INFORMATION
葵産業
東京都渋谷区神宮前2-13-7 本州ビル 2C
info@aoi.cutegirl.jp
https://aoi.black/
数多あるショップの中で、特に他と異なるスポットがある。そこに集まってくるのはアーティストであったりクリエイターであったり。ただ服を買う場所ではなく、次世代の才能が集まってくる場所が、今の時代を形成する。そんな”訪れる価値のある”特別なショップ=発信地をピックアップしていきたい。TRANSMISSION BLOCK、第四回目は、東京編、葵産業。
2016年辺りから原宿に出入りする人間の間では話題となっていた千駄ヶ谷の葵産業。最近では一部ファッション誌にも取り上げられ、数多くのユースがひっそりと通うような秘密基地的な場所になっているように思う。ここの特徴はなんと言っても”刺繍”。当初は古着などにオリジナルの刺繍を施した服を販売したり、ワッペンとして刺繍を売っていたり、しかもそのグラフィックが新しくて惹きつけられた。今では特殊素材を使った刺繍なども展開している葵産業。ファッション好きだけではなく音楽アーティストやクリエイターも集まるTRANSMISSION BLOCKだ。インタビューに答えてくれたのは核メンバーの1人、KONIDAさん。
ー葵産業は2016年にオープンしたと思うのですが、できた経緯は?
「メンバーの1人であるSTRくんが僕とKNTくんを誘ってくれて3人でスタートさせました。STRくんは古着屋をやっていたので、そのネクストレベル的な場所を目指したいという話をしてくれて、やろう と。まずは刺繍機を買って、古着にオリジナルの刺繍を入れたりしていました。そうやって既存の服にアレンジを施し、カスタマイズして永遠に着れる一着を造ろうと。表現したいものがすぐに形に出来る喜びを感じながら」
ー刺繍という手法を得たんだ理由は?
「洋服にデザインを乗っけるとなるとプリントか刺繍が主な手段になると思うんですけど、刺繍の方が奥ゆかしさと日本らしさ、複雑さといやらしさを感じていたので」
ー葵産業で売られているデザインはどのように作っているんですか? エロティックな表現も多いですよね。
「3人ぞれぞれが好きなものをやった結果、こういうデザインになっています。それが自然に誰に止められることもなく無意識でやっていたら、こんな感じになりました。よろしくお願いします」
ーどこか90年代っぽい雰囲気がありますね。Windows 95っぽいグラフィックだったり。
「僕らそれぞれにイメージはあると思うんですが、何というか…テーマを設けて創作しているわけではないので、言葉では言い表せないものがあると思います。葵産業は3人で運営していますけど感覚は少しずつ違っていて、相談し合いながらデザインをするということはありません。HPにも掲載している社訓で”ラブ コンテンポラリー テクノ”という言葉があるんですけど」
ー気になっていました、”ラブ コンテンポラリー テクノ”。
「テクノ=テクノロジーを”現代”に置き換えて考えた上で、完全に今を生きる、最新の”なう”の感性で制作する。浮世離れ、それを超えて愛されていくようなモノを作る。この感覚がテクノそしてコンテンポラリーで愛、というワードに投影されているんだと思います」
ーある種、流行へのアンチテーゼ的な?
「アンチテーゼではありません。流行っている(ファッションな)ものや、お金の為に創作されたものを否定することもしません。我々はアングラでもサブカルでもメンヘラでもなく、ごりごりのメインストリームであり世界の中心であると 捉えながら愛を叫んでおります」
ーこれまでは古着やTシャツに刺繍を施してアイテムを製作してきたと思うのですが、葵産業の今後の展開としては?
「しっかりとパターンからオリジナルのアイテムを製作していきたいと考えていて、それが今年の目標になっています。それに向けて現在は準備を進めている段階です」
ー葵産業に集う人について教えてください。
「最近では若い人がよく来てくれて、買い物をして行ってくれますね。でも、年配の人も多いかも。今回の撮影では、僕の友人2人に集まってもらいました。Ninaと音楽で繋がったJR Chaparroです」
ここで、せっかくなので葵産業に集まってくれていた2人にも話を聞いてみた。
ーJRさんはどんな人?
「もともとはテキサスの人間でNYから東京に引っ越してきたんです。音楽を作ったりイベントをやったり、DJもやりますし、特に境界線は決めていないですね」。
ー葵産業との繋がりは?
「KONIDAとは一緒に”WATER WORKS”というイベントをやっています。もう1年以上一緒にやっているかな。今後は葵産業をより深く絡めたイベント”Procare” というのを4月14日(土)中目黒solfaより始めていきます」
ーでは、Ninaさんと葵産業との関係は?
「KONIDAとは葵産業をやる前からの友人なんですよ。この場所ができる過程も見てきたし。日本に帰ってきたのは3年ほど前なんですが、その頃に知り合って。それまで私はNYで大学に行きながらショップで働いていたんですね。今、スタイリストとしても働いているんですが、その目線で行くと、服にオリジナルの刺繍が入れられるので、私の隠し兵器的な感じで、色々手伝ってもらっていますね。もちろん私服でも葵産業の服を着ていますよ」
ーNinaさんは普段、どういうことをしているんですか?
「スタイリスト、デザイナー、編集やライターをやっています。ブランド、AVALONEのレディース・デザインを担当したり。クリエイションに関わることを色々と多岐にわたって行っていますね。で、個人的にZINEを制作していたんですが、それにもKONIDAからもグラフィックを提供してもらったんです」。
葵産業に集う人、置かれているモノ、そこには他のショップにはないものがある。刺繍を介してオリジナリティを追求する場所であり、音楽とファッションのカルチャー交差点。このサイバーパンクな世界観を是非とも体感していただきたい。