Diggin’ in the Culture - from New York -

Diggin’ in the Culture – from New York – #1: Dirty Tapes NYC

Photography—Koki Sato, Report—Mimi Tamaoki

Diggin’ in the Culture - from New York -

Diggin’ in the Culture – from New York – #1: Dirty Tapes NYC

Photography—Koki Sato, Report—Mimi Tamaoki

Diggin’ in the Culture – from New York –

Photography – Koki Sato, Report – Mimi Tamaoki

音楽、アート、ファッションと、新しいサブカルチャーが生まれるのは、いつもこの街、NY。そこではリアルタイムで何が起こっているのか。現地からレポートしていく連載”Diggin’ in the Culture”。写真はKoki Satoさん、レポーターはMimi Tamaokiさん。

NYに長年住んでいて思うことは、ストリートやカフェで気軽にいろんな人種の人と繋がり、それが次の何かを生み出すきっかけになるということ。掘れば掘るほど、いろんなお宝がでるのもNYの魅力ではないだろうか?今回の連載第1回目は、デジタル時代にアナログであるカセットテープ・カルチャーの復興をサポートするDirty Tapes NYCにフォーカス。そのムーブメントの代表の1人であるUplift/General Dirt (Daniel Bashin) を取材することに!


Uplift/General Dirtとは、つい最近ウィリアムズバーグのコンテナラジオ局The Lot Radioの空き地で友達になった。たまたま彼の友達がDJをしていて、音楽の話をしているうちに、彼のポケットから懐かしいカセットテープが出てきた。そこでDirty Tapes NYCのことを知ったのがきっかけだ。もともと音楽好きの私は、子供の時からカセットに自分の好きな曲を、父親にヘルプしてもらいながら録画し、オリジナルのMixtapeを作ったり、高校・大学時代は、大好きなHIPHOPから、ソウル、ジャズ等のレコードを収集していた。デジタル化が進む一方でも、レコードへの想いや本を読むというアナログへの価値観を自分の中で常に感じていた。だからこそカセットテープという媒体にフォーカスをあてたDirty Tape NYCはある意味新鮮だった。

Photography-Uplift/General Dirt

取材場所は、ブルックリンのブッシュウィックにあるUplift/General Dirtの自宅。2ベッドルームと地下ルームがある低層のアパートをルームシェアしていて、彼の部屋は地下の広い空間。本業が建築家というだけあり、パイプむき出しだった箇所に2つ壁を作りリノベーションをしたそう。階段を降りると、隠れ家的なラウンジのような大きいスペースで、仕事場のデスクの上には、ターンテーブルとミキサーやらの機材、その後ろには、彼ら達の作品であるカセットが綺麗に陳列されている。フロアにはレコードがずらりと並び、部屋中に彼のお気に入りの本、自分で撮影したフィルムや自分のルーツであるロシアの人形マトリョーシカが飾ってある。地下の空間なので、昼間でも薄暗く、時間が過ぎていくのを忘れてしまいそうだ。白い壁一面には、プロジェクターでヴィンテージ映画のVHSテープを映しだし、その上から本誌EYESCREAMとDIRTY TAPES NYCの文字も入れてくれた。とにかく発想がユニークだ。取材中は、彼のカセットテーププロジェクトに参加しているエレクトロのアーティスト、Caapi、Vtgnike、DJ Rels、Jarrod Fowler等がBGMに流れていた。




Uplift/General Dirtはモスクワ出身で、両親はダンサーだった。父親のショービジネスの仕事で6歳の時にラスベガスに移住し、高校の時には、母親と一緒にニュージャージーに引っ越した。当時はロックを聞いて、それからHIPHOPにハマった。自然とDJを始め、友達のHIPHOPグループのレコードのアートワークをしていたそう。話を聞いているうちに、「MF Doom知ってる?」といきなり質問され、「もちろん!ファンよ!日本でも凄いリスペクトされているのよ!」と答えると、「このシングルのアートワーク僕がやったんだよ!」とMF Doomの”Vomit”のレコードを持ってきてくれた。





MF Doomとレコードをやった子が同じ高校で、彼のアートワークを気に入っていて、紹介してくれたのがきっかけだそう。MF Doomの大ファンだったから、テンションが上がったと話してくれた。

「アートを通して音楽に入っていったんだ。DJして、ビート作って。マドリブとMF Doomの大ファンで、マドリブの全部のレコード持ってるよ。2005、6年のStones Throw Recordsの時代は、僕にとって最高だった。エレクトロやディープハウスは、2、3年前から。エクスペリメンタルなHIPHOPをずっとやっていて、何か違う刺激がほしかったんだ。ハウスを聴き始めたら、バイブスがよくて、そこからハマっていった」。

「Dirty Tapes NYCを始めたのは2012年。Clevelandに住んでいて、ビートメーカーでもある僕のパートナー、Delofi(Christopher Horne)と音楽をリリースするプロジェクトをやりたかったんだ。Delofiからは、ポラロイドやフィルム等のアナログカルチャーの魅力を学んで、なにより俺達は似たようなビジョンを持っているから、いいチームワークだね。当時エクスペリメンタルなサウンドをプッシュするLA拠点のLeaving RecordsとCleveland Tapesはビッグなインスピレーションだった。俺たちのアイディアは、カセットをリリースすること。パートナーのDelofiも俺もカセットに対するLoveがあって、自然と一緒にやることになった。LAにはカセットのシーンがあったけど、NYでは当時シーンがなかったから、みんなにカセットを再認識してほしかったんだ。誰もやっていない、ユニークで、ニッチマーケット。安価でプロデュースできるし、持ち運びも簡単だし。よくイベントにいって、無料でプロモのテープを配ったり。基本的に200から300個のコピーを作っているんだ。A面B面違うアーティストで、ミキシング、キューレーション、アートディレクションは僕が担当している」。
実際にテープをもらった人達のリアクションはどうだったのか聞いてみると、「懐かしい!」「カセットデッキ持ってないわ!」「お婆ちゃんにカセットデッキ持っているか聞いてみる!」「カセットデッキ買わないと!」などの返答だったそう。「2000年代は、みんなアナログカルチャーを忘れていった時代だったけど、俺自身、手で触ったりできるもの、例えば、テープであり、レコード、ブック、フィルムなどに対しての感謝の気持ちがあるんだ。カセットを通して、みんなが音楽の聴き方を変えようとしているのを目撃したことは面白かったね。そしてアナログへの価値を見出してくれたことは嬉しいよ」。



プロモーションは、イベントでテープを配ったり、soundcloudで視聴できる仕組みになっていて、Bandcampで購入することができる。1年間に100人ほどのアーティストとプロジェクトをやっているそうだが、大半は、ファンベースがなく、カセットを出すことで、彼らのプロモーションにもなっているそう。リアルなアンダー・グラウンド・シーンにいるアーティスト達だ。実際にカセットテープではビッグマニーに繋がらないが、強いて言えば、プラットフォームを与える役柄である。自分の感覚でアーティストをセレクトしているそうだが、初期はHIPHOP系が多く、「2011-2013年のアンダーグラウンドHIPHOPのビートシーンは、僕の中で新鮮だったけど、その後に、みんながスタイルをコピーしあって、リアル感や真のビートのエッセンスが消えていった。だから今は、エクスペリメンタルなハウスをやっているんだ」。


過去には、BOILER ROOMと4回ショーをやったことがあり、当時はビッグバジェットがなく、なんと今回取材させてもらった彼の部屋でやったそう。

Photography-Uplift/General Dirt

「Stones Throw Recordsでインターンをしていた友達がNYに住んでいて、Dirty Tapes NYCを紹介したいということになったんだ。俺たちとしては、スポンサーつけて大きいものにしたかったけど、バジェットがなかったから、俺の地下の部屋でやりたいと言われてさ。当時はパイプがむき出して壁がなかったから、ある意味どこかのライブハウスみたいな雰囲気がでていたかも」。





BOILER ROOMのショーは是非ネットでチェックしてもらいたい。この取材の2週間後にUplift/General Dirtは、BOILER ROOMをやって、カセットカルチャーの歴史を残してきたこのアパートから引っ越すことが決まっていた。取材の前夜には、Dirty Tapes NYCのサポーター達が集まってホームパーティーがあった。今後は、新しいアーティストとレコードのディストリビューションをしたり、今まで撮りおろしてきた写真を使って、自分たちの歴史を刻んだ200ページくらいのドキュメンタリー本を制作したいそう。デジタル化が進む一方で、アナログ回帰はまだまだ止まらない。Dirty Tapes NYCの今後の動きも、さらに楽しみだ!

Five Questions For You

Uplift/General Dirt @generaldirt


①NYを一言で表現すると?
「短命」。NYはいつも流動的で変化があり、一つのものが、次のものにすぐ変わっていくし、住んでいる人もつかの間なライフスタイルだから、長続きするものがないような気がする。

②NYのどこが好き?嫌い?
好き:小汚い昔ながらのNYが僕にとっては美。
嫌い:街が商業的になってきて、真のNYの良さが失われてきている。

③NYの好きな場所
自分の家。

④朝起きて一番初めにやることは?(平日&休日)
平日:電話のチェック。
休日:レコードをプレイ。

⑤もし大統領だったら、何をする?
農業の改善。ロシア経済が不景気だった時代、食物を簡単に得ることができなかったから、政府が無料で各世帯に土地を分け与えたんだ。夏の間に野菜を育て、冬はそれらを蓄えて生活していた。アメリカにはたくさんの土地があるから、各世帯が自分達の食物を育て、ヘルシーな食生活になると思うんだ。

Delofi @riotsuit

Photography-Uplift/General Dirt

Dirty Tapes NYCの1/2であり、Cleveland(オハイオ州)拠点。ビートメーカーとしても活躍し、地元のコンテンポラリーアートスペースTransformer Stationとテーププロジェクトをリリース。NYには3ヶ月おきに来ているそう。※この日の取材は不在

①NYを一言で表現すると?
「便利」。WiFiのような。

②NYのどこが好き?嫌い?
自分のムードによるな。時々、もうこんな場所うんざりと思う時もあるし、逆に、ここには僕の欲しい全てがある、と思う時もあるんだ。だから、いつでもちょうど、その中間にいれるように心がけてるよ。強いて言うならば、好きなことも嫌いなことも便利な街であるということ。

③NYの好きな場所
友達がいるところが僕の好きな場所。NYに来たらブッシュウィックのMr.Kiwi’sかDover Street Market でフレッシュジュースをゲットするのが好きだね。

④朝起きて一番初めにやることは?(平日&休日)
平日も休日も同じさ。歯磨いて、息子と一緒に時間を過ごして、それから自分のクリエイティブタイムさ。

⑤もし大統領だったら、何をする?
大統領にはなりたくないよ。でも仮にそうだったら、軍隊の予備兵器が保管してある場所を空っぽにして、資源が必要な人たちに供給する方法を考えたいね。

INFORMATION

Dirty Tapes NYC

https://soundcloud.com/dirtytapes
https://dirtytapes.bandcamp.com/