのすべての会場に出演したフォトパフォーマーARISAKのショートインタビューをお届けしよう。

“音楽フェスティバル × アートミュージアム”をメインコンセプトとして、今年の夏にローンチされたBACARDÍ “Over The Border”。ラムブランドのバカルディが仕掛ける形で、東京・大阪・名古屋・札幌・福岡の各都市で開催された。

オープニングとなった東京は元印刷工場をリノベーションしたタブロイド、大阪は造船所跡地を利用したクリエイティブセンター大阪、という湾岸エリアの広大なスペースを使うことで、開放感と創造性がみなぎる盛大なフェスティバルに。サテライトパーティーという位置付けの名古屋・札幌・福岡は、より親密な雰囲気のなか会話や乾杯が交差する特別な夜に。アウトプットされる表現はさまざまながら、シーンの最先端を切り開いていくパフォーマンスが繰り広げられ、オーディエンスを歓喜させる。いい音楽はいい笑顔、いい夜を呼ぶ。そしてそんな場所にはアートが似合う。

音楽のほうでは、ビートミュージック・シーンを牽引する女流ビートメイカー、TOKiMONSTAやインディロックとハウスミュージックをハイブリッドさせた雑多で多幸感あるサウンドで惹き付けたSOFI TUKKER、UKの若きシンガーソングライターANNA STRAKERといった海外勢に、ブラウン管テレビを鍵盤打楽器として演奏するEi Wada’s Braun Tube Jazz Band、ジャズ〜ヒップホップ〜ソウルを横断するバンドWONK、先鋭的かつユニークな存在感を放つSeiho、DJ SARASA、Olive Oil & Popy Oilなど、さまざまな方面からトップアクトが集った。

ベルリンを拠点に活躍するグラフィティアーティストのHiroyasu Tsuriが東京でライブペインティングした作品は、以降もメインヴィジュアルとして各都市に設置されることに。他にもナイキやザ・ノース・フェイスなどともコラボレートを行う澁谷忠臣の作品展示、“踊るフォトパフォーマー”として話題のフォトグラファーARISAKの展示&フォトシューティング、さらにはR領域の巨大オブジェやMIRRORBOWLERによる光のインスタレーション、AIBAのライティング演出と、五感をフルに刺激するアートミュージアムを出現させた。

出演者にも空間づくりにもこだわりが詰まっていて、なおかつこれが完全招待制のフリーパーティー、というのもニクい。LA発の名物フリーパーティー「The Do-Over」もそうだけど、フリーだからこそのオープンマインドさ、昂揚感が“Over The Border”を特別なものにしていた。そのハッピーな空気感に拍車をかけたのが、各会場で大盛況となっていたモヒートのワークショップだ。レクチャーしてもらいながら、フレッシュなミントや果物をふんだんに使って作る特製モヒートのおいしさったら!

国内外の先鋭アーティストを迎えつつ、それぞれのローカルも巻き込むことで、そこで芽吹きはじめたカルチャーが土地土地に根付いていく。というスタイルで作られていたのが印象的だった。音楽やアートはもちろん、アイデアや人のつながり、ローカル同士も交わっていく“Over The Border”という動きには、これからも注視していきたい。

そして全5会場に作品展示&フォトパフォーマーとして出演したのがARISAKだ。音楽とアートを同じ存在として捉える、彼女のインタビューからも“Over The Border”の熱気が伝わるはずだ。

ーBACARDÍ “Over The Border”は、音楽とアートを融合させる、というコンセプトで行われました。ARISAKさんが捉える、「音楽」と「アート」の関係性/親和性とは?

私は写真をはじめる前にフィギュアスケートを10年間していました。スケートは音楽とともに表現するアート寄りのスポーツです。そのせいなのか私は、音楽から作品のインスピレーションが沸いてきたりします。小さい頃から音楽とアートが融合していることが身近で、その間にある境界線をあまり意識したことはあまりなかった。 自分にとって、今回のイベントは自分が自然体で居られる、原点に戻っているかのような感覚でした。写真を”アート”というカテゴライズで捉えるならば、音楽とアートどちらが欠けても自分の作品は成立しない、腐れ縁みたいな関係だなと思っています。

ー作品展示はどういったテーマで行いましたか? 澁谷忠臣さんとコラボレートした作品などが並んでいました。

私の作品は基本、“Over The Border”スタンスなので(笑)、イベントタイトルに自然に沿っていった感じですね。渋谷さんとの作品は、今までグラフィックとコラボをしたことがなかったので、猛アピールの結果、コラボが成立しました。今年の5月くらいに個展で展示させていただいた”MUTANTISM”という作品シリーズです。

実はこの”MUTANTISM”作品とつながるストーリーがあるんです。その個展に、SALUさんがお忙しいなか来てくださって。「はじめまして」な感じから、何か面白いことしたいですねという話になり、アーティスト名を聞いた瞬間に『“SALU”さんの顔半分を猿にしたい』と思ったこともあって、「顔半分を特殊メイクで猿にしませんか?」と持ちかけて。部活のような、大人たちの本気の遊びでこの作品を作っちゃいました(笑)。この作品の動画も撮影するという話になると、この作品のための曲「Mone¥ Mone¥」を書いてきてくださって。。

SALU「Mone¥ Mone¥」。SALUのフリーダウンロード作品「BIS3」に収録

ーフォトパフォーマーとしては、どういった写真を撮るよう/パフォーマンスになるよう心がけましたか? 

冷静に客観的に写真を収めるスタンスではないので、自分もカメラ持ちながら、お客さんと同じように踊って最高に遊びながら写真を撮ってます。自分の作品が他の都市の方にもお披露目できるなんて、なかなかない機会なので、とにかく音楽を楽しみつつもなるべくご来場いただいたお客さんとコミュニケーションをとるように心がけました。

ー東京・大阪・名古屋・札幌・福岡とあったなかで、印象的なエピソードをいくつか教えてください!

スタート地点となった東京イベントは、TOKIMONSTAさんのDJがもうブチ上げで、踊りすぎてカメラ放り投げそうになりかけたことですね。危なかったです(笑)。地方はやっぱり美味しいもの食べれるのが最高でした。特に名古屋イベントは楽しかったです。前々からお会いしたかったSeihoさんにお会いできたり、出演者の友人たちを筆頭にナイトアウトして次の日もひつまぶし食べて、まったり新幹線に揺られて帰るみたいな、、なんだか修学旅行気分でした(笑)。

ーARISAKさんの考える“Over The Border”な音楽を5曲、挙げてください。

・SALU「Mone¥ Mone¥」

・Seiho「Edible Chrysanthemum」

・Tyler The Creator「Yonkers」

・Brooke Candy「Opulence」

・Kanye West「Wolves」

ーではARISAKさんの考える“Over The Border”なアートとは?

固定概念を打ち破るアウトローな方たちが集まって作ったプロダクトですね。

ー最後に、今後、BACARDÍ “Over The Border”に期待することを教えてください。

東京イベント、また実現お願いしたいです! そしてまた新たな次元の作品をお披露目できればいいですね。

PROFILE

ARISAK(ありさっく)
10年にも及ぶフィギュアスケートの経験にインスパイアされ、フォトグラファーとして表現活動の世界へ足を踏み入れる。ダークで妖艶、毒気のある独自の美学を追求した作品はVogueのイタリア版写真審査サイト「PhotoVogue」の審査を通過するなど、多方面から注目を集めている。
Instagram : @ar13ak