藤井道人:けむりのまち
第十六回『青春から朱夏へ』

Text_Michihito Fujii

藤井道人:けむりのまち
第十六回『青春から朱夏へ』

Text_Michihito Fujii

日々映画を作っていく中で忙殺され、失われていく大切なはずの記憶の数々。本連載は映画監督・藤井道人が映画や人、言葉、その瞬間を保管しておくための企画である。「生きていく上で忘れてしまうだろう記憶たちの集積場」をテーマに、様々な出会いを通して、映画が作られていく過程や、映画業界の改善に向かっている様を伝えていく「けむりのまち -Fake town-」。第十六回は、藤井道人を象る過去と今とこれから。

皆さま、ご無沙汰しております。
お元気ですか?僕は、全国を転々としながら『イクサガミ』の撮影に勤しんでいます。
今も、滋賀から京都に向かう車の中でこれを書いています。
僕にとってははじめての時代劇。心配なこともたくさんあったけれど、主演・プロデュースの岡田准一さんに支えてもらい、時代劇の面白さや、難しさを沢山吸収している毎日です。
監督ベースから見える景色に、たまに感慨深くなります。毎シーン登場するびょーんと竜の首のように伸びたクレーンカメラの周りには、大学時代から手持ちで機材を運んでいたサークルの仲間たち。一眼レフの7Dを割り勘で買って、10万円を握りしめて自主映画を撮っていた仲間たちと、今この場にいれることは、とても恵まれていることなんだなと思います。

そんな仲間たちと撮りあげた新作映画『青春18×2 君へと続く道』がアジアで275万人、25億円のヒットを記録して、現在まだ公開中とのこと。本当に嬉しい。
ありがとう。謝謝。カムサハムニダ。サンキュー。
20代から、ずっと目標にしていたことが形になって、安堵とともに実はとても燃え尽きています。
台湾や、香港。中国大陸に、タイ、チャンスがあればどこにも行ったし、沢山の悔しい思いもしたなとしみじみ。チャンスをくれたのが祖父のルーツだったりするのがまさに「天の時、地の利、人の和」だなぁと。
作品を一緒に作ってくれたキャスト、スタッフの皆さまと、観てくれた皆さまに改めて感謝申し上げます。ありがとうございます。
まだまだ、ジミーとアミの旅を見守っていてください。

そしてそして、3週間前に原廣利監督デビュー作『帰ってきたあぶない刑事』が公開になりましたね!
初週初登場1位!!
最近10億円突破!! !
大型新人現る!! !!
はらひろと!!!(ひろりじゃないよ)

本当におめでとう。
原は、僕の大切な兄弟分でもあり、はじめての助監督であり、BABEL LABEL初期メンバーの1人です。
大学の1つ下の後輩で、辛い時も貧乏な時も常に一緒に乗り越えて来た熱いやつです。
(撮影監督の佐藤匡もまた、原の同級生なのがエモい)
仕事が全然無かった時期も、腐らず自分を磨き続けたからこそ、今の原がいるんだと思います。(半泣きだったけどね)
今月は次回作『朽ちないサクラ』が公開になります。そちらも素晴らしい作品になっております。是非劇場でご覧ください。

また、先日BABEL LABELの新規メンバー募集を締め切らせていただきました。
想像をはるかに凌ぐ数の募集をいただき、著名な方々からの応募も多かったのがとても驚きでした。
「これ、サイバーエージェントと勘違いしてないかな?」と少し不安になりましたが、一つ一つ大切に目を通させていただきます。
応募いただき、本当にありがとうございました。

来年でBABEL LABELも15周年。
フリーランスと言いたくなくて1人で名乗っていただけの泥舟に、1人、また1人とさまざまな仲間たちが乗り込み、代表の山田や、サイバーエージェント藤田さんをはじめ、沢山の方のお力添えでやっと少しだけ中身のしっかりした舟になって来たのではないかなと。現状に満足することなく、スクラップアンドビルドの精神で荒波に向かって参りますので、これからもBABEL LABELを宜しくお願い致します。

青春の次は、朱夏と言うそうですね。
僕も、旅の支度を徐々にはじめるとします。

来月は、久しぶりに質問コーナーをやりましょう!沢山のお便り、お待ちしておりますね。

では、また。
皆さんもお元気で。

※本連載にて、藤井道人監督への質問を募集。
監督が一問一答形式でお答えするので、
聞きたいことや気になることがある方は、
こちら宛にお送りください。

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