[ZINEspiration]Vol.03 酒井いぶき

photography_Kayoko Yamamoto, text_Yuri Matsui

[ZINEspiration]Vol.03 酒井いぶき

photography_Kayoko Yamamoto, text_Yuri Matsui

毎回、クリエイティブに携わる人々に、お気に入りのZINEをレコメンドしてもらう連載シリーズ『ZINEspiration』。第3回目となる今回は、オフィス用品としてお馴染みのテプラを使った作品制作を行う、アーティストの酒井いぶきに話を聞いた。

映画をきっかけにタイプライターへ興味を持ち、家にあるはずのタイプライターを探してみたところ、実はそれがテプラだったため、そのまま代わりにテプラを使って制作を始めたという酒井いぶき。高校時代は写真部に入部していたものの、部のイベントには参加せず、部の備品のテプラやプリンターを存分に活用して、独自に作品制作をしていたそう。

「最近、テプラの会社(キングジム)の人に会って作品を見せたら、すごく喜んでくれて。『テプラ公認アーティスト』だと思ってます(笑)。テプラをいじってるだけで、他の作品もすごく作りたくなるし、テプラは一生手放せないですね。高校生のころから、コラージュで冊子を作っていて。超アナログなんですけど、Wordしか持ってなかったから、Wordでページの順番を全部考えて、写真部のプリンターで印刷して作ってました。後になって『ZINE』っていう言葉を知って、『私が作ってたのZINEだったんだ』って。もともと紙が好きで、本を集めちゃうんです。去年、高校を卒業してからいろんな国に行ったんですけど、パリに行った時にも服より本をいっぱい買って。韓国のアートブックフェアでも本気で買いまくりました」

最近は、彼女が“お師匠さんみたい”と語る、アーティストの加賀美健らによるZINEイベント『王将ZINEフェアー』にも毎回参加している。

「お正月明けすぐにイベントがあった時は、健さんが普通にコタツで食べたであろうミカンの皮を半分にしてホッチキスで止めただけのものを、『ミカンのZINE』って出してて。健さんがそれをInstagramに載せてたら、『取り置きお願いします』ってコメントがついたんですけど、それに対して『捨てちゃったよ笑』って返信してたことに、私はぐっときて。私もいい意味で適当に作ってるから、自分の作ったものに対して『もう捨てちゃった』っていう感じが何か嬉しかったんです。このイベントはメンバーが集まるのが本当に楽しいですね」

最後に自身の活動について、今後の展望を語ってくれた。

「テプラはもちろんやりつつ、いろいろ混ぜていきたいですね。『これもいぶきちゃんだったんだ』ってよく言われるけど、それでいいかなって。好きなことを、こだわらずやっていきたいです。来年1月に眼科画廊でグループ展に参加する予定なんですけど、もっともっと場数を踏みたいので、『イベントに誘ってください』的なことを書いておいてください(笑)」

【酒井いぶきがレコメンドするZINE5冊】

ELEVATOR TEETH『TEENAGE GRAPHICS』

「彼はアメリカにいる友達のアーティストなんですけど、いろんな国へ行って現地でZINEを作ってるんです。日本で知り合って、去年彼が東京から大阪へ行くときに、また東京に戻ってくるからって、荷物を2ヶ月くらい家の倉庫で預かってたんです。そうしたら帰ってきたときに、大阪で作った出来立てほやほやのZINEを、手持ちのポスターと一緒にプレゼントしてくれて。デザインもいいし色使いも独特で、自分がやらないことだけどすごく憧れる。物を作りたくなる一冊ですね」

Camila Montoya『心 kokoro』

「マイアミの友達が作っているZINEです。会う前に、Instagramで繋がってたんですけど、お互いのクリエーションがすごく好きだから、文通みたいに自分の作ったものを送りあってたんです。このZINEはそのときのもの。彼女は指に「心」ってタトゥーも入れてるくらい、日本が本当に好きだから、作品も日本的なんですけど、日本人には絶対作れない日本っぽさというか。デヴィッド・リンチにも通じるような、いい意味でちょっと気持ち悪い感じが好きで。アナログでコラージュをやってるのも、自分と通じるところがあるなと思います」

『ÔmiLRON No.1』

「去年の『THE TOKYO ART BOOK FAIR』で、インターナショナルブースの入口にテイクフリーのコーナーがあって。最終日に片付けしながらふと見たら、このZINEがあったんです。去年のゲストカントリーがブラジルだったから、たぶんブラジルのアーティストで。きっとヒーローが好きだから、たくさん書いてるんだと思うんですけど、クオリティがすごくて、これ見たらすごい元気になっちゃって。エディションも20だし、いかにもZINEだなって感じで最高。白黒コピーなんだけど、表紙だけ色鉛筆で塗ってあって、1冊ごとにオンリーワンなのかも」

NORIKO NAKAZATO『ファッションデザイナー』

「2015年に中里周子さんのタイでのファッションショーに出たんですけど、その時にこのZINEの印刷が遅れてて、周子さんの出発に間に合わなくて。私は後から出発したから、出来上がったこのZINEをスーツケースに入れてタイまで運んで、それを一冊もらったんです。知り合う前から周子さんのクリエーションが好きだったんですけど、バシっとしてて超かっこいいです。家に友達が来た時は「心 kokoro」と、これをよく見せますね。2012年から2014年のコレクションがまとめてあるZINEです」

『#29APR17SAT』

「大阪のナイスショップスーが高円寺のFAITHで1日だけイベントをやった時に、沖真秀さんのペイントとポスターを買ったら、これをもらったんです。沖さん含め3人の作品をまとめたZINEで、イベントでは原画が全部展示されていました。生まれて初めて作品を買ったときにもらったこともあって、思い入れがありますね。このイベントに行ったことでナイスショップスーの人と知り合って、お店でステッカーを売ってもらうことになったり、いろんなことがあった日でした」

酒井いぶきのステッカーは、以下のショップで販売中。

INFORMATION

・STRANGE STORE
東京都渋谷区鴬谷町12-3-301

・excube
大阪市浪速区稲荷1-7-30 山崎ビル2F

・ナイスショップスー
http://theniceshop.cart.fc2.com/ca10/683/

・ON AIR
福岡市中央区薬院3-12-31 2F

・酒井いぶき BASE
https://iibbuukkii.thebase.in/

[ZINEspiration]
・Vol.01 ヒロ杉山
・Vol.02 Colliu
・Vol.03 酒井いぶき
・Vol.04 安野谷昌穂
・SUMIRE meets TOKYO ART BOOK FAIR
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・Vol.06 face
・Vol.07 丸目龍介
・Vol.08 篠宮由香利
・Vol.09 吉本綱彦
・Vol.10 山ちゃん(どついたるねん)
Vol.11 歌代ニーナ
Vol.12 TOWN BOY(君)
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