[STREET CROSSTALK]

遊びの延長から共鳴する、ストリートらしい感性 Chaos Fishing Club × Good Hood Food

photography_Takaki Iwata text_Yuho Nomura

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遊びの延長から共鳴する、ストリートらしい感性 Chaos Fishing Club × Good Hood Food

photography_Takaki Iwata text_Yuho Nomura

日夜ストリートを舞台に巻き起こる様々なカオス。ファッションとは異なるベクトルの新たなムーブメントはそんな現場から生まれていくことも少なくはない。そんな街中で繰り広げられるストリートの住人たちによるリアルな会話を定点観測で記録する。

今回は、釣りとスケートボードを基軸に自由気ままな活動を続けるスケートブランドのChaos Fishing Clubと、その盟友でもあり、国内のストリートフードシーンを牽引するGood Hood Foodによる初対談。彼らの出会いからそれぞれの活動について、また共通する遊び場から生まれたコラボレーション秘話までを放談形式でお届け。

—Chaos Fishing Clubのディレクターである小西さんと、Good Hood Foodを切り盛りする高橋さん、春原さんのお二人。今日はこの3名による、変則的な対談企画を行えたらと思っています。それでは早速なんですけど、皆さんそれぞれが出会ったきっかけからお話しをお伺いできますか?

小西:Chaos Fishing Club(以下、小西):いつだろうね? そんなに昔って感じでもないよね?

春原:Good Hood Food(以下、春原):そうですね。僕らは初めて小西くんたちと親交を持つようになった時って多分海外にいたんですよね。

小西:あ、二人ともアメリカにいた頃だったかもね。

高橋:Good Hood Food(以下、高橋):そうなんです。僕らは元々ニューヨークの田舎町のアップステイトに留学していて、そこで出会うんですよね。あ、そうしたらこの流れ的にまず僕らの活動についてお話してもいいですか?

—もちろんです。Good Hood Foodとしての活動をスタートさせたきっかけを教えてください。

高橋:僕らは二人で活動しているんですけど、日本にいた頃はお互い他人で、その後高校を卒業して、アメリカの大学にそれぞれ通うようになるんですが、その時に初めて出会ったんですよね。きっかけは共通の友人がいたことでしたね。

小西:二人はそもそもなんでアメリカに留学しようと思ったの?

春原:僕はスケートボードの影響が大きいですね。スケートビデオで見るアメリカの風景や現地のスケーターたちのライフスタイルがとても眩しく見えて。その想いだけで海を渡りましたね。

高橋:僕の場合は、昔からアメリカかぶれだったのもあるんですけど、高校2年生の時に初めてカリフォルニアにホームステイをした経験が大きいですね。その時から漠然と高校を卒業したらアメリカの大学に行くって決めていたんです。

小西:そうだったんだ、全然知らなかったな。それから勉強して、大学も卒業してって感じ?

春原:いや正直、勉強は全然してなかった(笑)。

高橋:春原に関しては、海外の大学に入学する時点で備わっていなきゃダメな英語力も足りなくて、語学学校に編入していましたからね(笑)。

春原:しかもその学校さえも行かないっていうね(笑)。

小西:全然ダメじゃん(笑)。

—それからお二人は、どのようにしてGood Hood Foodを始めていくんですか?

高橋:そんな生活を続けながら、僕は春原と今原宿の「UNION」ってお店でストアマネージャーをしているロノっていう同級生いるんですが、その3人でルームシェアをしていたんです。しばらく学生をやりつつモラトリアムを謳歌していたんですが、そろそろなにか始めないとダメだなって思い立ち、まずは僕が家を出ることにしたんです。そこで物件を探していた時に出会った不動産のオーナーが本当にすごい人だったんです。

春原:グアテマラ出身のね。そのオーナーが実業家としての顔も持っていて、いわゆる成功者だったんですよね。

高橋:そうそう。

小西:でも確か最初は、洋服の仕事してたよね?

高橋:そうですね。始めはこっちでいう古着屋みたいなお店で働いていたんですけど、オーナーから飲食店をやらないかって誘われたんです。当時はブルーボトルコーヒーとかのサードウェーブ系のコーヒーショップが流行り始めた頃で、その流れにのって僕も洒落たカフェをやろうって思っていたんです。

春原:それから本当にカフェを始めることになって、そこで僕も一緒に働くことになるんですよね。

小西:関係のない話だけど、そこでゲイにレイプされかけたの?

春原:あーそんなこともあったね(笑)。

—えっと、どういうことですか?(笑)

春原:同僚にメキシコ人のゲイがいたんですけど、そいつに僕が好かれてて。距離感も近いし、ボディタッチも多いし、メールで「ベサメ・ムーチョ」とか送ってくるんですよ。はじめは気になりつつも変わったやつだなくらいにしか思っていなかったんですけど。ある時部屋で一緒にワインを飲んでいたら、めちゃくちゃ僕に飲ませてくるんですよね。それでけっこう酔ってきたな〜って思って、パッとそいつを見たら水飲んでるんですよ。

小西:怖い怖い(笑)。

春原:それでハッと冷静になって、これ俺が女の子にやるやつじゃんってなって。

高橋:いや、そこかよ(笑)。ダメでしょ(笑)。

春原:それは冗談ですけど、それから強くなって地下に逃げ込んだら「サノハラ〜」って叫びながら追いかけてきて、力づくにディープキスされて、僕のナニを掴んできたんですよ。

小西:カオスだね(笑)。

春原:そしたら「ナンデチイサイノ?」って。そりゃそうだろって感じなんですけど、次にそのメキシコ人が自分のナニに僕の手を誘導して触らせてきたらめっちゃでかくなってたんですよ(笑)。

—(笑)。

春原:それでこれはもうダメだったなって、ロッカーに彼を投げつけて、逃げたんですよね。

—壮絶な体験(笑)。

高橋:春原はお調子者な一面もあって、ノリもいいから勘違いされていたんですよね。だから周りの仲間とかにその話をしたら「え、おまえ違ったの?」みたいな。

小西:とはいえカルチャーショックだよね。でも分かるかも。俺もけっこうそっちの人たちに好かれやすいから。

高橋:そういう人いますよね。春原はクラブに行っても狙われやすいからね。何度かそういう目に遭って、僕はもう行かなきゃいいのにって思っていましたけどね。

春原:俺は純粋な目的で行っているつもりなんだけど、相手が勝手にね(笑)。

小西:(笑)。話が脱線しちゃったからちょっと話戻しますか。

—ありがとうございます(笑)。

高橋:流れとしては、そんな感じでカフェで働くようになってから少しづつ自分たちの意識も変わって、飲食の分野に関心を持つようになっていったんですよね。ニューヨークの食事情とかを自分たちにリサーチしたりするようになったり。

春原:それで気がついたのが、やっぱりニューヨークってストリートフードの国なんだなって。ピザだったりホットドッグだったりハンバーガーだったり。そのベースがあったから色々な国のストリートフードが受け入れられていたんですよね。

高橋:そこからは食べ歩きをする毎日で、なんとなく二人でメニューを開発したり、お店を出せる場所はないかって探したり。あとは気になるタコス屋さんがあれば、そこに弟子入りした時もあったしね。

春原:それでなんとなく僕らの中で本格的にストリートフードをやりたいという気持ちが固まってきて、ニューヨークはやっぱり物価も高いし、せっかくやるなら日本でお店を出そうかって話し合いながら、そろそろ帰国しようかっていう時期だったんですよね。その前からお互いちょこちょこ日本に帰ったりはしていたんですけどね。それでその頃に小西君とも僕の幼なじみのスケーターを通じて知り合うんですよね。

高橋:そうそう。それで小西君との話は後ほどまた触れるんですが、そんな大事な時期に春原がスケートで事故を起こすんですよ。

ー事故! 大丈夫だったんですか?

春原:仕事の帰り道にプッシュしながら帰っていたら車に衝突されて。顔面を強打して前歯を4本くらい折っちゃったんですよ。

小西:けっこう大事故じゃん(笑)。

高橋:見舞いにいった時とか顔の原型がなくてね。しかもそこが貧乏病院だったから周りには手錠をつけた患者とかいて。

小西:やばすぎる(笑)。

春原:でもアメリカは事故を起こした場合、被害者側は無料で治療が受けられるシステムがあったんですよね。その前に面倒な手続きがあるんですけど。

高橋:それで一応事故だったんで、弁護士とかに相談していたんですけど、それが結果的にプラスになったんだよね?

春原:そうそう。何年かして弁護士から連絡があって。おそらく慰謝料の分だと思うんですけど。

高橋:その時には僕らはもう日本に帰国していて、日本でお店を出そうとしていたんですけど、予想外の収入というかあぶく銭が入ったこともあって、これでフードトラックの資金にしようってなったんです。その頃って日本ではあまりストリートのフードカートって浸透していなかったので、実店舗を出そうかって話もしていたんですけど、僕らが実際にアメリカで過ごしたなかで感じたのは、やっぱりフードトラックの面白さだったので。これしかないなって。

春原:「いすゞ ロデオ」のキャンピングカーを買ってね。

高橋:ピザとかもいいなって思ったんだけど、もっと手軽に作れてフードトラックにも合うってなるとタコスかなって。それでタコス屋をやることになったんです。

ー不幸中の幸いというか、天から見放されたわけではなかったんですね(笑)。それが大体2015年くらい?

高橋:そうですね。それから準備をして2016年頃に今のGood Hood Foodを始めたんですよ。

春原:帰国してからはなかなか会えなかったような昔の仲間たちとも会うようになって、小西君たちとも沢山遊ぶようになったんですよね。

小西:こいつらの中学・高校の地元友達が集団で行動していることが多くて、まとめてみんな仲良くなっていった感じなのかな。

春原:それでその頃ちょうど小西くんたちが始めたChaos Fishing ClubのTシャツとか見せてもらって、「かっけー」ってなって。ステッカーとかTシャツをもらうようになったんですよね。

ーその頃ってお互いの印象はどうだったんですか?

小西:僕は後輩でもないけど、よくスケートする仲間の何人かっていう感じでしたかね。

春原:僕の中ではある時ムラスポであった大会のビッグセクションで、小西君がドロップインして表彰されていたんですよ。その時に「けっこうガチなスケーターだったんだ!」って。そこに惹かれていった感じですね。

小西:アメージングの時か。懐かしいね。めちゃくちゃふざけていたのになぜか決勝戦まで残っちゃって。それで審査員特別賞みたいなのをもらったんですよね。

春原:それからは小西君たちのローカルだった上野にあるパンダ橋に行って一緒に滑ったりしていました。パンダ橋クルーの忘年会に行ったりもしましたよね。

小西:パンダの忘年会はカオスだからね(笑)。

春原:もう本当にぐちゃぐちゃですよ(笑)。

小西:僕らって基本スケートする時もスケートがメインじゃないんですよ。階段に座ってまずパチンコの話をするかゴルフをするっていう(笑)。大体集まる時は20人近くいるんですけど、実際に滑ってるのは2人くらいですから。でも最近は若い子たちも滑りに来てて、けっこう盛り上がってるみたいですけどね。

春原:ちゃんと滑っているところは僕らと違いますね(笑)。僕らの時はそこに行けば誰か居るだろうって思ってとりあえず行くみたいな。色んな思い出がありますよね。

小西:ここでは話せないカオスなことがいっぱいあったよね。

春原:酔っ払ったジャンキーにサラリーマンが絡まれたのを助けたり、ゲイと仲良くなったり。

小西:あった、あった。結局ノリはみんな適当なんだけど、そこが一緒だとやっぱりすぐに仲良くなれる秘訣でもあるんですよね。

高橋:そこから一緒にものづくりをしたりするようになったんですよね。

小西:そうそう。その前に一度Chaos Fishing Clubのポップアップショップをやった時にGood Hood Foodにも出店してもらってて。

春原:酔っ払ったサラリーマンとかにテキーラとか飲ませまくったりしましたよね(笑)。

小西:そうそう。確かその頃に一回、僕とGood Hood Foodの分だけの限定でコラボのTシャツを作ったことがあったんだよね。

高橋:そうですね。あれは嬉しかったですね。

春原:今のGood Hood Foodとロゴが違うんですよ。

高橋:あとはお店のメニュー表とかも小西くんたちにデザインしてもらったんです。

小西:それまで別にメニュー表とか作ったことなかったから、どうやって作ろうかなって思ったんだけど、とりあえず僕の家にGood Hood Foodとカメラマンとデザイナーを呼んで、タコス作りから始めてそこで撮影とデザイン組みもしちゃうみたいな。

—合理的(笑)!

小西:その延長で今度はちゃんとしたコラボTシャツも作ろうかってなって。

春原:そうですね。その前にも軽く話してたりはしてたんですけど、小西くんのことだから本当にやってくれるのかなって(笑)。

高橋:そしたら本当に色々進めててくれて、それならせっかくコラボするんだし、お互いのコンセプトが感じられるTシャツを作りたいよねって話になって…。

小西:その時のタコスの写真を使って合成でワーム(釣具の一種でソフトルアーとも呼ばれる)を入れてデザインしたらめちゃくちゃ不評で(笑)。

高橋:アイデアはすごく面白いし、小西くんっぽいなって思ったんですけど、いかんせんグロすぎて(笑)。

春原:センスはすごく良かったんですけど、倫理的にネットとかで叩かれないかなっていうのが心配で。

高橋:今は特にうるさいからね(笑)。

春原:でも時間が経つにつれてそのデザインが良く見えてきて。小西くん、これでいきましょうって!

小西:じゃあいっちゃうかってね(笑)。

—スケートブランドらしいですね。

春原:コラボレーションするならやっぱり予定調和なモノはつまらないし、そこに意味というかストーリーや関係性が見えてくると面白いじゃないですか。特に僕らはファッションブランドでもなくただのフードトラックなわけで。そこがスケートブランドとコラボするってなったらやっぱり他とは違うものを作りたかったので。

高橋:最初に作ってもらった僕らだけのTシャツに比べたら断然インパクトもありますしね。

小西:まぁ、やっぱり攻めないとね。あとはてきとうにやっちゃうよ?って精神だから、俺らは(笑)。

春原:間違いないですね。

Good Hood Food

2014年にニューヨークで出逢った二人の若者が、現地のストリートフードに惹かれ、始めたタコス&ブリトーをテーマにしたフードトラック。2015年に帰国し、2016年より本格的に始動。国内の様々なフードカートやイベントなどに出店。神出鬼没ながら口コミで多くの話題を呼び、現在の東京ストリートフードシーンを牽引する存在に。
http://www.thegoodhoodfood.com/

Chaos Fishing Club

“てきとうにやっちゃうよ”というスケートブランド特有のゆるさ満載なマインドをブランドコンセプトに掲げる、上野発の気鋭スケートブランド。その人気は国内のみならず、ロンドンの高感度のセレクトショップ「DOVER STREET MARKET」での取り扱いや数々のインディペンデントブランドとのコラボレーション、また海外で著名なアーティストが着用するなど、常にストリートでは注目される存在に。今年7月には待望のスケートデッキをリリース。