ART 2023.05.24

イラストレーションを探求する海道建太の個展『FORM』が日本橋兜町AAにおいて開催

EYESCREAM編集部
EYESCREAM編集部

日本橋兜町の複合施設Keshikiの地下に広々と在るスペースAAにおいて、イラストレーター海道建太の個展『FORM』が5月26日より開催される。

海道は愛知県名古屋市出身。2014年に東京に拠点を移したタイミングで本格的にイラストレーターを志し、現在は書籍や雑誌をはじめ、広告、WEB、映像、店内の壁画など幅広い媒体にイラストレーションを発表している。イラストレーターとしての制作をメインとしながらも自主的にエキシビジョンを開催し、平面やクライアントワークの中だけに留まらないイラストレーション表現の探究を続けている。

以下、本展キュレーター細野晃太朗によるテキストからの抜粋だ。

海道は2013年に東京の ANAGRAで展示をきっかけに2014年、名古屋より単身上京するも諸事情により住居を失い半ばホームレスのような生活に。それでも名古屋に帰ることなく、文字通りゼロから東京でイラストレーターとしてのキャリアをスタートさせました。約10年前。当時は展示をする場所や作品を発表する機会もほとんどありませんでした。しかし、そんな状況に腐ることなくとにかく描き、同世代の様々な表現のアーティストや編集者、クリエイターとの交流を続けてきました。

そういった環境で制作していく中で海道は絵柄だけでなくイラストレーター、イラストレーションという役割やその表現自体について考えるようになります。
海道が母校で講演をした際、とある学生の「イラストレーターとして成功するにはどうしたらいいか」という問いに対し「人の言うことを聞くこと」と彼が答えたように、イラストレーションの仕事とは自己との問答の先に必ず依頼主という「人」が存在します。このある種の制約やルール、限界がある中で自分がどこまでいい形のものを出せるか。

このFORM展は「イラストレーター」による展示です。そしてその展示は150平米の地下空間での展示です。そもそもイラストレーターは展示をする必要はありません。なぜなら作品を見せる場所はギャラリーの他にいくらでもあり、それが彼らの主たるフィールドだから。しかし、海道は展示をします。それは彼にとって展示が最も自身のコアの部分と対話できる方法だと知っているからです。海道はこの与えられた環境の中でどのような展示を作るべきか、作れるのか今度は「自分の言うことを聞く」という問答を始めました。

中学校でバスケットボールに明け暮れていた彼は言います。練習で打つ綺麗なフォームじゃなくて試合中、混沌とするコートの中でどうにかボールを放った時の姿形が面白くて美しい。
自分にとってのイラストレーションは汗だくでコートをかけずり回ること。その中で見つける何かであると思う。

そんな海道にとってイラストレーションの仕事はバスケットボールの試合のようでもあり、がむしゃらさから産み出されるフォームは制約の中で発見した新たな絵柄や表現方法となります。

そしてFORM展の中で、海道はまた新しい表現を見つけることができました。

住所不定から始まり、この10年間東京のシーンを文字通り生き抜いてきた1人のイラストレーターが放つ渾身の「展示」の中で是非遊んでみてください。


INFORMATION

FORM
by Kenta KAIDO

会期:2023年5月26日(金) – 6月18日(日)
火・水
12:00 – 18:00
/ 木・金・土12:00 – 21:00 ※日・月定休 ※最終日のみ日曜営業
会場:AA(東京都中央区日本橋兜町6-5 兜町第6平和ビルB1F)
Instagram:@aa_kabutocho

*OPENING:5月26日(金)18:00 – 20:00
*CLOSING:6月18日(日)12:00 – 17:00

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