ART 2020.04.02

「現実と幻覚が渾然と交差する、限りなく快楽死に近い映像」と評される写真家、あかきナンペイによる個展

EYESCREAM編集部
EYESCREAM編集部

ポーランドの写真家集団、Czułośćに所属する東京出身の写真家、あかきナンペイによる個展が、馬喰町のギャラリースタジオBAF studio tokyo,において4月3日(金)より完全アポイント制として開催される。

あかきは、幼少期を海外で過ごし、青年期を東京とロンドンで体感。2008年に帰国後、本格的に写真家として活動をスタートさせ、カメラのレンズを外した状態で街の光を採集(撮影)した「Kenko健光」シリーズや偶発性をテーマに撮られた多重露光写真「Zenzen」シリーズなど、写真の枠組みに囚われることなく、ユニークなアイデアに基づく冒険的な作品を数多く制作している。

今回の展覧会では、彼の脳内に増殖しつつけるイメージを平面に封じ込めたペインティング作品の連作10点が発表されるほか、「Kenko健光」シリーズを使用したテーブルも制作。10年以上にわたり世界中で作品を撮り、展示空間を作り上げてきた写真家のいまが表現されている。

下記は故・林文浩(DUNE編集⻑/THE LAST GALLERY代表)があかきナンペイを評した言葉だ。

少年時代をサウジアラビアやシンガポールで過ごし、⻘年期を東京とロンドンで遊んだ彼は、言うなれば、現代版の遊牧⺠で、日本に対する愛着や感覚は我々とは大きく異なる。30歳迄、真剣に死を厭うこともなく遊び呆けることによって形作られていった彼の写真に対する感覚は、現実と幻覚が渾然と交差する、限りなく快楽死に近い映像であり、死の誘惑に似た限りなく透明な色彩である。 死の直前に誰もが最後に見る色彩。安息の色。そう思いたくなる吸い込まれそうな細やかな色彩美。肉体と精神の臨界点で経験した魔術的なイマジネーションが、最近の写真界で流行する、単なる抽象画的な写真との凄まじい違いである。人間は外側に出なければ内側は分からない。真逆の立場に立って初めて自分の本質が分かる。あかきナンペイが若き日に選んだ、破滅的な快楽の日々、死が日常のトレインスポッティング的な世界から彼が得たものは、実はあまりにも日本的な“死にぞこないの美学”だったのではなかろうか。

INFORMATION

BAF studio tokyo, presents
NAMPEI AKAKI/あかきナンペイ Solo Exhibition “サボ天(Family Business)”

会期:2020年4月3日(金) – 4月18日(土)
15:00 – 20:00 ※金・土は13:00 – 22:00 ※日・月は休廊
会場:BAF studio tokyo,(東京都中央区日本橋横山町6-14 日本橋DMビル4F)
作家:あかきナンペイ

※展覧会は完全アポイント制で開催。来廊希望の方は baf.studio@art-technologies.co.jp まで希望日時を明記の上お問い合わせください。今回の展覧会では開催と同時に展示風景をネットに掲載し、ECでの販売も行います。

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