MUSIC 2022.05.16

Interview:yonawo
福岡から東京へ。
進化し続ける4人の新たな旅路

Photography-Ryuichi Taniura、Styling_Kazuaki Kugimiya、Hair&Make_Kazuma Kimura、Text-Mizuki Kanno
EYESCREAM編集部
EYESCREAM編集部

3月18日は「睡眠の日」。yonawoの新作EP『Prescribing The…』リリースで、そんな日があったことを知った人も多いのではなかろうか。リスナーからの「寝る前に聴きたい」との声に応え、制作された本作のコンセプトは“ベッドタイムサウンド”。yonawoならではのメロウで浮遊感漂うサウンド、耳心地の良い詩、シルキーなヴォーカルが、疲れた心を癒し、至極のリラックスタイムへと誘う。
これまで福岡を拠点に活動していたyonawoが最近、東京で共同生活を始めたとのことで、彼らの近況を聞きに約1年ぶりに会いに行った。ここから夏に向けて、さまざまなフェスへの出演やライブの開催など、意欲的な活動をみせるyonawo。彼らの楽曲同様に、柔らかく穏やかな空気感をまとう4人は、次なるステージを見据え、確実に歩みを進めていた。

荒谷翔大(Vo.)、斉藤雄哉(Gt.)、野元喬文(Dr.)、田中慧(Ba.)

「今まで以上に、意欲的に音楽と向き合えているのかな」

ーまずはyonawoの近況から。最近、東京に引っ越して来たと聞きました!

荒谷翔大(以下、荒谷):2022年の1月下旬に福岡から引っ越してきました。今は4人で共同生活を送っています。今日で82日目(インタビュー時点で)。今までは福岡でゆるりとやってきましたが、東京でしかできないこともいっぱいあるだろうし、今年は勝負の年にしたいなと思って。

斉藤雄哉(以下、斉藤):僕らの家自体が、制作場所になりました。

荒谷:雄哉の部屋はレコーディングスタジオ並に機材が整っているので、よくみんなで集まって制作しています。あとはWiiをしたり、自炊もちょくちょく。慧は福岡でもずっとひとり暮らしだったから、時々みんなのご飯を作ってくれます。

ー環境の変化に伴い、心境はどのように変わりましたか?

荒谷:みんなで一緒に住み始めてから、制作のスタイルも変えましたし、今まで以上に、意欲的に音楽と向き合えているのかなと思います。あと僕はやんわりした緊張感がずっとあって。今まで東京は仕事をしに行く場所だったので、年中仕事モードな感覚です。

野元喬文(以下、野元):確かに僕も緊張感はずっとあります。

斉藤:僕は東京での知り合いが増えたり、いろんなアーティストのライブを観にいける機会が増えたことが嬉しいです。ライブに足を運ぶことで制作意欲が沸いたり、刺激を受けています。最近だと、奇妙礼太郎さんとReiさんがふたりでやっていたライブがめちゃくちゃ素敵で。場所も相まってとてもよかったです。

野元:東京キネマ倶楽部でやっていて、会場の演出もすごくかっこよかった。

田中慧(以下、田中):僕は福岡ではひとり暮らしだったので、一日誰とも話さずに終わってしまうみたいなこともざらにあって。気持ちが暗くなってしまうこともあったんですが、今は誰かしら家にいる環境なので、絶えず生活音も聞こえるし、逆にリラックスできています。寂しさを感じることはなくなりました。あとはすごく乾燥しているなって。

斉藤:(笑)。間違いない、東京はおかしいくらい。

ーこっちに来てから、ハマり始めたことなどはありますか?

斉藤:僕は東京のご飯屋さんを巡ること。気になっていたお店がいっぱいあったので。

荒谷:僕らが仕事で東京に来はじめた頃は、ずっとどこもやっていなかったもんね。

田中:僕は新しい土地を知るために、よく散歩をするようになりました。隣駅まで歩いてみたり。割りと毎日外に出て、歩くようにしています。

荒谷:僕も散歩することかも。わざと遠回りして目的地に向かったり。あとは公園が好きだから、上野や代々木にも行きました。

野元:僕は最近、映画館に行く機会が増えました。『ドライブ・マイ・カー』を観て、映画館で映画を観ることの良さに気づきました。その後に銭湯に寄ったりして、いい休日の過ごし方ですよね。

「新鮮な気持ちで、またこの曲がリリースできたのは嬉しかった」

ー新作EP『Prescribing The…』がリリースされましたね。コンセプトは、“ベッドタイム・サウンド”とのことですが、皆さん自身、yonawoの曲がそのように言われている所以はなんだと分析しますか?

荒谷:yonawoの曲は比較的、スローテンポな曲が多いっていうのが一番の理由なのかな。

斉藤:音数も少ないしね。あとは、あらちゃん(荒谷)が書く歌詞の語呂の良さ。耳にすっと入ってくるんじゃないかな。

ーゆっくりしたリズムが子守唄の様にトントンと体に響くので、寝る前もそうですが、少し緊張しているときに聴くと心がほぐれます。そういった曲は意識的に作っていますか?

荒谷:無意識ですね。意識しないとノリのいい曲は書けないので、ライブでも楽しめそうな曲を作ろうと思ったときとか、感情が高ぶったときだけかな。基本は穏やかな気持ちで、のんびりした曲を作っています。

ー荒谷さんの人柄が反映されているんですね。それでは収録されている4曲について、順番に伺っていきたいと思います。まず「苺」は、2020年リリースのデモアルバム『desk』に収録されていた楽曲ですよね?

荒谷:初期の「苺」は、自分が高校生の頃にGarageBandで作った曲だったので、いずれはyonawoでリアレンジして、みんなの色を入れたいなと思っていました。なので、今回のアレンジは3人にまるっと委ねました。めっちゃいいですよね。最初の音源とはノリが違うし、ダンス・チューンではないけれど、そっちよりな感じで。この曲、ライブでは結構ノリノリなアレンジで演奏しているんです。

田中:雄哉がドラムを打ち込んで、ベースはこんな感じでいいよねって話し合いながら進めました。初期の「苺」のベースラインは、この曲を象徴するフレーズだと思ったので、どうにか取り入れたくてそのままに。

荒谷:みんなの色が加わった新しい「苺」になって、新鮮な気持ちでまたこの曲がリリースできたのは、嬉しかったですね。

ー荒谷さんのヴォーカルが心地よい「Prescribing」は、まさに子守唄のようで、今作を象徴するような楽曲ですよね。

斉藤:歌詞とEPのコンセプトがあっていますよね。

荒谷:この曲はインタールード的な感覚です。「苺」のラストから繋がるように、弾き語りで入れています。EPのタイトルを付けた曲を作りたいなと思って、書き下ろしました。今作ではいわゆる睡眠薬みたいなことを間接的に表現していて、EPのタイトル『Prescribing The… 』の、「….」の部分に、僕らの曲だったり、さまざまな含みを持たせています。

ー少し話は変わりますが、4曲中2曲が「苺」、「ココナッツ」と果物の名前がタイトルに使われていますね。

荒谷:この2曲を作った当時、僕が好きだった果物の名前です。

斉藤:ココナッツが好きって珍しいよね(笑)。

荒谷:ヨーグルトに入っていたココナッツが美味しかったんです。その頃は仮っぽくつけていたんですが、気付いたらそのままに。

野元:「ココナッツ」のタイトル通り、もともと結構アップテンポで、南国っぽい雰囲気もある曲だったよね。夏っぽい爽やかな感じが印象的だったのに。

斉藤:今回のアレンジで消え去ってしまった(笑)。音源のリリースはしていませんでしたが、初期の頃にずっとライブでやっていた曲です。

荒谷:今回はコンセプトにあわせて、眠る前の浮遊感みたいなことを表現したアレンジを加えました。

ーピアノの音色がアクセントになっていますよね。

荒谷:雄哉の実家のアップライトピアノの音色なんです。

斉藤:基本的にこのEPは外のスタジオを使っていなくて、福岡にある僕らのスタジオと実家で完結しています。

ーラストの「空色素肌」は明日への希望を感じる様な、テンポの良い楽曲ですよね。荒谷さんの二種類の歌声も印象的です。

荒谷:オクターブを変えて歌っています。「空色素肌」は、僕の中でしっかり意味を持たせてつけたタイトルですが、その内容は皆さんの解釈にお任せします。

ーここから夏に向けてご自身のライブをはじめ、「森、道、市場」や「頂 -ITADAKI- 」など、さまざまなフェスへの出演が続きますね。皆さん自身のフェスの楽しみ方を教えてください。

斉藤:今年はアルコールやフードも楽しめたらいいですね。

荒谷:それがフェスの醍醐味だもんね。

野元:僕は知らないアーティストを予習するのが好きです。高校生の頃に、慧とサマソニに行ったことがあって。前日に回るアーティストの順番を決めて、ネットカフェで楽曲の予習をしました。自分だけのタイムテーブルを作るあの時間が楽しいんですよね。

田中:でも結局、ノーマークだったアーティストのライブが予想外にかっこよくて、次に行けなくなったよね。

ー確かに、フェスには新しい音楽との出会いがありますよね。フェスでのライブは緊張しますか?

荒谷:去年、フジロックに出演したときはめっちゃ緊張しました。柄にもなくステージ裏で円陣組んだよね?

田中:いつもは自分たちのワンマンツアーくらいなのに。フジロックの演奏中、僕にトンボが止まったんです。「矜羯羅がる」あたりで、虫がすごい集まり始めて。そういう曲なのかな(笑)。そんなハプニングもあって、緊張がほぐれていって楽しめました。

ー7月からはツーマンツアー「yonawo presents ROOM 470」も始まると思います。鈴木真海子さん、D.A.N.、No Busesとの共演はいかがですか?

斉藤:D.A.N.もNo Busesも僕らはファンだったので、オファーさせてもらいました。鈴木真海子さんはずっと仲が良かったので、今回改めて一緒にライブができるのはとても嬉しいです。

荒谷:僕らの大好きなアーティストを呼べましたし、彼らのライブも楽しめますし、『Prescribing The… 』もライブでのアレンジバージョンで聴いてもらえるので、とても楽しみです。EPのコンセプトは“ベッドタイムサウンド”だけど、ライブでは眠らせないぞ………!

一同:(笑)。

ー締めの一言をありがとうございます(笑)!東京での皆さんの更なる活躍が楽しみです。

INFORMATION

『Prescribing The…』

2022.03.18 Release
https://yonawo.lnk.to/prescribingthe

東名阪対バンツアー「ROOM 470」
2022.07.01 OPEN 18:00 / START19:00
@渋谷CLUB QUATTRO (東京)
GUEST : 鈴木真海子(バンドセット)

2022.07.07 OPEN 18:00 / START19:00
@梅田CLUB QUATTRO (大阪)
GUEST : D.A.N.

2022.07.08 OPEN 18:00 / START19:00
@名古屋CLUB QUATTRO (愛知)
GUEST : No Buses

Official Site_https://yonawo.com/
Twitter_@yonawo_jp
Instagram_@yonawo.jp
YouTube_https://www.youtube.com/c/yonawo

[荒谷]パンツ¥27,800(ADJUSTABLE COSTUME×BARNSTORMER / HEMT PR tel_03-6721-0882)、[斉藤]シューズ¥9,500(opposite of vulgarity / HEMT PR tel_03-6721-0882)、[田中]スウェット¥9,000(LEMONTEA tel_03-5467-2407)パンツ¥24,000(BAMBOO SHOOTS tel_03-5720-1677)、シューズ¥13,000(HI-TEC / ムーンスター カスタマーセンター tel_0800-800-1792)、[野元]ニット¥34,000、カバーオール¥58,000(SUGARHILL / 4K [sik] tel_03-5464-9321)パンツ¥32,000-(F/CE.® / F/CE. Flagship Store Tokyo tel_03-6452-5867、シューズ¥25,000-(YOAK / HEMT PR tel_03-6721-0882)
※価格は全て税抜き

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