2021年に移転リニューアルしたGallery COMMONが初の所属作家としてIchi Tashiroを迎えた大規模個展「Serendipity」を開催する。

現代のデジタル社会に異を唱え、ニューヨークでホームレスとして過ごしながら製作していたIchi Tashiro。本展では“30年間の潜在意識の研究の成果”として、30年前の作品と同じプロセスで制作した新作を計14点が並ぶ。

展示される木製パネルの形は、1700年代に江戸で生まれた折り紙の伝統からインスピレーションを得て制作したもので、パネル上には現代の新聞の切り抜きが貼られている。紙自体が彫刻やアートのような役割を果す折り紙と、文字や事実を伝える新聞紙。それぞれ違う使い道の背景を持つ素材をコラージュする行為は、コミュニケーション手段や定義される創造性の可能性を示唆と言える。

日常的なものから独自のファンタジーの世界を創り出し、捨てられたものから魔法や新たな始まりを見出すストレートなアプローチ。そんな無邪気さ、不器用さも感じることのできるTashiroのシュールレアリスム的な作品をご覧いただきたい。