藤井道人
日々映画を作っていく中で忙殺され、失われていく大切なはずの記憶の数々。本連載は映画監督・藤井道人が映画や人、言葉、その瞬間を保管しておくための企画である。「生きていく上で忘れてしまうだろう記憶たちの集積場」をテーマに、様々な出会いを通して、映画が作られていく過程や、映画業界の改善に向かっている様を伝えていく「けむりのまち -Fake town-」。第十九回は、藤井の作品を彩る名優のお話。
企画をいただいたのは1年半前。時代劇を自分が撮るとも思っていなかったけど、尊敬する岡田准一さんからのご指名ということで、監督・脚本として参加しました。
岡田さんとの出会いは『最後まで行く』でした。僕は『学校へ行こう』や『木更津キャッツアイ』世代なので、めっちゃ緊張したのですが、師範(岡田さんのあだ名)は優しく、強く、僕に沢山のことを教えてくれました。
そんな岡田さんから「藤井組で世界と勝負したい」と言ってもらえた時は本当に嬉しかったです。見たことのない予算や、スタッフの人数に戸惑いながらも、いつもの信頼するスタッフに助けられ、長い撮影に挑むことが出来ました。
そして、そんな『イクサガミ』の撮影がほとんど終了しました。
約半年間。こんなに長い撮影は初めてだったので死ぬほど不安でしたが、やはり終わらない撮影はないですね。編集や配信のことを考えると緊張とプレッシャーで吐きそうですけど、関わってくれたキャスト、スタッフ、エキストラ、ロケ地の皆さま本当にお世話になりました。本当にすごいシーンが沢山撮れたので、是非配信を楽しみにしていてください。
そして、そんな『イクサガミ』の撮影中に新作映画の『正体』の初号試写がありました。久しぶりに会うキャスト・スタッフの皆さんと観た『正体』は、僕のフィルモグラフィの中でも、最もエンターテイメントで、エモーショナルで、サスペンスフルな映画になっていました。原作の染井先生はじめ、関わってくださった皆さま、本当にありがとうございました。そして、お疲れ様でした。自分の映画を観て、グッと涙が込み上げたのは本当に久しぶりのことでした。
読者の皆さん、公開を是非楽しみにしていてください。そして、是非宣伝にもご協力ください!
そして、この記事が公開される9月は、そんな『正体』の主演・横浜流星の誕生日もあります。
流星とはもう8年間誕生日を祝い続けている気がします。やんちゃだった20歳から、どんどん大人になる流星を見ていると、自分ももっと頑張らなきゃと思います。
今は、大河の撮影で忙殺されているので、みんな応援してください。そして、成長した流星の姿を『正体』で目撃してもらいたいです。11月29日公開です!宜しくお願いします!
そしてプロデュースで参加したドラマ『透明なわたしたち』もABEMAで配信が開始されました!冴えわたる松本優作の演出と、若手俳優の感性ほとばしる演技に是非酔いしれてください。優作にしか撮れない、人間の根幹に向き合った作品になっています。是非、ご覧ください。
と、書いていることは宣伝ばかりですね。
本当に撮影ばかりだったので、これからは少し歩みを緩やかにして、体のメンテナンスや、来年の準備をしていこうと思っています。
会いたくて、しばらく会えていない人たちが沢山いるので、徐々に連絡もしていこうかなー、と。
そうだ『BABEL BAR』も9月で11周年になりました!もう11年かー。感慨深い。あそこで、何百杯のお酒を飲んだんだろ。いつも、支えてくれているマスターのアッキー、そして来てくださるお客様、ありがとうございます。偶然会ったら乾杯でもしましょうね。
来月は、久しぶりに質問コーナーですね。
最近、質問の難易度が上がってきて戦々恐々としていますが、それだけ読んでくれる人がいるっていうことに、ささやかな喜びを感じています。どんな些細なことでも気軽に質問していただければと思います。
もうすぐ、夏が終わりますね。皆さまの健康を祈っています。それではまた来月。
※本連載にて、藤井道人監督への質問を募集。
監督が一問一答形式でお答えするので、
聞きたいことや気になることがある方は、
こちら宛にお送りください。