BEHIND CULTURE カルチャーを支える人たち|VOL.02
Sora Aota、ヒップホップから始まった制作活動

Text_Daniel Takeda , Photography&Edit_Rio Osugi

BEHIND CULTURE カルチャーを支える人たち|VOL.02
Sora Aota、ヒップホップから始まった制作活動

Text_Daniel Takeda , Photography&Edit_Rio Osugi

作品が生まれ、シーンとして広がっていくまでの裏側には無数の判断と選択、そしてそれを担う人たちの仕事がある。「BEHIND CULTURE」は、KDDI「au Short」サポートのもと、音楽・映像・ファッション・アートといったカルチャーの現場で、その“裏側”を支えてきた担い手たちに光を当てる連載企画だ。職業や肩書きの紹介ではなく、思考や判断の基準、そして次の時代のカルチャーをどう見ているのか。インタビュアーは、カルチャーのさまざまな側面に光を当てるジャーナリスト/研究者の竹田ダニエル

第2回は、画家/アーティストのSora Aota。デジタル制作を軸に活動しながら、近年はアクリルにも挑戦。制作のリズムやターニングポイント、そして表現の変化について話を聞いた。

ー制作がある日の流れや、集中との向き合い方について教えてください。

Sora:できるだけ朝早く起きるようにしています。朝に集中できると、その日一日ずっと描けることが多いので。歯を磨いて窓を開けて、そのまま制作に入る感じです。特別な準備はあまりなくて、すぐ描き始めます。
ただ、毎日同じリズムというわけではなくて、集中できない日は本当に全然描けないこともありますし夜になってからようやく集中できる日もあります。そういう時は寝ずに描き続けることもあって、サクサク描けている時は時間が経つのもすごく早いです。

ー作品はどのように組み立てていきますか。また、制作の中で一番楽しい工程はどこですか。

Sora:最初にある程度の完成図は想像しますが、ラフの段階で結構変わることが多いです。描きながら考えていく感じですね。最初に思っていた形と違う方向にいくこともよくあります。
一番楽しいのは、最初に白黒でラフを描く工程です。少し描くだけでイメージが変わったり、アイディアをすぐ形にできるのが好きです。色をつけて細かくしていく工程は、少し作業に近い感覚があって、考え終わったことを詰めていく時間なのでラフとは感覚が少し違います。

ーこれまでの中でターニングポイントになった作品と、その後の変化について教えてください。

Sora:最初の展示会で描いた「輪廻」という作品が大きかったです。その作品は自分の中でも一番細かく描いたもので、そこから描き方への意識が変わりました。当時は完成だと思っていた以前の作品も、今見ると全然描き込みが足りないと感じることもあって、ディテールが大きく変わりました。

ー絵を描き始めたきっかけについても教えてください。

Sora:最初はヒップホップが好きで、ジャケ写みたいなのを描きたいとか、ハートが多めで、誰かの顔を描いたりすることが多かったです。その頃は自分のオリジナルキャラクターを描こうとかは全然なくて、誰かをイメージした絵を描いてました。作風も今とは全然違いますし、色使いも昔は虹色みたいなものを1枚の絵に全部入れて描いたりしてました。よく言えば詰め込んでる感じなんですけど、今見ると、昔の方が雑な感じですね。色も作風も。

ー制作環境の変化や、アクリルに挑戦した経験について教えてください。

Sora:最初からずっとiPadで描いていました。Procreateを使っていて、描きやすいのでそのまま続けています。
アクリルに挑戦したのは去年の6月頃で、小学校の授業以来ほとんど触っていなかったので、水の量も分からず、色が混ざったり剥がれたりして、失敗の連続だったんですが、失敗するたびに真っ白に塗り直して、また描き直すことを何度も繰り返しました。

ーデジタルやアクリルに挑戦してみたり、過去の経験だったりなど、これまでの経験は今の制作スタイルにどう影響していますか。

Sora:その時いろんな色を使ってたからこそ、今「こういう色合いが好きなんだな」とか、「これぐらい余白のある絵が好きなんだな」って気づけました。昔は真逆だったので。本当に、余白とかは今はあるんですけど、昔は詰め込んで描いて、空きがない方がすごいと思ってました。それが逆になったので、むしろやってなかったら気づけてなかったと思います。

ー集中できない時やスランプの時はどうしていますか。

Sora:スランプに入ることもありますが、そんなに長くは続きません。一日iPadを見ないで外に出たり、近くの公園や池のある場所を歩いたりします。帰ってきたら、割とすぐ切り替えられます。

ー今のお仕事をしていて、一番純粋に楽しい瞬間は?

Sora:絵を描いてる時ですね。いい絵が描けた時も嬉しいし、描いてる最中も楽しいです。仕事自体、ずっと楽しいです。

ー1枚の作品に、どれくらい時間をかけていますか。

Sora:だいたい1日6時間くらい描いて、月に1個か2個くらいですね。「芽」は、1日10時間描いて、1ヶ月くらいかかりました。失敗も多かったので、かなり時間がかかりました。

ー最近知った新しい表現方法やツールはありますか。

Sora:自分が使っているProcreateも、機能が多くてまだ半分も使いこなせてないです。形を歪ませるツールや、色をまとめるツールとか。基本はブラシで一から描くことが多いです。

ー今後挑戦したい技法は?

Sora:最近アクリルに挑戦してすごく楽しかったので、続けたいですし、油絵もやりたいです。キャンバスだけじゃなく、粘土とか他の表現方法でも作品を作ってみたいと思ってます。

ー音楽との関係についても教えてください。

Sora:作業中は声が入っていない自然音のBGMを聴くことが多いです。言葉があるとそちらに頭を使ってしまうので。英語など理解できない言語の曲を聴くこともあります。プライベートではポスト・マローンや、千葉雄喜さんのアルバム『永遠』をよく聴きます。同じ曲をずっとリピートすることが多いです。

ーAIの影響についてはどう感じていますか。

Sora:AIが出てきて気持ちが変わったことは特にないです。AIは急に完成したものが出てくるけど、過程は作れないですよね。自分は「どうやって描いたんだろう」「どれくらい時間かかったんだろう」と考えながら絵を見るのが好きなので、AIは全く別物として捉えています。

ーアート業界全体への影響はどう思いますか。

Sora:インスピレーションになったり、効率が上がったりする面はあると思います。ただ、AIが悪いというより、よくない使い方をする人がいるかどうか、という問題だと思います。使う人次第ですね。

ー作品に込める感情やテーマはありますか。

Sora:あります。自然や宇宙、答えのないもの、生命的なものを描くことが多いです。描いてる途中でテーマが見えてくることも多くて、目が優しくなってきたな、とか。温かさだけじゃなく、何か失われていく寂しさみたいなのが入ることもあります。
でも、あまり定めすぎず、見る人が自由に受け取ってくれたらいいなと思っています。

ー最後に、Soraさんにとってアートとは何だと思いますか。

Sora:その人のスタイルや個性が、ぱっと見て分かるものだと思います。文章は長いけれど、絵は視覚的に一瞬で伝わります。自由でルールも少ないところが魅力だと思います。

インタビューの様子はau Shortで映像でも楽しめるのでぜひチェックしておこう。

INFORMATION

BEHIND CULTURE VOL.02 Sora Aota

◼︎Sora Aota
https://www.instagram.com/soraaota/

◼︎au Shortについて
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