INFORMATION
Laura day romance
digital single 「heart」
2025年3月26日リリース
https://linktr.ee/lauradayromance
Laura day romanceは井上花月(Vo)、ソングライティングを担当する鈴木迅(Gt)、礒本雄太(Dr)の3人から成るバンド。特定のジャンルに縛られないサウンドと、深く引き込むような歌声が特徴的で音楽好きの間で大いに話題となっている。自由なサウンドスケープを表現するLaura day romanceの音楽は実にオルタナティヴで心地よい。
2025年2月には3rdアルバム前編『合歓る- walls』を発表。その世界観もまた、リスナーをどこか違う場所へ誘うような魅力を持つ。3月26日にはアニメ「アン・シャーリー」(原作:「赤毛のアン」シリーズ)のエンディングテーマとした書き下ろされた楽曲「heart」をリリース。バンドのパブリックイメージにあるフォーキーなサウンドに柔らかな歌声が鳴り響く。本楽曲を介して、バンドが表現しようとしていることを聞いた。
ー2017年の結成当初はシュガー・ベイブなどの音楽からの影響もあったと思うのですが、活動を経ていくうちに変化した部分も多いと思います。今現在、バンドはどういう音楽から影響を受けていますか?
井上花月(以下、井上):やっぱり私たちが今好きな音楽がもっとも反映されているとは思いますね。
鈴木迅(以下、鈴木):活動を始めた当初は、ギターポップ系のバンドであったり、ギターを軸にした音楽になっていきがちだったんですけど、最近ではヒップホップやハウス、エレクトロニカなどにも興味が高まってきて、その辺りからの影響があると思います。
ー例えば、最近の新譜でハマって影響を与えられた作品などはありますか?
鈴木:それが最近のはあまり聴いていないんですよ。楽曲のアレンジという面でもループミュージックに興味が出てきてから、いろんなものの聴こえ方が変わったんです。僕が大学生の頃にDaft Punkがすごく流行っていて、当時は何となく聴いていたんですけど最近になってちゃんと聴き込むようになっていっている感じがあるんです。Daft PunkとBlood Orange、この2つは今すごく聴き直しているところです。
礒本雄太(以下、礒本):Daft Punkか。当時、みんな聴いてたね。Nile Rodgers(※)が流行ってるみたいな感じだった。自分は昨日くらいからJoni Mitchellを聴き直し始めていて。ふと思い立ってアルバム『Blue』を聴きながら、改めていいなと思っているんですけど。最近いいと思う楽曲はドラムがないことが多いんですよね。
※Daft Punkの『Random Access Memories』に収録された「Get Lucky」「Lose Yourself to Dance」「Give Life Back To Music」にもギタリスト/ソングライターとして参加。
鈴木:僕もそうですね。自分のパートの楽器が鳴っていない音楽も聴けるようになったというのは、ちょっとは耳が成長したのかな、なんて思います。その辺りが以前との差かもしれません。
井上:自分のパートの楽器がないと聴きにくい、なんて思う時期があったの?
鈴木&礒本:めっちゃあるよ。どうしてもそこに耳が向くし。
ー井上さんはボーカルレスの音楽はどうですか?
井上:すごく聴いていますよ。クラシックをずっと流したりしています。歌が入っている曲ばかりを1日中聴いていると、ちょっと疲れちゃうじゃないですか。だから、それこそ私もハウスを流したりしています。
ー『合歓る – walls』を聴くと、最近のLaura day romanceの楽曲はすごくミニマルな印象があって、歌がもっとも映えるように作られているように感じます。その辺り、何かこだわっているものはありますか?
鈴木:なんだろうな、今までより「あれやりたい。これやりたい」っていうのが溢れなくなってきたというか。最初の頃は、自分の好きなものを楽曲にたくさん詰め込んで、それが溢れているのは楽しくあったんですけど、そうなると楽曲自体の魅力や強さが薄れてしまうということに、自分の中で納得できるものがあって。そういう点で、歌が見えやすくなってきたというのが変化の1つとしてあるかもしれないですね。
井上:そうなのか。たしかに。うん、歌いやすい理由が今わかりました。
ードラムを表現するうえでもシンプルさは意識しますか?
礒本:たしかに前作と比較すると、自己主張からくるプレイはしていなくて、バンドに対して献身的な姿勢で制作できたんですよね。だから、難しいフレーズはあるんですけど、全体的にシンプルにまとめることができなたんじゃないかと思います。そんな風にどんどんエゴがなくなってきている状態なんですよ。
鈴木:そうなんだよね。楽曲が良くなるならっていう献身的な姿勢みたいなものが昔よりもあります。
ーそんな中、新曲「heart」はミニマルなサウンドというより、バンドのアンサンブルが心地よく、リズムに乗って歌を口ずさみたくなるような明るい空気感がありますね。
鈴木:「heart」については、バンドの音楽性とアニメ作品『アン・シャーリー』が持つ世界観の共有している部分を形にする取り組みだったと思っています。なので、僕らが持っているフォーキーな側面を楽曲に反映させた内容になっていると思いますね。実際、僕らとは相性の良いアニメ作品ですし、歌詞を含めて普段の感覚の延長線上にあるものを制作することができたと思っています。
井上:ボーカルに関しては、普段よりもう少し朗らかに明るさが出るように歌いました。子ども達が聴いても一緒に歌いたくなるような感じをちょっとだけ意識したりして。歌っている時、いつもより口角が上がっていたんじゃないかなと。
礒本:僕は幼少時にアニメ『赤毛のアン』を観ていたこともあったので、メンバーとも話しながら、子どもが聴くことも考えてドラムを考えていきましたね。よく「ドラムのサウンドが温かい、優しい」といったことを言ってもらえるんですけど、自分としてはそういうイメージはなかったんですよ。でも、この曲に関しては、みんなの評価を自分の中に受け入れたうえで、優しさや明るさが滲み出るように演奏しよう、という気持ちでしたね。
ーみなさんが仰る通り、温かみが感じられる1曲だと思います。歌詞についてはいかがでしょう?
鈴木:原作を読んで自分なりの解釈を歌詞として表現していきました。人と人が触れ合うことで内面に変化が生まれ、次第に人が持つ色が変わっていくといったことが原作のコアにあると感じたので、起承転結を鮮やかに描いて、それがループしていくように、ということを1つのテーマに置いて考えたんです。
ーでは、Laura day romanceとして今後はどう活動していきたいと思いますか? 目標であったり、成すべきこととして考えていることを教えてください。
鈴木:今の音楽シーンを見るとリスナーの分断がすごいと思うんです。マス向けな音楽、コア層に向けられた音楽が両極端で、中間がないように感じるんですよね。僕が子どもの頃はもっと全部が混ざり合っていたような気がしていて、例えば、ポップスとしての力もありつつ、音楽好きにもちゃんと愛されている作品がたくさんあったと思うんです。それが、音楽の世界への入り口になっていたなって。やっぱり極端なものの方が届くというのもあるんでしょうけど、どこへでもアクセスさせてくれるような音楽を、自分たちの手で、自分たちのバランス感覚で作れて、同業者ともお互いに作用し合いながら次世代へ届くようないいものを作り続けたいと思っていますね。
ーリスナーだけではなく、同じアーティストにも届けたいという思いがあるんですね。
鈴木:はい。やっぱり残っていく作品は誠実に作られたものだと思いますし、しっかりと向き合って作っていく姿勢で表現しているんだ、ということを同じ業種の人には示したい気持ちがあります。それがひとえに好循環を作ることに繋がる気がしていて。その取り組みではありますね、バンドの作品を出すことは。
ーライブに関しては、どんなライブをやりたいと思いますか?
鈴木:ライブに来てくれる方々が「(ライブの空間について)居心地がいい」と言ってくださることが多いんですよね。思えば、ライブ会場に行くと意外と強要されることって多い気がするんですよ。でも、何かを強制することのない自由でいられる場所としてライブ会場があるというのはすごく大事なことだと思うし、いろんな人にとってのライブの敷居を下げて、居心地よく過ごしてもらいたいという意識があります。
井上:ルールなんか最低限のマナーが守られていれば、別にすべての人が好きなように聴いて楽しんでくれる場所が1番いいと思いますから。私たちのライブは手を上げたい人は上げているし、そうじゃない人は静かにしているし、そのまま自分の好きなように楽しんでほしいんです。
ー4月26日には大阪城音楽堂、4月29日に東京国際フォーラムホールCでバンド史上最大キャパのライブも予定されていますね。
井上:場所はどこでも嬉しいんですけど、徐々にキャパが大きくなってきているので留まることなく大きくし続けたいという気持ちで生きています。やっぱり、日本のバンドと言えば、の1つになりたいですから。私たちがそういう存在になることで、音楽シーンの中に好循環が生まれるんじゃないかなと思っています。
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digital single 「heart」
2025年3月26日リリース
https://linktr.ee/lauradayromance