加藤雄太:新宿 #6 番外編 大阪 by Yuta Kato

フォトグラファー加藤雄太の「新宿」連載第六回。暇さえあれば声をかけに出る彼がこれまでに撮りためてきた作品は数千以上に及ぶ。その時その一瞬を収め続けてきた彼のレンズ越しにみる新宿という街のリアルやドラマをテキストと共に楽しんでもらいたい。これは見ず知らずの人間の人生を垣間見る邂逅録である。今回は、大阪にておこなわれた個展のお話。

2024年6月に、大阪はRISE ABOVE GALLERYにて展示「13」を10日間にわたり開催いたしました。地元である関西ということもあり、家族や親戚、昔から親しんだ友人や仲間、お世話になった先生方など、多くの再会と新しい出会いがありました。お時間を割いてご来場いただいた皆様に、心より感謝申し上げます。ありがとうございました。

今回は、展示開催地であり、温かいご支援をいただきましたHenry’s PIZZAの3名のお話と写真です。

4年間付き合ってた彼女と今年の2月に別れました。その方は台湾出身で、ずっと遠距離恋愛をしていました。彼女と一緒に生活したくて大阪に家を借りたのですが、結局、彼女は台湾での仕事を続けたいとなり、大阪に来れなくなりました。

別れた今も、お互い好きな気持ちは変わらず、やり取りも続けていますが、現実的には別れていて、難しい状況です。

周りからは「次の彼女作ろう」「切り替えよう」みたいに言ってもらって、本間にそうやなとも分かっています。ただ彼女のことは、この4年間、苦しいことも楽しいことも、共有し合ったパートナーだと思っていて、向こうもそういう風に思ってくれていたと思います。自分が今頑張れる、調子よく仕事ができているのは、彼女が昔から支えてくれたおかげというか、絶対に支えになってきてくれたんで、そういう人を大事にしたい気持ちがやっぱり根底にあります。

ただ、それは自分の意思であって、自分の運命はそうじゃないのかなって思うこともあります。そこをしっかり断つ勇気みたいなのが、今の自分に必要なのかなって。好きな存在だからこそ、お互いにとって今が正解なのかの葛藤です。

実は7月に台湾のイベントがあって、僕もそこに行かせていただくんです。来週です。だからまた会って、今どう思ってるのかちゃんと話してきます。

今は、将来のことについて悩んでます。周りの友達や、Henry’s PIZZAのスタッフの人も、年齢もそう変わらないのに、一人一人、めちゃくちゃ頑張ってるじゃないですか。自分でやりたいことをやって、お金を稼いで。私もそうなりたいって思ってるんですけど、何をしたらいいか分からず、焦ってます。

香川県で高校を卒業したあと、言語を学びたくて大阪の専門学校に進学しました。卒業後は
特にやりたいことがあったわけでもなく、言語も人に教えられるような能力じゃないし、就職せずにここで働き始めました。

大阪に出て4年で、親元を離れて専門学校に行かせてもらって、結局就活せず、就職もしてないから、親に対して申し訳ない気持ちがあって。全部中途半端な気がして、何しに大阪出てきたんやろって、そのことばっかり頭にあるんです。幸いにも、両親は私がやりたいことを応援してくれるので、それが救いですが。

ここに居ると、いろんなお客さんも来るし、話したりもできます。だからここで働くことによって、私は今は何がしたいかまだ分からんけど、何かしたい思いがあるのは確かなので、それが決まるまで、この環境を活かして、広げたいなとは思ってます。


東京から大阪に移ってきたことは、1つのターニングポイントだと思ってます。大阪に来た理由は前職の転勤でしたが、会社を辞めるタイミングでは、大阪に残ることを自分で選びました。

元々は前職を辞めて、モデル志望で東京へ行くことを考えていました。モデルになりたいと考えたのも、カルチャーだったり、ファッションだったり、もっと業界のことをよく知りたかったからです。ただよくよく考えると、東京へ行かずとも、もっとカルチャーを知れる場所があるなと。それがHenry’s PIZZAだなと、直感が働きました。それでここを訪ねて、ピザを食べて、帰り際に「バイトは募集してますか?」と聞きました。結果、タイミングよく雇っていただけることになって、本当に感謝しかないです。

ただ今の自分は、もがいていることを見つけることにもがいてますね。言い方を変えれば、何にももがけていない。将来的なビジョンが曖昧で、日々目の前の仕事に一生懸命になるのは得意ですが、もっとこう、大きな視点、自分の人生で見たときに、何も行動ができてないなと。

例えば、英語が大事と分かっているならもっと英語を勉強するとか、パソコンのスキルを向上させるために勉強するとか。自分自身に落とし込んで、行動したいです。なので、もがいてもない、もがきたいです。

ただ僕も楽観的で「無駄なものなんて一つもない」という考えがあり、VERDYさんの「WASTED YOUTH」の精神のもと、必ず全部の経験が、年を重ねるごとに繋がってくる気はしてます。

新宿 #1 by Yuta Kato

新宿 #2 by Yuta Kato

新宿 #3 by Yuta Kato

新宿 #4 番外編 by Yuta Kato

新宿 #5 by Yuta Kato

INFORMATION

加藤雄太

「毎日、知らん人に話しかけたら?」先輩の一言をきっかけに、
2014年より街行く人々の写真を撮り、話を聞き・書く生活を始める。2022年、独立。
HP:yuta-kato.com
Instagram:@_yuta_kato_