ART 2026.11.05

BIENの個展「Three flames +1」がPARCELで開催。ロンドンで発表した個展を起点に、芥川龍之介の小説「藪の中」をめぐる思考をさらに展開させた展示に

EYESCREAM編集部

東京を拠点に活動するアーティスト、BIENの個展「Three flames +1」が馬喰町PARCELにおいて現在、開催中だ。

BIENは、アニメーションに影響を受けた独自のドローイング表現を中心に、写真、映像、彫刻、インストラクション、インスタレーションなど、多様なメディアや手法を横断して作品を制作するアーティスト。アートプロジェクト、SCAN THE WORLDの中心メンバーとしてその立ち上げや活動にも携わっている。

本展は、ロンドンで発表した個展を起点に、そこで扱われた芥川龍之介の短編小説「藪の中」をめぐる思考を引き継ぎながら、絵画、映像、立体、そして空間全体を通して、より大きなひとつの場へと展開するもの。1922年に発表された「藪の中」は、ひとりの男の死をめぐる複数の証言によって構成された短編小説で、事件の当事者である三人の語りは互いに食い違い、最後までひとつの事実へと収束することはない。物語の中心にあるはずの出来事そのものは描かれず、その周囲を異なる視点からの語りだけが取り囲んでいる小説だ。

本展においても、何かが起きた気配や痕跡はありながら、その全体像が明かされることはない。ひとつの物語から切り取られたひとコマのような展示空間に身を置き、舞台のような床が設えられた空間を自由に歩くうち、鑑賞者もまた、そこから続く物語のなかのひとりとなる。BIENがこれまで制作を通して向き合ってきた世界のあり方が、鑑賞者自身の経験へとつながっていく展示となる。
 

2024年の数ヶ月間、そして2025年から2026年春にかけて、東京からロンドンに拠点を移し、活動を続けていました。
月並みですが、はじめての日本を離れた英語圏での生活は、言葉の壁や習慣の違い、世界の情勢を以前よりも身近に感じ、改めて自分の世界の狭さや、あらゆる人の視点の違いを実感する時間となりました。

ロンドン滞在も僅かとなった今年3月に同地で開催した個展では、芥川龍之介の短編小説「藪の中」を題材としました。この小説は複数人の登場人物による証言だけで構成されますが、その内容は食い違い、結局最後に何が起きたのかは誰にもわかりません。
たまたま滞在中に黒澤明の映画『羅生門』を観ていたことが、この物語に興味を持つきっかけでしたが、一番の決め手はロンドンで過ごした時間があったことです。

PARCELでの個展は、この展示を起点に「藪の中」をめぐる思考をさらに展開させるものです。
植物が根を這うように、虫が木や葉を食って跡を残すように、鉱物が成長するに従って綺麗なラインを形成するように、人はイメージや物語によって世界に痕跡を残すのだと思います。
それがどれだけ素晴らしく美しく、どれだけ不気味で恐ろしく、どれだけ脆弱で強大か。
そんなことを考えられたらと思っています。
ーBIEN

INFORMATION

Three flames +1
A Solo Exhibition by: BIEN

会期:2026年11月4日(水) – 12月12日(土)14:00 – 19:00
会場:PARCEL(東京都中央区日本橋馬喰町2-2-1 DDD HOTEL 1F)
休廊:日・月・祝日

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